今回は久しぶりとなる串本カセの老舗大裕丸で初冬のマダイ狙い。想定外のスタートであったが終わってみれば良型マダイ16匹にジャンボイサキとクーラー満タンになる大爆釣となった1日の模様を釣果を伸ばすコツも入れレポートしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)
目次
串本・大裕丸でカセ釣り
12月に入り久しぶりにカセからマダイを狙ってみようと串本カセの老舗大裕丸へ釣行を計画した。串本カセへの釣行は3月の乗っ込みマダイ以来久しぶりとなる為、予約時近況を確認する。
最近エサはオキアミ、ペレット両方で釣果があるがどちらにも微妙な状況であるとの事。オキアミはエサ取りが出ると対応が必要になり、ペレットでは潮が早いと釣り辛くなる等、なかなか難しい状況のようだ。
昨年は12月頭でも80cmオーバーの大型がキャッチされていたが今年は大型が出ずに秋シーズンを終えたようである。
当日の作戦
とは言えポテンシャルの高い串本のカセである、最近はブリやヒラメも釣果が上がり出しており、あれもこれもと欲が出て作戦に悩むが、悩んだ時はシンプルに行こうと邪念を振り払った。
当日の作戦としては、朝イチ暗い時間だけスーパーで1パック購入したイワシで青物を狙い、明るくなったら天秤フカセを置き竿と手持ちは完全フカセかペレットズボ釣りでマダイを狙う事にした。
当日用意したタックル
・朝イチの青物狙いと天秤フカセ兼用
シマノ社海明80-240にバルケッタ2000、フロロ10号通し
・完全フカセ用
ダイワ社紅牙テンヤゲームMX MH-230BにスパルタンMXIC200H、フロロ4号通し
・ペレットズボ釣り用
ツリノ、海上釣り堀用ディメンション330両軸にダイワ社ライトゲームXIC150H、ラインはフロロ3.5号通し
この3つのタックルで行くことにした。
港からすぐのカセ
迎えた当日、港を出船してすぐに名前を呼ばれた。てっきりこの時期のマダイ狙いは水深のある浅海と思い込んでおり、大島港出てすぐの通称赤灯前とは考えておらず面食らってしまった。
確かに予約時マダイ狙いとだけ伝えて「浅海」とは一言も言っていなかった。カセ利用の注意点として予約の際、希望の場所がある場合はしっかり伝えておく事が必要だ。「○○(場所)で○○(魚種)を狙いたいがどうですか?」といった具合に確認しておくと良い。
想定外の事態に練っていたプランが崩壊する。このポイントではイワシで青物は狙えないと判断し暗い時間はアジを釣り、飲ませ釣りをする事にした。しかし朝マヅメだがアジが釣れないまま明るくなり先行き不安になるスタートとなった。
赤灯前のポイント
今回乗船した大島港の赤灯前のポイントについて説明すると、乗船場のある大島港を出てすぐの所に付けてあるカセである。水深は20m弱、串本湾内では比較的浅場となる。
以前夏に乗船した時はコロダイにイサキと良い釣りができたが、浅場ゆえ夏のポイントのイメージがあり水温の下がりだした初冬はどうなのだろうかと不安になる。しかし信頼をおく渡船店である大裕丸がマダイ狙いで選んだポイントである、信じて最善を尽くす事にした。
早々に50cmマダイ浮上
アジが釣れない為飲ませ釣りは早々に諦め、まずはオキアミエサの天秤フカセを用意する。ハリス4.5mの仕掛けを付け、長さを加味して下針の餌を底から2mの棚へ投入する。
するとすぐにロッドが絞り込まれた。ファーストヒットなので慎重にファイトし50cmクラスのマダイをキャッチした。 見るとこのマダイは養殖からの脱走マダイであったが、とりあえず釣れてひと安心である。
天然との見分け方としては、尾ヒレがスリ減ったマダイは養殖からの脱走マダイであり、天然はキズはあってもスリ減ってはいない。
尾ひれがスリ減った養殖からの脱走マダイ(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)脱走マダイが入れ食い!
