私にしては珍しく師走の目の回るような忙しさをほぼ無休で乗り切った。だが慣れないことはするもんじゃない、大晦日から強烈な体調不良に襲われてしまった。天井がグルグル回り悪寒で歯はガタガタと鳴る。熱を測れば39度超えだ。正月休みを回復に当てれば問題なかろうが、そうはいかない。早くも年始2日には三重県鳥羽市相差の魚勘丸で、新春ブリ狙いのオフショアジギングを予約している。
海風に当たれば風邪治る?
「一番効く解熱剤下さい!」と、薬局で買い求めた錠剤をラムネよろしくかじりながら、友人らと相差を目指した。
息も絶え絶えに集合場所の民宿に到着すると、皆さんおそろいだ。
新年のあいさつを済ませ、淹れたてのコーヒーをいただきながら薬を追加。
するとどうだ、この日は誠司船長の横で寝転がってるしかないと考えていた体調が、コレ何とかシャクれるんじゃねーの?レベルまで回復したではないか。
やっぱ海なんだよ、タラソテラピー的な何かが俺を超回復に導いたんだよと都合よく解釈し、港に移動する。
ライバルにお年玉?
港では誠司船長、息子の陽翔(はると、通称はるぴょん)がすでに待ち構えている。
誠司も私の天敵だが小学生のはるぴょんが輪を掛けてヤバい、たいてい客より釣っちゃうのだ。けしからん子供だ。
若い芽は速やかに摘み取るのが私のような腐った大人の常套手段。笑顔でお年玉を渡しながら、心の中では大人の筋力なめんなよと、勝手にジギングバトル2019開幕だ。
やはりリード許す展開に
本来ならば例年巨ブリが入るカブラコ水道付近でのジギングだが、水温が下がらずベイトの寄りが悪いとのことで、数日前から好調な大王方面を目指す。
ポイント到着までにロング、ショート各ジグを組み、到着後は流し変えごとにタックルを持ち替えて反応を探る。
大人の努力をあざ笑うかの如く2019年ファーストヒットははるぴょん。60cmほどのサゴシだが、やはりリードを許す展開。
潮も小さくベイトも山盛りというわけではないので、ひと流しに誰かが1匹掛けるかどうかくらいのペースだが、ハマチやサワラ、ワラサにケンカブリとポロポロと拾っていく。
ヒットジグはキャッチした全員といってもいいくらい赤金のショートかセミロングに偏り、違うカラーに固執した同船者はアタリもないといった状況だ。
潮が返してもポツーンポツーンのペースは改善せず、船中に諦めムードが漂い始める。
私はサワラにハマチ、はるぴょんも同じくサゴシとハマチ。
まぁ新年一発目はこんなもんにしといたろと、せっかく大人が気を使ってやってるのに空気を読まない子供が台無しにする。
「あ、なんかアタッた!よしヒットー!」
誠司船長のサポートも借りつつ、浮かせたのは良型の寒ブリ。ジグのカラーもこの日のパターンなんてどこ吹く風のシルバーグローヘッドときた。
私の友人含め、乗り合わせた大人はもう白旗である。
体温急上昇で大物ヒット?!
ラスト1時間を切ってブリのリードを奪われた私は薬切れとも重なったのか、カチンときちゃって体温急上昇・・・。
潮上がりごとにデッキにひっくり返るが、合図があれば必死で起き上がってジャークを繰り返す。
少し離れたポイントへの移動後、近くの遊漁船がぽんぽんとワラサを取り込んだ。この日最後と言っていいだろうチャンスだ。
速めのワンピッチで10mほど誘ったところでようやくヒット。
フッキングの瞬間にブリを確信して釣友に「写真を撮れ!」と呼びかけるも無視である。ならばと誠司船長に「これブリいったわ!」だがニヤニヤするだけで操舵室から顔すら出しやがらない。隣でシャクる友人たちに至っては「頑張れ魚!逃げろ!」。切ない話だ・・・。