夏場を中心に磯の浅場に潜む習性があるムラソイ。しかし、こんなにも釣れる釣りなのに、なぜか全然知られていない……。手軽で楽しく、大物まで狙えるのに、なぜなのでしょうか。もしかして、この釣りを好きなのは私だけ? そんな疑問から、今回は普段エサ釣り中心の友人にこの釣りを教えたらどうなるのか、実際に試してみた釣行記です。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・アングラー「K」)
ポイント移動でムラソイ追加
次に向かったのは、ゴロタの磯場です。普段は波の影響を受けやすく、なかなか磯に立つのが難しい場所ですが、この日はほぼべた凪だったため、入ることができました。
移動先のポイント(提供:TSURINEWSライター・アングラー「K」)しかし、ここでも状況は同じ……。ムラソイは姿を現すものの、やはりバイトには至らず。厳しい状況が続きます。私は直リグをあきらめ、ジグヘッド+ワームに変更して、根周りをキャストして探ることにしました。
すると、小型ながらもなんとか2匹のムラソイをキャッチすることができました。「いるにはいるけれど、こういうムラソイゲームじゃないんだよなぁ……」と、少し残念に思いながらも、気を取り直してN氏に声をかけました。
小型のムラソイを手中(提供:TSURINEWSライター・アングラー「K」)
ワームでムラソイをゲット
「今日の極浅ムラソイゲームは厳しいな。ワームをキャストできる?」と尋ねると、「OK!」と返答があり、すぐにキャストを開始。さすが普段からエサ釣りをしているだけあって、キャストの動きにも様になっており、ポイントへの投げ込みやカウントダウンの感覚もとても良いものでした。
そんな姿に感心していると、私もさらに2匹ほど追加で釣ることができ、そしてついに――N氏にもヒット!
なんとか二人とも、結果を出すことができました。
N氏もムラソイをキャッチ(提供:TSURINEWSライター・アングラー「K」)その後も1時間ほど釣りを続け、最終的には私がムラソイ5匹+ギンポ1匹、N氏がムラソイ1匹という釣果でこの日の釣りを終えました。(サイズ・数ともに、ここ数年で最も厳しい結果でした……)
ゲストのギンポ(提供:TSURINEWSライター・アングラー「K」)新たな釣りの楽しみ方を発見
「ごめんな。こんなはずじゃなかったんだけど」と釣りを終えて私が声をかけると、N氏は「いやぁ、楽しかったよ。あんな浅場にちゃんと隠れていて、出てくるんだな。普段は磯の先端を目指して深場に仕掛けを落として釣るから、これはまるで磯遊びみたいだったよ。こんな釣り方があるなんて、目から鱗だよ」と感想を話してくれました。
そうなんです。N氏も私と同じように、ワームを見て姿を現すムラソイを何度も目撃して驚いていたのです(今日はバイトまでは至りませんでしたが……)。
「そうなんだよ。活性が高いと、そのまま食ってくるんだけど、今日はそうじゃなかった……。磯を歩きながらの釣りだから、釣れないと疲れがたまって大変だったよね」と私が言うと、N氏は「今度、良い状況のときにまたやってみたいな」と返してくれました。
「じゃあ、次回もやってみる?」と聞くと、「ぜひ!」とのこと。今回の釣行で、私は思いがけずうれしい言葉をもらうことができました。
磯遊びのように釣りを楽しめた(提供:TSURINEWSライター・アングラー「K」)子ども時代の釣りの記憶
私は小学校1年生の頃から釣りをしています(途中、10年以上釣りから離れていた時期もありますが……)。そんな中で、今でも印象に残っている釣りの思い出があります。
それは、子どもだった私が釣りに飽きてしまい、潮だまりをのぞき込んだときのこと。そこには、たくさんの種類の魚たちが泳いでいて、それを見ているだけで楽しかったのを覚えています。
そのうち、竹の継ぎ竿の先っぽだけを持ってきて、糸と針を結び、エサをつけて潮だまりに落としてみました。すると、ハゼなどが餌をちょんちょんとつつきにくる中、突然岩陰から大きめの根魚が現れて、エサをさっと奪っていく――そんな光景が何度もありました。
まさにサイトフィッシング。そのときのドキドキ感や、釣れた魚の記憶は、実際の大きさ以上に鮮明に心に残っています。
子供の頃の遊びに近い感覚
極浅のムラソイゲームは、私にとってまさにこの体験と重なります。とてもノスタルジックで、童心にかえるような感覚があるのです。
今回、N氏と釣りをして、彼も私と同じような感想を持ってくれたことは、何よりもうれしいことでした。釣果としては残念でしたが、いつか条件が良いタイミングで、ぜひ「爆釣」を体験してもらいたいと思っています。
もちろん、そのときの様子も、ぜひ記事にさせてほしいですね。
次回は爆釣を狙いたい(提供:TSURINEWSライター・アングラー「K」)釣り資源を守るために
最後になりますが、私はこの極浅ムラソイゲームを、より多くの方に体験していただきたいと考えています。ただし、ムラソイを含む「根魚」と呼ばれる魚たちは、定着性が強く成長も遅いため、乱獲によって地域個体群に深刻なダメージを与える可能性もあります。
この素晴らしい釣りを長く楽しんでいくためにも、できるだけキャッチ&リリースを心がけていただけると嬉しいです。
<アングラー「K」/TSURINEWSライター>


