串本カセの冬の風物詩となっているイワシで狙う寒ブリ。今季も不調気味の中メジロクラスだがなんとかキャッチに成功した模様を今季の傾向と攻略法を交えて紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)
串本カセのイワシ餌で狙う寒ブリ
12月も半ばに入りクリスマスに向けたイルミネーションが見られるシーズンがやって来た。本格的な冬を迎えるこの季節、串本のカセでは熱い釣りが開幕する。
本州最南端である和歌山県串本ではクロマグロの養殖が行われており、餌として撒かれるイワシのおこぼれに回遊して来たブリが着いてそれをカセからイワシを餌に狙うという釣りである。
湾内で比較的波の影響も少ない所で狙える為、気軽に挑戦できる釣りでもある。
寒ブリを狙う(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)2種のタックル
今回用意したタックルは、この2つのタックルを使用した。
1.ロッド、アリゲーター社エクスペディションスター80-245にリールがシマノ社海魂2000Tにフロロ12号通し
2. ロッド、シマノ社海明80-240にリールがバルケッタ2000にフロロ10号通し
釣り方を簡単に説明すると、餌となる冷凍イワシを撒き餌にして魚を寄せ、付け餌を投入するシンプルな釣りである。
針上にガン玉を付けたズボ釣りかオモリを付けない完全フカセが主流である。今季はサイズが良い傾向にあるため出来ればパワーのある(1)のタックルで掛けたい。(2)は食い渋り時に手持ちで繊細に誘う為に用意したが10kgを超える大型が来ると止められない可能性はある。
大裕丸へ釣行
先日マダイ狙いで大裕丸へ釣行時にブリの釣果を確認した所、土日は厳しい状況であると聞いていた為、12月12日金曜日に有給を取り平日に釣行を予定した。当日の状況は大裕丸では私の他にブリ狙いの釣り人は1組、他渡船店もブリ狙いは2〜3組と少ない状況で期待が持てた。
勝負の朝マヅメがスタート
朝カセに乗り、まずは用意してあるイワシを撒いて魚を寄せる、次に30号程度のオモリを底まで落としリールのカウンターで水深を計る。この日は撒いたイワシにアジの群れが集まり完全フカセでは餌取りにやられると判断、針上80cmの所にゴム張り3号のガン玉を付けエサを通していった。
水面に群れるアジ(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)パワーがあるタックルの1投目にいきなりアタリが来たが、合わせる前に離されてしまった。警戒しているのか簡単な状況ではなさそうだ。以降反応は無く日が出てきて朝マヅメは終了、隣の人を見ると竿が曲がっており、何が釣れたか聞いてみると、底付近でヒラメが食ってきたようだ。
再度のアタリも空振り
6時半頃から周囲が明るくなり、手持ち用のタックルに交換。手持ちでカウンター20mから誘いを入れながら落とし込んでいく。時刻は7時過ぎ、クンというアタリから一気に走りだす青物らしきアタリが来たがスッポ抜けてしまう。
直ぐに餌を付け直し投入すると沈めている途中に引ったくられたがまたしてもアワセが空振りして3回目のチャンスも取りこぼしてしまう。
ヒラメらしきアタリ到来
8時前になり底付近まで沈めると青物とは違うアタリが来た。ヒラメと思い食い込ませてから合わせたが掛かっておらず数m巻いた所でバラシに終わってしまう。
時刻は8時半を過ぎ、日が出て時合終了の気配濃厚である。チャンスはあっただけに後ろ髪を引かれる思いでマダイ狙いの竿を用意し置き竿で投入しておく。
周囲でブリ登場
8時半を過ぎた頃、向かいの渡船店の人の竿が大きく曲がっており、見ていると遠目に見てもブリとわかる大物をキャッチしていた。
自身は3回チャンスを逃した為にメンタルにくるものがあるが、まだチャンスはあるとプラスに考え狙っていく。
しかしアタリは無く9時を過ぎ、いい加減ブリ狙いを諦めてマダイ狙いに集中するためチビチビ使っていたイワシを使い切ることにした。
念願の青物がヒット!
残っているイワシは10匹程、撒き餌と付けエサ1回分である。1匹を針に付け残りのイワシを撒く。相変わらずアジに襲われるが何匹かは通って沈んでいく。撒き餌が見えなくなった所で最後の付け餌イワシを投入する。
さすがに9時を回ってからは釣れないだろうと半ば諦めて落として行くと青物特有の持って行くアタリが来た。すかさずフッキングを入れるとついに乗った!強めにしたドラグが出される強引に青物であると確信する。
ラインはフロロ10号、信じてファイトするが隣の船の方へ走って行ってしまった。是が非でも獲りたい1本、隣の釣り人に声をかけておまつり防止に竿を上げてもらえないかお願いすると、「ゆっくりやってください」と快諾して竿を上げて頂いた。
見守られながらファイトしようやく水面浮上したが最後の抵抗を見せる。即合わせの為掛かりは浅くヒヤヒヤしたが無事ネットインに成功した。見ていた隣の釣り人からは拍手を送って頂いた。「ご協力ありがとうございます」と感謝を伝える。
75cmメジロ登場!
