真冬のシベリアでも大量に漁獲されるフナ。彼らはなぜ凍りついてしまわないのでしょうか。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
シベリアの「氷の下のフナ」が美味しそう
のっけから個人的な話で恐縮なのですが、最近よく「シベリアのYouTuberが、現地の伝統的なハントで魚を採り、調理して食べる」というショート動画チャンネルを視聴しています。
特に興味深いのが「凍った湖に穴を開け、網を落として行う漁」の動画です。簡単なドリルと木製の漁具で驚くほどスムーズに網を入れて魚を採っています。
フナの漁獲(提供:PhotoAC)そして、そんな漁で一番採れているのは「フナ」の一種です。彼らはこのフナを塩水でコトコト煮て、スープのようにして食べており、とても美味しそうです。
やたらと寒さに強い魚「フナ」
しかし、見るからに寒そうな氷の下から大量のフナが出てくるのは非常にインパクトのある絵です。
考えてみれば、フナという魚は他の魚に比べて寒さにとても強いように思います。真冬の細い用水路で、わずかに残った水がパキパキに凍りついているような場所でもフナは簡単に釣ることができます。
冬でも釣れる(提供:PhotoAC)そもそも水面が完全に凍りついてしまえば、水中に新たな酸素が入っていくことができず、ひどい酸欠状態になってしまうはずです。なぜフナたちは生きていけるのでしょうか。
氷に閉じ込められても生きられる理由
いったいなぜフナはこのような環境下で生きていけるのか、先日その理由の一端が解明されました。彼らは他の魚や脊椎動物にはない特殊な能力があることがわかったのです。
酸欠状態になると、我々脊椎動物の体内には嫌気系代謝によって生まれた乳酸が蓄積していきます。これがある一定の濃度を超えると臓器が不可逆な損傷をうけ、致命的ダメージとなります。しかしフナの仲間には、この乳酸をエタノールに変換し、水中に排出できるものがいるのです。
フナは寒さと酸欠に強い(提供:PhotoAC)さらに彼らは凍った湖のなかで心拍数を極限まで減らし、代謝を落とし、成長を完全に止めて数ヶ月以上過ごすことができます。これによりそもそもの酸素消費を減らし、春がくるまで命をつなげるのだそうです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>

