釣りフェス2026 in Yokohamaに潜入し、会場をじっくり歩きながらエリアトラウト関連の展示をチェックしてきた。単なるスペックアップではなく、「今のエリアトラウトで本当に使いたい」と感じる新しい発想のアイテムがないか調査。今回は、エリアトラウト好きの筆者が会場で足を止め、実際に話を聞いてみたいと思った4メーカーの製品をピックアップし、その狙いや背景を取材した。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部・藤田)
2026年のエリアトラウト動向
2026年のエリアトラウトシーズンは、例年とは少し違った様相を見せている。今シーズンは12月中旬まで温暖な気候が続き、管理釣り場の水温も高めで推移する日が多かった。
その影響もあってか、ニジマスの活性が常に高いとは言い切れない状況が続き、放流直後のタイミングを除くと、テンポよく数を伸ばすというよりも、1匹1匹を丁寧に口を使わせていく展開が目立つように感じる。
こうした状況では、単に軽い、感度が高いといった従来のスペック重視のタックルだけでは対応しきれない場面も増えてくる。魚に見せるシルエット、ルアーを引くスピード、ラインの性質、さらには釣り場での動作そのものまで、細かな部分が釣果に影響しやすくなっている。
釣りフェス2026の会場を見渡すと、まさにそうした現在のエリアトラウト事情を反映した、新たなコンセプトのスプーンやライン、釣り場で役立つタックルボックスなどを出展しているメーカーが目についた。今回は、その中でも特に「発想の違い」が感じられた4メーカーを取材した。
1. STUDIO COMPOSITE
STUDIO COMPOSITE(スタジオコンポジット)は、ルアーロッドやカスタムパーツをはじめ、ルアーや周辺ギアまで幅広く手がけるフィッシングブランドだ。素材選びや構造設計に強いこだわりを持ち、特にカーボン素材の扱いに精通している。
今回の釣りフェスでは、そうしたSTUDIO COMPOSITEらしいアプローチが色濃く反映された新たなスプーンが展示されていた。その開発背景や狙いについて、今回は部長の矢野さんに話を伺った。
部長の矢野さん(提供:TSURINEWS編集部・藤田)カーボンコンポジットスプーン
STUDIO COMPOSITEのブースで目を引いたのが、カーボンとガラス繊維という異なる素材を組み合わせて成形された、全く新しい素材のスプーンだ。
従来、エリアトラウト用スプーンの多くは真鍮やアルミといった金属素材が主流だったが、このスプーンは素材そのものを見直すことで、これまでにない特性を実現している。
新素材を採用したスプーン(提供:TSURINEWS編集部・藤田)最大の特徴は、シルエットの大きなスプーンを極めて軽量に作れる点にある。一般的であれば8〜10g程度の重さがあっても不思議ではないサイズ感のスプーンだが、実際に計りで測ってみると、その重量はわずか1.6g。アルミ製スプーンと比較しても、かなり軽いことが分かる。
シルエットが大きいのに軽量(提供:TSURINEWS編集部・藤田)それでいて、強度をしっかりと確保できている点も興味深い。ビッグシルエットでありながら、デッドスローで引けるという性質は、従来のスプーンとはかなり異なる印象だ。
大型トラウトを意識すると、ある程度シルエットの大きなルアーが必要になる一方で、スピードを落とさないと追ってこない場面も多い。そうしたシチュエーションにおいて、このスプーンは大きな武器になりそうだ。
エリアトラウト向けとして開発が進められているが、バスフィッシングやオフショアゲームへの展開も思案中とのこと。正式な商品化が待ち遠しい、新しい可能性を感じさせるスプーンである。
2. ZALTS
ZALTS(ザルツ)は、株式会社ラインシステムがプロデュースするルアーフィッシング向けブランドで、フィッシングラインを中心に多彩な製品を展開している。もともとはバスフィッシングブランドとしてスタートし、近年はソルトを含むルアーゲーム全般への対応を意識したラインナップが増えている。
今回の釣りフェスでは、エリアトラウト向けとして新たに提案されているナイロンラインに注目した。従来のナイロンラインが抱えてきた課題に対し、どのような狙いで開発されたのか。今回は、このナイロンラインについて、アングラーズベースチーフの琴浦さんに話を伺った。
アングラーズベースチーフの琴浦さん(提供:TSURINEWS編集部・藤田)ディテクターハードナイロン
ZALTSが提案する「ディテクターハードナイロン」は、吸水率0.5%という低吸水性を持つハードナイロンラインだ。
ナイロンラインは扱いやすさという大きなメリットがある一方で、吸水による大径化、重量化、高伸度化、柔軟化、そして劣化といった弱点も抱えている。このラインは、吸水を極力抑えることで、そうしたナイロン特有の課題を軽減することを狙っている。
