日本で絶滅危惧種の魚「アユモドキ」の仲間をカンボジアで食べてみた

日本で絶滅危惧種の魚「アユモドキ」の仲間をカンボジアで食べてみた

日本ではすでに絶滅寸前となっている魚でも、海外に行けば簡単に出会えることがあります。今回は市場で出会ったので、味を確かめてみました。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

アバター画像 TSURINEWS編集部

サカナ研究所 その他

絶滅寸前の不思議なドジョウ「アユモドキ」

かつて非常に多種多様な魚が生息していた我が国ですが、高度成長期以降今に至るまで続く野放図な開発、またそれに伴う環境保全意識の低下によって数多くの魚種、特に淡水魚が絶滅またはその寸前の状況にまで追い込まれています。

まだ絶滅に至っていないものの中には、有志によって懸命な保全活動が続けられているものもありますが、そのようなもののひとつに「アユモドキ」があります。

日本で絶滅危惧種の魚「アユモドキ」の仲間をカンボジアで食べてみたアユモドキ(提供:PhotoAC)

アユモドキはドジョウ目に属する魚で、ドジョウと同じようにヒゲが生えていますが、アユモドキという名前からも分かる通りシルエットはどことなくアユに似ています。観賞魚として人気のドジョウの1種クラウンローチに少し似ているといえば、アクアリウムをされる方ならピンとくるかもしれません。

なぜ絶滅寸前なのか

このアユモドキ、現在我が国で最も絶滅に近い淡水魚のひとつとされています。なぜそのような状況になってしまったのでしょうか。

まず、アユモドキはそもそもの分布域が近畿・中国地方の河川中流部とされており、決して広域に分布している種ではありません。加えて生息条件として「河川の中・下流域の細い流れで水温があまり上がりすぎず、水質も良い場所」、産卵場所として「増水等によって一時的にできた流れの弱い帯水域」という限られた環境が必要であり、環境の変化に弱い魚であると言えます。

日本で絶滅危惧種の魚「アユモドキ」の仲間をカンボジアで食べてみたアユモドキの棲む環境(提供:PhotoAC)

そのため、生息域のベットタウン化による開発や産卵場所の消滅、またブラックバスなど外来生物による捕食などが理由となり生息数が大きく減少。現在では京都府と岡山県のごく一部でのみ生息が確認されている状況です。

カンボジアで食べてみた

そんなアユモドキは現在「種の保存法」という法律で捕獲や取引が厳しく制限されており、一般人が手にすることはまず不可能になっています。かつて豊富に生息していた頃は食用にする地域もあったそうですが、今となっては味を確かめることはできません。

しかし、実は近縁の魚が東南アジアに生息しており、地域によってはまだ資源量も多く、食用にされています。筆者は先日カンボジアに行ったのですが、首都プノンペンの市場でレッドテール・ボティアというアユモドキの仲間が売られているのを見つけ、購入してみました。

日本で絶滅危惧種の魚「アユモドキ」の仲間をカンボジアで食べてみたレッドテールボティア(中央下)(提供:茸本朗)

カンボジアの煮込み料理であるアモックという料理にして食べてみたところ、ほろりと崩れる食感はナマズともコイとも違い、やはりドジョウに近い味わいのように思えました。少し骨が硬いですがそれもまたドジョウらしく、日本風に醤油で煮て食べても美味しいかもしれないと思いました。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

「釣り好き歓迎」求人情報求人情報を掲載希望の方はコチラ

さらに求人情報を見る