2025年に会いたいサカナ、皆さんは何かいますか? 私は「北のサカナたち」、もっと言えば「北海道のサケ科魚類」に会いに行きたいです。単に見てみたいという興味もありますが、それ以上に私が個人的に会いたい理由もあります。本記事では私が2025年に見たいサカナや目標を綴っていきます。
(アイキャッチ画像提供:みのり)
思い出のオショロコマ
私には北海道で絶対に見たいサカナがいます。それがオショロコマ。
オショロコマはサケ科イワナ属のサカナで、日本では北海道のみに生息しています。
前述のシロザケと同様、まだ野生のオショロコマは見たことがありません。しかし、私にとってオショロコマは非常に思い出のあるサカナなのです。
私は大学生の頃、大学にあるミニ水族館のリーダーを務めていました。
その特別展で「日本縦断展」を企画。北は北海道、南は沖縄まで、日本を縦断しながらそこに生息するサカナたちを展示するという内容でした。
その際に北海道のサカナとして、なんとかサケ・マスを展示したいと思ったスタッフたちは、大学OBが館長を務めている「北の大地の水族館」に協力を要請しました。
北海道から送られたオショロコマ
すると、館長は快く私たちの要請を聞き入れてくれて、なんとわざわざフィールドへ出向いてオショロコマを採集し、送ってくれたのです。
遠い遠い北海道の山奥から関東までやってきたオショロコマたちに、私も他のスタッフも心の底から感激し、とにかく可愛がりました。
しかし、ひとつだけ心残りがありました。「北海道のサカナ」として展示したにも関わらず、私自身は北海道で野生のオショロコマをまだ見ていなかったのです。
学生で金銭的にも時間的にも余裕がなかったのですが、紹介している本人がオショロコマ本来の姿を知らないという矛盾にモヤモヤが残りました。
そんな経緯もあり、オショロコマは私にとってとても思い出深いサカナなのです。しっかり野生のオショロコマとその周辺環境を知り、彼らを飼育させてもらったことの感謝を伝えに行きたいのです。
見れると嬉しいミヤベイワナ
そんなオショロコマには、ミヤベイワナという固有亜種がいます。
ミヤベイワナは世界で北海道にある然別湖(しかりべつこ)にしか生息していない希少種。火山の噴火により川がせき止められ、独自の進化を遂げたオショロコマになります。
かつて、ミヤベイワナは地域の人々の貴重な鮮魚資源として重宝されましたが、護岸工事や乱獲により急速に数を減らしました。そうした背景もあり、現在でも然別湖で釣りが可能な期間は1年のうちたった50日、また使用する釣り針等にも厳しい制限があり、参加可能な人数も1日50人のみです。
観察は遡上の時期を狙う
私はあまり釣りをする方ではなく、また上手くもないので、ミヤベイワナを釣りで観察するのは難しいです。一方、ミヤベイワナは海で成長し生まれた川にのぼり産卵する(母川回帰)サケの仲間と同じく、然別湖を海に見立てて川を遡上し産卵するという生態をもちます。
私がミヤベイワナを観察できるタイミングがあるとしたら、この遡上しているミヤベイワナを狙うしかありません。もちろん希少なサカナですから、彼らに迷惑をかけるような観察はできませんし、遊泳禁止域に入ったりもできません。
観察できる機会は限りなく少ないのですが、チャンスがあれば会ってみたいサカナです。
時間がどれだけあっても足りない
もちろん、北海道にはサケ以外にもたくさんのサカナがいます。
以前小樽で食べてあまりの美味しさに感激したニシン、えんがわの材料にもなっている巨大なカレイの仲間・オヒョウ、サカナ以外でも流氷と共にやってくるクリオネやアザラシ、ラッコ、シャチなんかもいます。サケを狙うヒグマなんかも、水辺の生き物と言えるでしょう。
広大な北海道ですから、たった一度の遠征でこれらの生き物全てを見られるはずもありません。北海道の生き物たちを余すところなく観察するには、膨大な時間がかかると思います。
しかし、だからこそ何度でも「北」に行きたくなるのだと思います。どれだけ時間があっても足りない、故に、ずっと楽しめる最高のフィールドでもあるのです。
ということで、そんな<北のサカナたち>に会うことが来年の目標です。その経験を糧に、サカナにあまり興味・関心がない人でもワクワクするような情報発信をしていきたいと思います。
<みのり/サカナトライター>