実際に触った感触や使用感はフロロカーボンラインに近い印象を受けるが、比重はナイロン基準。そのため、飛距離をしっかりと確保できる点も特徴だ。
低伸度設計によって感度も十分に確保されており、放流直後の高活性なシーンだけでなく、食い渋る時間帯やナチュラルなアプローチが求められる場面まで、幅広く対応できそうだ。
複数のタックルを持ち込めないビギナーにとっても、一本で多くの状況をカバーできるラインとして心強い存在になるだろう。号数は1.5lb、2lb、2.5lb、3lb、4lb、5lbと幅広く展開されている。
吸水率の低さが最大の特徴(提供:TSURINEWS編集部・藤田)3. ユニチカ
ユニチカは、長年にわたり釣り糸分野で高い技術力を培ってきた老舗メーカーだ。ナイロン、フロロカーボン、PE、エステルとナイロンの特性を併せ持つSHIN-SAYAなど、素材特性を熟知したライン開発には定評があり、用途に応じた細かな作り分けを強みとしている。
エリアトラウトにおいても、感度や強度といった数値だけでなく、風や水中での挙動といった実釣時の扱いやすさを重視した製品を継続的に投入してきた。
今回の釣りフェスでは、従来のPEラインと高比重PEラインの中間に位置する新たな選択肢を提示しており、ライン特性の“別解”を探る姿勢が印象に残った。
PEラインの新たなラインナップが登場(提供:TSURINEWS編集部・藤田)中比重PEライン
PEラインは伸びの少なさや高い引っ張り強度から、エリアトラウトでも使用されるケースが増えている。一方で、比重が軽いため横風に弱いという弱点もあり、扱いには工夫が必要だった。
各メーカーから高比重PEラインも発売されているが、0.4号前後が最も細い番手であることが多く、エリアトラウト用途としてはやや太く感じる場面もある。
ユニチカが提案する中比重PEラインは、従来のPEラインと高比重PEラインの中間に位置する比重1.18を実現。ナイロンラインに近い比重を持たせることで、風の影響を受けにくくしつつ、PEラインならではの特性も活かしている。
イエローカラー(提供:TSURINEWS編集部・藤田)エステル素材とポリエステル素材の両方を編み込むことで比重を確保。従来のPEラインに比べると強度は控えめだが、ゆっくりと沈むため、PEラインの弱点をうまく軽減している。
0.2号から展開されている点も、エリアトラウト向きと言えるだろう。2g以下のスプーンやクランクベイトはもちろん、ミノーやボトムルアーまで幅広く対応できそうだ。
ラインカラーはイエローとオレンジの2色展開。視認性が良く、糸の張り具合でアタリを取るようなシーンでも活躍が期待できる。
オレンジカラー(提供:TSURINEWS編集部・藤田)4. MEIHO
タックルボックスやルアーケースを中心に展開するMEIHO(メイホー)は、釣り場での使いやすさを重視した収納アイテムづくりで知られるメーカーだ。単なる収納にとどまらず、実釣時の動作や拡張性まで考慮した設計思想が、多くのアングラーから支持されている。
今回は、エリアトラウトでの使用に特化したタックルボックスについて、営業部の田中さんにお話をお伺いした。
MEIHOブース(提供:TSURINEWS編集部・藤田)VS-7090A
近年のエリアトラウトシーンでは、観音開き型のルアーケースを外付けし、スプーン交換を効率化するいわゆる「ヤジーシステム」が広まりつつある。
しかし、従来は必要なパーツを自分で探し、組み合わせて自作する必要があり、事前知識が求められるうえ、手間もかかっていた。
VS-7090Aは、そうした悩みを解消するために設計されたタックルボックスだ。買ったその日からノンチューニングで使える仕様になっており、システム構築に悩む必要がない。
買ったその日に観音開きシステムが使える(提供:TSURINEWS編集部・藤田)内部の中皿は、メイホーのケース「VS-3010ND」がぴったり収まるように設計されており、デッドスペースが生まれない。ケースからボックス本体まで一貫して設計しているメーカーならではの強みが感じられる。
ヤジーシステムに憧れはあるものの、自作するのは面倒、カスタムすると価格が高くなってしまう、そんなアングラーの要望に応えてくれるアイテムと言えるだろう。
タックルボックスとしての頑丈さも十分で、そのまま座れる強度を備えている点も実釣ではありがたい。
まとめ
2026年のエリアトラウトは、気候や水温の影響もあり、これまで以上に丁寧なアプローチが求められるシーズンになりつつある。
今回取材した4メーカーの製品は、いずれも単なるスペック向上を目指したものではなく、素材、比重、構造、システムといった異なる切り口から、現在のエリアトラウトに対する“別解”を提示していた点が印象的だった。
エリアトラウトには、もはや一つの正解は存在しない。フィールドや魚の状態、アングラーのスタイルによって、最適な選択肢は変わってくる。
今回紹介した新しい考え方や製品が、自分の釣りを見直すきっかけとなり、次の一匹につながれば幸いだ。
<藤田浩平/TSURINEWS編集部>

