魚を調理するうえで最も邪魔になるものといえば「鱗」。しかし中には「鱗が美味しい」ものもあります。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
魚料理の「邪魔者」鱗
魚を調理するうえで最も邪魔になるもの、それは鱗。魚の全身を覆うこの板はとても細かく、薄くて見えづらく、それでいてとらないわけにはいかないというとても厄介な存在です。
銀鮭の鱗(提供:PhotoAC)例えば煮付けやお吸い物にしたときに鱗が一枚でも残っていれば、舌の上で主張し、歯の間に挟まり、せっかくの料理の美味しさを台無しにします。大きな魚でも頭部周辺の鱗は細かく、きれいに除去し切るのはなかなか困難です。
またエビスダイや一部のカワハギ類のように、鱗が非常に強固だったり、皮膚と一体化して鱗のようになっているものもあります。エビスダイの鱗には強い棘があり、不用意に触ると手がスパッと切れてしまうこともあるほど危険です。
成分的には食べても大丈夫
そんな鱗ですが、その硬さを除くと、人体にとって邪魔ではあっても「危険なもの」ではありません。
その成分は主に、我々の皮膚や軟骨、爪などに大量に含まれているコラーゲン、そして歯の成分としても有名なハイドロキシアパタイトです。つまり我々の身体を成す成分と同じものなのです。
鱗を除去する(提供:PhotoAC)そのため、鱗からこれらの成分を取り出した上で、様々な形で活用されています。食用にならず捨てられてしまう部位ということもあり、サプリや薬剤などの安価な材料として重宝されています。
食べて美味しい鱗の魚たち
魚の中には、鱗を食用にできるものもあります。これはただ「食べても問題ない」というだけでなく、もっと進んで「食べて美味しい」というものでもあります。
代表的なものがアマダイです。アマダイの鱗は薄くて柔らかく、揚げたりしっかり焼くと香ばしさとパリパリ触感が楽しめます。鱗つきのまま皮目に加熱した油をかけて揚げる「松笠揚げ」や、一塩したものを鱗付きのままじっくりと焼く「若狭焼き」が有名です。
アマダイ(提供:PhotoAC)また、コイも鱗が美味しい魚です。コイの鱗はゼラチン質が豊富で、しっかり煮るととろけてぷちぷちした触感になり、またコラーゲンが汁に溶け出してコクが出ます。
コイのうま煮や鯉こくなどでは「鱗が付いていないと認めない」という人もいるそうです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>


