2025年の2月、連日の気象予報で「最強レベルの寒波」という言葉がよく聞かれた。実際、今年は過去最高レベルに寒いと感じる日が多かったが、海では、その影響がどう出たのだろうか?筆者の実感と大阪湾の海水温データをもとに、春へと向かう時期に、この冬の寒さを振り返ってみることにしよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
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「最強レベルの寒波」は嘘か真か
2025年2月は、全国各地で「最強寒波」と報じられることが多かった。この寒波が非常に強烈で、実際私も大阪市内であまり見ない雪を連日見た。また人聞きに、「もともと寒いところが、何より寒い。豪雪だ」ということも耳にした。体感気温がマイナスで、釣り場に立っていられない日が続いたものだ。

魚たちにとっては、どうなんだろうか?彼らが寒さを感じる要因の一つに、海水温の低下がある。海水温が低いと海中の魚の活動が鈍くなるため、釣りにも大きな影響が出てくる。魚たちの動向を知る上で、釣り人にとっては海水温が何度であるかが重要な要素であるため、海水温のデータをもとに今年の寒さを分析してみたい。それが何よりも、この冬の「最強寒波のリアル」ということになりそうだ。
大阪湾の海水温から読み解く
まず大阪湾の海水温を見てみよう。泉南のとある施設が出している海水温の情報を信用してチェックしてみる。ちなみに筆者は自分が書く記事中でたびたびこのデータを持ち出しているが、実はこの施設も知っているし、ここでアコウを放流しているところを見たこともある。目で見てもなんというかちゃんとした施設なので、ここでのデータは信頼に足ると思っている。もちろん海域で誤差はあるだろうが。

2025年2月の海水温は平年より約1℃以上低い。さらに、昨年(2024年)の2月と比較すると、2℃低い日も多く見られた。この2℃という差は、釣り人にとってはかなり顕著な違いである。海水温が1℃2℃低くなるだけで、魚はまったく釣れなくなる。たとえば、今年の大阪湾奥では、メバルがまったくダメだった。紀北や垂水まで釣り歩いたが、ダメダメ。産卵期が早かったのと、低水温で魚が浮上してこなかったことが原因だ。同様に水が一気に冷たくなったせいで、アジが抜けるのも早かった。
体感での寒さ
釣り人はまあ水に浸かるわけではないので、海水温というよりは、釣りをしているときの体感温度も重要である。それで実際、2025年2月の寒さは、明らかに厳しく感じられた。特に、釣具店のスタッフさんと話していても、海に出る機会が少ないという釣り人の声が多かった。「あまりにも寒くて釣りに行く気がしなかった」という意見は少なくないだろう。
特に沿岸の浅い水域は空気(外気温)の影響を受けやすく、釣り場も寒ければ海水温も実際にめっちゃ低いということが多い。わざわざ毎朝海に行って測っている某釣具店の記録によると、7℃という日もあったという。
結論:近年では最高の寒さ
温暖化の影響を受けて、これまでの数十年に比べると、近年は冬の寒さが緩やかになっていると言われてきた。しかし、2025年の2月は例年と比較しても非常に厳しい寒さとなった。この寒波が「最強レベル」と感じられるのも無理はない。海水温が平年より1℃、昨年と比べて2℃低くなるというデータは明らかに釣り人の体感とも一致しており、今年の冬は確かに例年よりも厳しい寒さとなったと言える。
温暖化の影響を受けて、寒い冬が減少傾向にあると考えられていたが、2025年2月はその逆を示す結果となった。近年では、温暖化の影響を受けつつも、寒波が強くなることもあるため、今後も予測が難しくなってくるだろう。釣り人にとっては、こうした異常気象に対応するための準備がますます重要になってくる。

また、海水温の低下が魚の活性に与える影響は大きく、釣果にも直接的な影響を与えるため、今後も海水温の動向を注視し、釣りのタイミングを見極めることが大切である。
<井上海生/TSURINEWSライター>