寒風吹きすさぶ冬の釣り場。かじかむ指先でリグを組みながら、春を恋しく思う。そこで「もっと快適に、そして低予算で道具を揃えられないか」という考えに至った。この機会に、最近チェックできなかったダイソーに足を運んでみた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・押田利一)
ダイソーの釣具コーナー
釣具店を巡るのも一興だが、最近の100円ショップの釣具コーナーは、宝の宝庫を超えた魔界。とくにおすすめなのがダイソーだ。
フィッシュグリップを発見
そこで筆者が遭遇したのが、圧倒的な存在感を放つ「フィッシュグリップ」。100円ショップとしてはやや強気の550円(税込)という価格設定。しかし、そのフォルムを見た瞬間カゴに入れざるを得なかった。
製品パッケージ(提供:TSURINEWSライター・押田利一)トリガー式がワンコイン!
フィッシュグリップには大きく分けて2種類ある。安価な「トング式」と、操作性に優れた「トリガー式(ガングリップ型)」だ。後者は、人差し指でトリガーを引き、先端の爪(クロウ)を開閉させるタイプ。魚の口を確実にホールドできる上、見た目もスタイリッシュ。
1万円超えのものも
アングラーなら一度は憧れる形状だが、釣具メーカー製は安くても3000円〜数万円が相場。それが、ワンコイン。価格破壊という言葉すら生ぬるい。最近の100円ショップ、恐るべし。
手に吸い付くようなEVAグリップ(提供:TSURINEWSライター・押田利一)細部をチェックしてみる
まずは外観を確認していく。この価格帯で気になるのは、やはり細部の作り込みだ。
魚の口を捉える重要な先端部分(提供:TSURINEWSライター・押田利一)噛み合わせに目立った隙間やズレは見られない。続いて、操作性の肝となるグリップとトリガー周り。
EVAグリップ(提供:TSURINEWSライター・押田利一)EVAグリップも滑りにくく、しっかりと力を込められそうだ。
釣魚を落とす不安
しかし、脳裏をよぎる不安。「現場で大物を掴んだ瞬間、滑ってオートリリース」。そんな悪夢は避けたい。
重要なのは、バネの強さと、爪の噛み合わせ精度。100均グッズにありがちな、ガタつきはないか。実釣前の儀式として、負荷テストをすることにした。
500mlペットボトルで検証
用意したのは、水を入れた500mlのペットボトル。重量はざっくり500g。アジングやメバリングで狙うターゲット(20cm〜30cm級)よりも遥かに重い負荷だ。
また、ペットボトルのキャップ下にある「リング部分」は非常に滑りやすい。ここを掴んで持ち上げられれば、実用性は本物と言える。
トリガーを引く。「カシャン」という金属音と共に、スムーズに開く爪。キャップ部分に狙いを定め、トリガーを戻す。「ガチッ」と、指先に伝わる確かな反発力が見もの。そのままゆっくりと持ち上げる。
滑りやすいキャップ部分をガッチリとホールド(提供:TSURINEWSライター・押田利一)結果は想像以上!
宙に浮く500gの水塊。グリップを左右に振ってみるも、爪はキャップに食い込んだまま離さない。驚くべきは剛性。持ち上げた状態で本体が歪んだり、音を立てたりする様子はまったくない。もちろんペットボトルによるが、見事な剛性と言えるだろう。
負荷をかけた後も噛み合わせ良好(提供:TSURINEWSライター・押田利一)これなら、暴れる尺アジや、不意のチヌ(クロダイ)が掛かっても、安心してランディングを任せられるだろう。「これなら、寒さで指の感覚が鈍りやすい冬の夜釣りで、安全に迅速に魚をホールドできるはずだ」とも感じた。
サブの枠を超える名品
剛性は十分に合格点、気になる操作性もトリガーの引き心地もスムーズ。マットブラックの塗装が無骨で心地いい。メインのタックルボックスにはもちろん、予備としてもおすすめだ。
あるいは友人に貸す用として、ワンコインでこの安心感が買えるなら迷う理由はない。冬のコタツで次の釣行に思いを馳せつつ、まずはこのグリップを握りしめてイメトレに励むのも悪くないだろう。
<押田利一/TSURINEWSライター>