キャッチしたのは75cmのメジロクラスであったが体高がありよく肥えているナイスコンディションであった。イワシの箱は空、最後の最後で捻り出した執念の1本、サイズ以上に感動は大きい。
キャッチした75cmメジロ(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)マダイ狙いは不発
その後のマダイ狙いは、エサ取りとなったアジが終始居続け悩まされる事になった。結果マダイは、チャリコサイズのみでリリース、25cmまでのアジは入れ食いで10匹ほどキープして下船時刻を迎え釣行を終えた。
マダイはチャリコサイズのみ(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)ブレスサーモActiveモデル【PR】
ここで串本カセ釣りにおける防寒装備について触れておこう。本州最南端とは言え早朝の気温は低く、風の影響も強い地域である。朝は防寒対策が必須だ。
ただ、日が出て防寒着を着込んでいると暑いくらいになる事がある。汗をかいてしまい風が吹くと気化熱で体が冷え、体力を消耗してしまう。体調を崩す可能性もある。
ブレスサーモを着用(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)温かいのに汗をかかずに快適でいられる
今回新たに手に入れたミズノ社プレミアホットインナーブレスサーモActiveモデルは、保温性があり早朝も寒さを感じる事は無かった。驚いたのは日が出ても汗を全くかかずに快適であった事である。
今まで着用していたインナーでは晴れていれば朝9時を過ぎると汗ばみ出し、調節で一休みする事が多かった。ちょうど今回メジロをキャッチした時間である。朝9時を過ぎても集中力を保てた事が貴重な1匹に繋がったと言える。
多様な釣りに対応可能
当日は風も少なく昼はアウターの防寒着を脱いで釣りをしてみた。Tシャツの上に長袖インナーという薄着で汗をかかない上に保温性が高い為、多少風が吹いても汗冷えをする事は無く寒さを感じなかった。結果調節でアウターを脱いだり着たりする事が減り釣りに集中する事ができた。(※個人の感想です)
ミズノ社ブレスサーモActiveモデルはその名の通り岸釣りでアクティブに動く釣りでも活躍間違いなしだ、快適に釣りをする事で冬の貴重な1匹をモノにしていきたい。
昼はインナーのみでも快適(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)串本カセの寒ブリ攻略法
串本カセの寒ブリシーズンは例年通りなら年明け2月いっぱいは狙える。今季の傾向として、高水温の影響かエサ取りが多い状況だ。黒潮蛇行が終息し湾内でも潮は早い時が多いのも今季の特徴と言える。
ブリの魚影については数年前のような大爆釣する状況ではないが、今回アタリは4回あり魚影は少なくないと思われる。
串本カセで仕留めたメジロ(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)工夫が必要か
ただし食い込みが悪く簡単で無い事は確かだ、昨年も同じような傾向があった為、筆者としては手持ちタックルを推奨する。
手持ちで落とすスピードを変えたり、止めたり、アクションを入れて誘いを入れたり、つまむような前アタリの察知から違和感無く食い込ませたり、手持ちで察知しながら仕掛けて行く楽しさもある。
エサの付け方も一工夫必要だ。後々考えれば、スッポ抜けるなら針先を出しておく付け方が良かったのではないかと思える。
タックルは手持ち推奨(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)平日釣行がオススメ
釣行はできれば平日を推奨したい。土日は他の渡船店も含め大勢の釣り人が来て撒き餌があちこちで撒かれる状況になる。ブリは腹を満たすと食い渋ると言われている為難易度が上がる。
土日に釣行するのであれば、まず撒き餌の仕方を工夫する事である。量より質、単純に多く撒けば良いわけではない。潮上や隣の釣り人が景気良く撒いているなら敢えてセーブする事も必要である。
近い距離であれば重ねて撒き餌をする意味はない。撒き餌をしないと自分の所に寄らないと考えるかもしれないが、付け餌を目立たせる事で気付いてもらうように意識する。その為の手持ちで誘いである。使用の目安として筆者は15キロ一枚を用意し8時半目安に使い切るようにしている。
底撒きペットの利用
イワシの底撒きペットについてだが、餌取りの多さを考えると必要性を感じた。今まで使わずにやってきたが、今回はエサ取りが多く水面に撒いてもほとんどが途中でやられてしまい撒き餌になっていなかった。
作り方はネットで底撒きペットと検索すれば出て来る為省略するが、大裕丸では今季から貸し出しサービスもスタートした。数量に限りがある為、借りたい方は予約時に確認が必要である。
使った事が無い筆者が言うのもなんだが、もし使うとしたら自分が狙う棚より上で撒き、撒き餌より上の棚は狙わず効率を上げる使い方をする。上撒きとの併用は魚の棚を散らす為しないようにする。
陸に戻って記念撮影(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)ノマセ釣りも一手
もう一つの手として、今年の串本湾内はアジが多くかつサイズも飲ませ釣りに良いサイズである、ブリもアジについている場合がある為、購入するか釣るかして活きアジをエサにしたノマセ釣りも朝一から入れておくと可能性は上がる。
時合について、よく串本カセのブリは暗い時間が勝負と言われるが、筆者の経験上確かに朝イチは確率が高いと思う。
ブリ大根(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)しかし実際に養殖マグロのエサやりでイワシが撒かれるのは8時頃からである。過去の釣果からもこの時間にもう一度時合があると思っている。マッチ・ザ・ベイトならぬマッチ・ザ・タイムである。日が昇り周りが諦めムードでも集中力を保つべき時間である。
いよいよ寒い冬本番だが、串本カセで一番熱いシーズンがやってきた。今が旬の脂の乗った極上の寒ブリ、この記事を参考にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
ブリしゃぶ(提供:TSURINEWSライター・稲垣順也)<稲垣順也/TSURINEWSライター>

