ライトゲームの最大の魅力は、なんといっても魚種の多様性である。アジやメバルを狙っていても、思わぬゲストが飛び出してくる。想定外の魚がルアーを咥え、ロッドを震わせる瞬間はライトゲームならではの醍醐味だ。狙いの魚が釣れるのはもちろんうれしいが、普段は見ない魚と出会うことで、その海の豊かさや季節の変化を実感することもできる。
（アイキャッチ画像提供：TSURINEWSライター・井上海生）
釣れてうれしい魚たち
ライトゲームでターゲットとして定番なのはアジ、メバル、カサゴといった小物たちである。これらは引き味がよく、サイズの割に手応えが強い。さらに食味もよく、釣って良し食べて良しの三拍子がそろっている。メバルやカサゴなどはスーパーマーケットなどでも供されにくい高級魚という側面も持つ。
また、ライトゲームでキジハタなどのグルーパー類が釣れると一気に「特別感」が出る。サイズが大きければなおさらで、ロッドがしなる重厚なファイトはライトゲームの枠を超える迫力すらあるものだ。
今年も釣れたアコウ（提供：TSURINEWSライター・井上海生）最近の筆者の経験では、タコやメジナといった「想定外のうれしい魚」も印象深い。タコは1gのメタルジグに乗ってきた。真夏の垂水漁港、しかも真昼間である（※リリース）。以前にもパワーイソメで釣ったことがあるが、タコは本当にこういう意外なタイミングで現れる。なかなか小粋なヤツといえる。
メジナは強烈な引きと根潜りの駆け引きが魅力で、どうもゲーム性が高いようだ。普段は磯で狙うイメージの強い魚が港や足元で釣れると、なんだか得をした気分になる。こうした予期せぬ出会いがライトゲームの懐の深さを物語っている。フィネスの可能性は無限大だ。
とはいえ、なかなかメジナの再現まではいかないだろうが――私はこれほどグレやクロとも呼ばれる魚が専門家を魅了してやまないところがわかった気がする。磯か。いずれ立つ日がくるのだろうか？
ちょっと困った魚たち
一方で、ライトゲームにはありがたくないゲストも存在する。代表的なのがボラである。引き自体は強烈でスポーツ性は高いが、狙っていないうえに動きが激しく、取り込みも難しい。細イトのライトゲームでは、暴れられると一瞬でラインブレイクにつながる厄介者である。しかも連発する日もある…。
また、大型のシーバスも悩ましい存在だ。掛かればもちろんスリリングだが、ライトタックルではコントロールしきれず、他の釣り人がいる場所ではトラブルの原因になりやすい。もちろん魚が悪いわけではないが、ライトゲームの釣りとしては出てほしくない部類に入る。
シーバス、ちょっと迷惑なときも（提供：TSURINEWSライター・井上海生）さらに地味に厄介なのが、ワームを噛みちぎってくる小型のフグやイソベラ。アタリこそあるがフックに乗らず、気づいたときにはワームが半分になっている。時間とワームを奪っていくため、ライトゲームアングラーの天敵と言っても過言ではない。あえて狙うならイカゲソなどで割り切ったほうがいい。
あなたのメモリアルフィッシュは？
ライトゲームは魚種が多い分、誰にも忘れられない一尾というものがある。筆者にとって今年のメモリアルフィッシュは、11月の泉大津で釣り上げたメジナである。
ライトタックルでは受け止めきれないほどの力強い突っ込みに翻弄されつつ、なんとか獲った1匹だった。「一体なんだ？この根に潜る感じ？」と未知の引きにヒリヒリしながら釣り上げた瞬間の達成感は大きく、いまでも鮮明に記憶に残っている。
文句なしのメモリアルフィッシュ（提供：TSURINEWSライター・井上海生）ライトゲームは「狙い通り」と「想定外」の2つが入り混じる遊びだ。だからこそ毎回違うドラマが生まれ、海に立つたびに新しい出会いがある。あなたにとってのメモリアルフィッシュはどんな魚だろうか。
次の一尾が、その記録を塗り替えるかもしれない。定番は定番のままにくる安心感。そして時に番狂わせが起きるから、年を重ねて研究したくなる。2026年も頑張るぞ、と今から胸に誓っておく。
＜井上海生／TSURINEWSライター＞
