今日の問診票
ヤリイカ釣りは好きなんですが、アタリがとりにくく一生懸命シャクっても、なかなか数が伸びません。なにか良いアドバイスをお願いします。
診断結果
【ラインテンションコントロール不足】
ヤリイカ釣りの難しさは、スルメイカに比べ臆病でデリケートな性質に加え、産卵期を除けば、狙うポイント・タナが100〜250mと、とても深くなること。さらに通常の魚釣りと違い釣り針ではなく、ラインテンションが変化すると容易に外れてしまうカンナで引っ掛け釣るというイカ釣り全般のしくみにも原因があると思います。
処方箋
もっとも大切な事は、ヤリイカはサオをシャクって釣るものでは無く、底付近で仕掛けがフォールするときにイカ角を触ってくるイカを、ラインを張ってカンナに掛ける釣りであることを理解することです。ヤリイカ釣りの本質は「深場で如何にラインテンションをコントロールできるか」であり、それが出来れば、アタリをとり、角を抱かせ、外れること無く船上にイカをあげることができます。
今回は入門者でも入り込み易いブランコ仕掛けでヤリイカ釣りを楽しく繊細に釣るための知識と方法をラインテンションコントロールに主眼に説明させていただきます。
ラインテンションを制せ!
私は関東に釣りのホームグラウンドを移す20年ほど前は、福井・若狭沖でマイカ(=剣先イカ・マルイカ)スルメイカ、そしてヤリイカと、通年船のイカ釣りに勤しみ、多い時は年60釣行していました。
若狭でのヤリイカ釣りにポイント水深は30〜80mと浅く、錘が50〜100号でも船の揺れによる道糸の不規則な張りやフケは出にくく、ラインテンションのコントロールが容易になります。
これは関東でも産卵期、外房や鹿島沖の浅場にヤリイカが上がってきた際、深場に比べヤリイカが釣りやすいことと似ています。
またマルイカは錘を30〜60号と軽くして落し込んだり、錘を底に着けたまま弛ませ釣法でラインテンションを減じ、イカ角をふかせるように誘うことでイカ角を抱かせれば、触腕が長い分、その後多少糸フケが出来たり張りすぎたりしてラインテンションが不安定になってもカンナが外れ難く釣りやすい傾向があります。
ヤリイカは臆病!
ヤリイカもフワリと角が動くタイミングに角を触ってくるはずですが、ヤリイカは触腕が短く、臆病で直ぐに角を離しやすい特質があるのです。せっかく角を触腕で触ってもラインが弛んだままだとその間に角を離してしまいます。まして水深が深くなると尚更ヤリイカ釣りは難しくなるわけです。
イカ角フワフワが肝!
このラインの張りは、仕掛け下端の錘重量がある程度無いと作り出せません。水深が浅くてもヤリイカ釣りの錘が大きくなるのは、それだけラインテンションコントロールが重要になることを裏付けているのです。
ただ大きな錘が底から上がったままだと終始ラインが張り、ヤリイカにアピール出来るフワフワとしたイカ角の動きが作り出せません。錘が大きくても、イカ角にこの自然な動きを演出できるのは、リールをフリーにして仕掛けを落とし込んでいるフォール最中か、錘が着底したいわゆる“ゼロテンション状態です。
ですからヤリイカが角を触ってくるチャンスは、仕掛けが落とし込まれているいるときと、錘が着底しているときと考えます。
ヤリイカが角に触る細かなアタリを捉えたり、触るタイミングを釣り人が積み重ねた経験から予想し、ロッドやリール操作でそのタイミングにラインを張ることで、ヤリイカをカンナに掛ける。これがヤリイカ釣りの本質です。