いよいよ待ちに待った夏休み。子供たちが待ち焦がれた長い休みは、ぜひファミリーフィッシングに出かけてほしい。フィールドはイカダ。波穏やかな内湾に設置された釣り場は、船宵いや混雑とは無縁。足場はいいし、魚影も濃い。そんなイカダでの五目釣りを、ぜひ家族で楽しんでほしい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
釣り用のイカダの特徴
釣り用のイカダの多くは、波の穏やかなリアス式海岸の湾奥に設置されており、台風に襲われない限り釣りが不可能ということはない。湾奥なので波やウネリが入ることはほとんどなく、船に弱い人でも安心して釣りに集中できる。
関西や瀬戸内、日本海にも釣りイカダを営業する船宿はあるが、中部エリアになじみが深いのが主に三重県の鳥羽から尾鷲にかけてだろう。各地にイカダ渡船を営む船宿があり、鳥羽本浦、志摩三ケ所、南伊勢中津浜、迫間浦など。
かつてはイカダ釣り=クロダイというイメージが強かったが、ここ数年五目釣りを楽しむアングラーも増えてきた。クロダイほどストイックな釣りではなく、アタリが多く退屈しない釣りになる。子供たちが大喜びするのは間違いない。
これから酷暑の時期を迎えるが、屋根付きや日よけテントを設置してあるイカダも多い。
釣れる魚種
イカダは普段波止釣りを楽しむ人にとっては、やや深めの水深で釣ることになる。設置されている場所にもよるが、釣れる魚種はとにかく豊富。
アジ
通年狙えるイチオシターゲットはアジ。サビキ釣りで手軽に狙えるだけでなく、水深があるためか波止で釣れるものよりも良型がそろう。25cmを超える刺し身サイズが出るイカダも珍しくない。
カタボシイワシ
近年伊勢湾奥から熊野灘沿岸で増えてきた、サッパとニシンを足して2で割ったような魚。大きなものは25cm近くになり、引きもなかなかのもの。身に脂が少なく小骨が多いが、酢で締めたり南蛮漬けなどにするとおいしい。
グレ
グレは磯釣りの好ターゲットだが、イカダでもよく釣れる。サイズは20cm前後のいわゆるコッパだが、場所によっては30cmを超えるものも。サビキで釣るのは難しいので、ノベザオを使ったウキフカセで見えているグレを狙ってみたい。
ヘダイ
夏から秋にかけて増えるのがヘダイだ。見た目はクロダイに似ているが、クロダイより銀白が強く丸みを帯びた顔つきをしている。サビキでも釣れるが、狙うなら胴つき2~3本バリでまきエサを打ちながら釣ると数が出る。すでに南伊勢周辺のイカダではヘダイの釣果が聞かれており、今年も楽しめそうだ。
何といってもヘダイの魅力はその味。手のひらサイズでも脂が十分に乗り、塩焼きは絶品だ。たくさん釣れたときは干物がお勧め。良型は刺し身にしてもおいしい。
アイゴ
クロダイ釣り師に忌み嫌われているのがアイゴだ。背中側と腹側のヒレ全てに毒があり、刺されると釣りどころではない。だがその引きは強烈。今回紹介するターゲットの中では、最強のパワーを誇る。サビキで釣れることは少ないが、胴つき仕掛けを落とすとたまにヒットしてくる。
味はアンモニア臭がするので嫌う人が多いが、釣ってすぐにワタを出してしっかり氷で締めて持ち帰ればさほどにおうことはない。和歌山県の南紀では重宝される魚で、田辺辺りでは皿ねぶりと言われるほど。
ヒラメ、マゴチ
釣れたアジを泳がせると、思わぬうれしい獲物を手にできるかも。胴つき1本バリでなるべく小さめのアジを付けて、置きザオでじっくり狙ってみよう。狙って釣れるものではないが、1本か2本捨てザオで出しておくと、ボーナスヒットがあるかも。
ただし、エイにサオを持っていかれる可能性もあるので、尻手ロープは必ず付けておこう。
他にも小ダイやカマスの他、ツバス(イナダ)やシオなどの回遊魚がイカダの周りに群れることもある。1本ルアーロッドと小さなメタルジグを持っておいてもいいかもしれない。