開始早々アタリが出たため次の投入も同じ棚に入れるとすぐさまアタリが来て立て続けにキャッチ成功。その次も棚に入るなりアタリが来てまさに入れ食い状態である。サイズは45〜50cmクラスの脱走マダイであるが3連発である。
簡易フカセ釣りでマダイにアジ
4投目では警戒したのかアタリが来たが食い込まない為、胴突き仕掛けを使った簡易フカセに変更した。これは胴突き仕掛けにオモリを付けずに落とすやり方で、メリットとして
・完全フカセより沈むのが早く効率が良いのに潮には馴染む
・サルカンの比重があるためPEラインでもフカセ釣りができる。むしろPEの方が浮力があり重さが相殺され潮馴染みが良かったりもする。
この作戦が当たり微妙な前アタリを察知し、誘いを入れて食い込ませるやり方で40〜55cmクラスのマダイを4連発した。
この後見える水深にアジが回遊しだした為胴突きフカセで狙ってみる。釣れたのはメアジではあるが30cmクラスである。釣れる内に釣っておこうと5匹キャッチした所で群れが去りマダイ狙いに戻ることにした。
潮変わり
釣行当日は大潮で満潮が7時20分、それまでは緩やかだった潮が満潮を過ぎて手前から沖へ向けて流れ始めて来た。胴突き仕掛けのフカセで流しながらアタリを待つがアタリは来ない為、次の手を考える。
これまでキャッチしたマダイは全て脱走マダイであり、養殖の生け簀周りに居着いていると思われる。それを踏まえ潮で仕掛けが流されにくい天秤フカセに変え手持ちでアタリを掛けに行くやり方を試してみた。
これが功を奏し、結果3匹追加し朝マヅメを終了した。朝マヅメだけで40〜55cmクラスのマダイ10匹を手中にし、もう十分満足の行く釣果は出したが、まだ時間はあるためここからは次に繋がる釣りを色々試してみる事にした。
朝マヅメだけで10匹のマダイ(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)ペレットズボ釣りへ転戦
朝マヅメはオキアミへの反応が良かった為オキアミで通したが、ここからペレットを使ってズボ釣りを試して行く。1投目にかすかなアタリがあるも掛けられず、暫く反応ない時間が続いたが10時過ぎ、微かなアタリを捉え55センチクラスのマダイを追加した。
マダイはもう十分釣った為、次は他魚種を狙ってみる。敢えて生け簀の間から潮の流れる所を狙い生け簀から離れた所にいる魚を狙ってみる。
40cm超えイサキが登場
11時前、潮に馴染ませながらペレットを落とし込んでいくと引ったくるようなアタリ、なかなかの引きだがマダイの叩くような引きではない、慎重にファイトし水面に浮上したのは40cmオーバーのジャンボイサキであった。
40cmオーバーのイサキ(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)狙い通り他魚種のキャッチに成功し嬉しい1匹だ。 続けてヒットを期待したが、続かない為、11時を過ぎた所で一旦竿を上げ早めの昼食をとる事にした。
マダイフィーバー止まらず
昼食を食べ終わり食後のコーヒータイムはゆっくりと置き竿を眺めながらと思い天秤フカセの仕掛けを投入する。
コーヒーを開け一息ついていると突然竿が絞り込まれる。慌てて竿を手に取るとドラグを出す今日一番の手応え、慎重に寄せ姿を見せたのは良型のマダイである、長ハリスの為天秤から先は手で手繰り寄せるが最後の抵抗を見せなかなか取り込めない、
ようやく水面に浮上した所をタモ入れし、当日最大となる60cmの腹パンマダイをキャッチに成功した。
当日最大の60cm(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)再度仕掛けを投入し椅子に座りコーヒーを手に取った瞬間またしても竿が舞い込む。先程ではないが良い引きを見せたのは55cmクラスのキレイな天然マダイであった。
55cmの綺麗な天然マダイ(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)ここで一旦竿を上げてコーヒータイムにする。一息つく為に竿が出せないという釣り人としては夢のような時間が過ごせるのも串本カセのポテンシャルの高さである。
最終釣果と釣果を伸ばすコツ
午後からは食いも渋くなり完全フカセの手持ちでポロポロとマダイを追加した結果。最終釣果は40cmから60cmのマダイ16匹と40cm超のジャンボイサキ1匹、30cmクラスのメアジ5匹と大漁の1日となった。
最終釣果(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)釣果アップのコツ
釣果を伸ばすコツだが、マダイ16匹の内10匹は手持ちで察知したアタリから掛けに行って獲っている。どれも掛かりは浅く、何度かバラシもあったが、置き竿では掛からないアタリを掛ける事で数を伸ばす事ができた。
最後はクーラーの蓋を抑えなんとか閉まる程の釣り人生の中で一番の大漁で大満足の1日となった。
下船後は自宅近くの漁港で釣りをしている釣り友達に釣果をお裾分けに行く。移住してから釣りを通して知り合った高校生から定年後のシニアと幅広い年代の方達である。そんな方達に「ありがとう、おおきに」と喜んでもらえるのは嬉しい限りである。こうしたコミュニケーションも釣りの楽しみの一つである。
マダイで満タンになったクーラーボックス(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)釣り場を守ろう
最後に読者の方にお願いがある。最近、愛知県の渥美半島にある有名な釣り場が釣り人のマナー問題で立ち入り禁止になったと聞いた。
釣り場が失くなるというのは地元の方にとってはコミュニケーションの場も失くなって行くという事である。老若男女、誰もが楽しめる釣りという遊び、これからも続けて行くために各自ルールとマナーを守って釣行して頂きたい。
<稲垣順也/TSURINEWSライター>


