外房片貝の直栄丸では、秋口からヒラメ乗合船を出していたが、正月用の「尾頭付きハナダイ」の準備に取りかかる人に対応。11月最終週からハナダイ五目に切り替えることになった。その様子をうかがいに、初出船した12月1日(土)に釣行したところ、良型が食べるに十分な数上がり、明るい材料を入手した。
当日の状況
出港1時間前の4時半に船着場に到着。ほかの乗船者4人がすでに釣り座で準備中。私は空いていた右舷トモ寄り2番に座った。
5時半、左舷3人、右舷4人を乗せた第一直栄丸は山本義雄船長の操船で出港。日の出を迎えつつある海を南東へ進み、航程約50分で片貝沖の水深約30mのポイントに到着。
船を旋回させヤマダテを始めた船長から「準備しておいてください」のアナウンス。
海況は晴れ。西風で、平均波高は約2mだが、大きな船体は揺れが小さく、釣りに支障はない。潮は澄んだ青緑色で表面水温は約19.8度と、去年の同時期よりも約3度高い。流れは外房で「真潮」と呼ばれる北東へ流れる潮流だ。
1箇所目は不発
6時半、風上になっている西へ船首を向けて流し始める。「水深30mから20mまで探ってください。はい、どーぞ」と投入OKの合図。
開始直後、左舷で中乗りにレクチャーを受けていたハナダイ五目初挑戦の寺西さんが「30cm級を上げたよ」と仲乗りが教えてくれる。
魚体は白っぽく「タナは水深25m」とも言っていたから海底近くだ。表面水温は高いものの、海底付近は低い証拠で、食い渋りが予想される。
さらに、この釣り場付近には仕事を終えたらしい職漁船が見える。10分ほど探ったが、案の定、小さなベラ以外にアタリはなく、すぐに移動。
ポイント移動で尺超えハナダイ!
北へ15分ほど走り、着いたのは水深約27mのポイント。海底に広く岩礁が横たわり、潮の色はわずかに濁りを含んだ青緑色。
「根掛りしますから気を付けて、海底から20mまで探ってください。はい、どーぞ」と投入OKの合図。
私は船宿仕掛けの3本バリに、船上で配られた付けエサオキアミLを基本通りに装餌。ビシを海底まで沈めたら根掛りしないように直ぐに1m上げてからコマセワーク開始。
1m間隔でコマセが出るように竿先を大きくシャクって、海底から3m上にビシがとどまるようにタナを取る。
すぐにコツンという小さなアタリがでるが、食い込まない。
船長に教わった、リールの巻きアワセ(スローでリールを巻いてハリ掛かりをうながす方法)で仕掛けを上げていくと、小さなアタリはだんだん大きくなり、水深20mから上にくると「2号ハリスが切れるのではないか」と思うほど強い三段引きが始まる。
電動リールのスイッチを入れて、除々に中速までスピードを上げる。ドラグを緩く設定しているので、実際の巻き上がる速度は低速。
リールが止まったところで竿を立ててビシを回収、ハリスをたぐると尺オーバーでシルバーピンクの魚体が見えてくる。
海面下で激しく下に突っ込む抵抗をみせ、ヒヤリとしたが、勢いがゆるんだところで一気に抜き上げる。
早々に33cmを手中にできて安堵していると、次にヒットしたのは30cm級ウマヅラ。船中でも良型ハナダイが1尾ずつヒットした後はゲストの攻撃が激しく、20分ほどで小移動。
根回りで本命&多彩なゲスト
その先も流し、序盤はベラの攻撃が激しかったが、いいポイントに差し掛かった8時ごろから次々と良型本命がヒットする。
右舷トモに入っていた常連の五味さんは30cm級と28cmの一荷。右舷ミヨシ2番の席に座っていた本紙愛読者の稲生さんは操舵室から顔を出した船長のアドバイスを受けて30cmを連発する。
私は「写真を撮ろう」と、1m高くタナを取って置き竿にしていたところ、竿先が海面に突き刺さるようなアタリ。先ほどよりも強い三段引きで、釣り上げたのは37cmの良型。
これをみて「置き竿でやろう」と思ったが、ベラやフグなどのエサ取りが多く、タナ取り後は仕掛けを1分以内に回収しないとエサどころかハリがなくなる。
この根には、美味しい根魚がいろいろ付いていて、私は30cm級のマハタや20cm級カサゴが4尾釣れた。クロメバルをゲットした人も。
左舷トモに入っていた常連の吉田さんは30cm級のマハタ、65cmのニベ、1.5kg級のヒラメを釣り上げる。
こうして何らかの魚が釣れ続くなかで、時折、本命が顔を出すのでとても面白い。低めのタナは30cm以下の本命や根魚が多く、それ以上のハナダイは高めのタナでアタッた。