春になると、新しいことを始めたくなるものです。私も昨年から昼間のビーチコーミングを始め、貝殻やカニなどを観察・撮影するのを楽しんでおります。特にOM SYSTEM「TG-5」の顕微鏡モードでの接写に夢中で、小さな世界の発見が私の好奇心を刺激してやみません。
(アイキャッチ画像提供:まうまう)
適当に撮っても楽しめる
非常に身近なものであっても、TG-5を使えば肉眼では見えない世界を覗くことができます。
この海岸では珍しいウズイチモンジガイ(撮影:まうまう)筆者が「接写」の魅力の一つと思うのが、適当なものを撮影しても楽しめるということです。
早速、海岸に到着して一番最初に発見したウズイチモンジガイを試しに接写。TG-5ではレンズから被写体まで、1cmの距離まで近づくことができます。
接写したウズイチモンジガイ(撮影:まうまう)限界まで近づいて撮影したウズイチモンジガイの貝殻はイボの間隔から大きさ、頑張れば数まで数えられそうなくらいです。
ウズイチモンジガイを見るのは初めてではないため、殻表にイボのようなものが発達しているのは知っていましたが、その大きさや並びまでは知りませんでした。正直、もっと寄って撮れたかなと思いつつ、これが今の私の技量では限界なのかもしれません。
ちなみにこのウズイチモンジガイは蛍光物質を含んでいるためか、UVライトを当てると光るので見つけた人はぜひ試してください。
気になったものを撮影する
次に撮影したのは、波打ち際よりもやや離れた位置に落ちていた大きな海藻の束。詳しい種類はわからないものの、アカモクという日本各地に分布するホンダワラの仲間に似ている気がします。
打ち上げられた海藻(撮影:まうまう)この類の海藻はしばしば流れ藻となり、生き物の隠れ家や産卵期になるようです。時に打ち上げられた流れ藻の中に生物が残っていることもあるみたいですが、今回発見したものには見られませんでした。
TG-5で接写することにより、葉の形状まではっきりと観察することができます。
接写した海藻(撮影:まうまう)海藻の撮影を終えて、しばらく海岸を歩いていると、この辺では珍しいキサゴまたはダンベイキサゴと思われる貝殻を発見しました。
キサゴ属の貝殻(撮影:まうまう)地域差によっては「ナガラミ」と呼び食用にしているほか、小型種のイボキサゴはかつて「おはじき」にも使われていたそうです。
接写した殻頂(撮影:まうまう)この貝殻は殻径3cm程でしたが、TG-5を使って殻頂付近を撮影。吸い込まれるそうな螺旋と削れて露出した真珠層のような構造が美しい貝殻でした。
様々な貝殻を接写してみる
ミゾガイのような非常に脆い二枚貝も発見。力を入れて摘まむとボロボロになってしまうほど弱い貝殻ですが、接写するとそれなりに迫力がありますね。
ミゾガイのような二枚貝(撮影:まうまう)グレーの砂浜の上でひと際目立つ二枚貝はミドリイガイ。海岸にはイガイ科の二枚貝がよく落ちていますが、中でも本種はよく目立ちます。
ミドリイガイの原産地は東南アジアであり、日本では国外外来種のようです。
ミドリイガイ(撮影:まうまう)変わった形のホタテガイが落ちていると思ったら、小型種のトマヤガイと思われる二枚貝でした。
トマヤガイと思われる貝殻(撮影:まうまう)接写すると殻表に網目状の構造が付着していることがよくわかります。この網目状の構造も何かの生き物なのでしょうかね。
このような感じで、かれこれ30分ほど低姿勢で撮影を繰り返しました。
謎の物体を発見!
そろそろ帰ろうかと思った時、海岸で謎の物体を発見。白くてでこぼこした構造物。これが一体何かわかりますか?
ヒントはある生物の体の一部です。
接写した写真(撮影:まうまう)正解はコウイカ類の甲。
コウイカ類の甲(撮影:まうまう)コウイカを含むイカ類では胴に甲を持っており、スルメイカやアオリイカなどのツツイカ類では柔らかい「柔甲」を持つのに対して、コブシメやコウイカなどのコウイカ類は舟のような形をした頑丈で大きな甲を持ちます。
イカ類は貝類の仲間であることから、この甲はアサリやハマグリでいう貝殻にあたるとされ、コウイカ類ではこの甲で浮力調整を行っているようです。
また、コウイカ類の甲にはエボシガイ付いていることもあるようで、このことは甲が海面を漂っている可能性を示唆しているといいます。
接写すると新しい発見がある
このように、普段歩いている海岸もカメラを一つ持つことによって新しい発見があります。
今回は接写ができる特殊なカメラを使用しましたが、スマートフォンのカメラ機能でもある程度は寄って撮影できるので、まずは手軽な撮影機材をもって海岸を歩いてみてはいかがでしょうか。
<まうまう/サカナトライター>

