春の投げキス釣りにおいて、臆病なキスを釣るには穏やかな天候と潮の動きが重要である。海藻対策には仕掛けの工夫が必要で、これは半遊動天秤が有効だ。今回は攻略法を解説しながら、紀北や紀南での実践釣行の模様をお伝えしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・牧野博)
狙い方のポイント
チョイ投げの場合だと、2~3色程投げ、超スローペースでリールサビキ、ときどき仕掛けを止めるといったゆっくりとした誘いのかけ方が有効である。
日増しに暖かくなってくると、砂浜のポイントでもチョイ投げゾーンでも散発的にキスが姿をみせるようになるが、それ以外にもチョイ投げが有効なシチュエーションがある。
それは荒れ気味のときで、前回の釣行記でも説明しているが、外海の波が高いときや風が強くてサラシている時、付近の漁港内などにキスが入り込んでいる場合がある。今回の釣行はまさにそんなコンディションであった。
また、一般的な内湾や、砂浜海岸、磯周りの砂泥底のようなオープンな釣り場の場合には、やはりある程度の遠投が必要である。良型も多いが、夏場のような激しい魚信を見せることはあまりないので、少しでも違和感を感じたら、一瞬仕掛けを止めたり、さびく速度を落としたりして、ゆっくり食い込ませてやる方がいい。
3点4点でくることは少ないので、仕掛けを回収する時はリーリングスピードを安定させて、手前のシモリに注意してうまく取り込みたい。
紀北エリア:田ノ浦漁港で実釣
5月連休は南寄りの強い風に悩まされたが、連休最終日には若干風雨がましになった。午後3時半ごろから田ノ浦の漁港に入る。サビキ釣り他波止釣りでにぎわうポイントであるが、時間的なこともあってか他のアングラーはほとんどいなかった。外海は波が高かったが、港内の一番奥のワンドは波が比較的穏やかだった。
ルアーロッドによるチョイ投げでオモリは12号、港内は藻が多く、L型天秤のアームの付け根(錘からアームが出ているところの近く)に、糸状の藻がくっついてさびく途中で急に重くなる。
そこでオモリ着脱式の半遊動天秤に交換したところ、かなり藻絡みは軽減でき、サビキも快適になった。まだ、そんなに活発に魚信があるわけではないが、日暮れ近くまで3時間ほど探り、キス18cmまでを8匹。紀北でもチョイ投げキスがスタートしたことを実感できた。
田ノ浦漁港
紀南エリア:扇ヶ浜&芳養・大屋の磯で実釣
午前7時半ごろから、まず扇ヶ浜の護岸を探る。この日は普通の投げでチャレンジした。この日も西寄りの風が強かったが結果的には2~3色でアタリがあり、小型のキスを3~4匹取り込んだが、足元に捨て石があり、その先は海藻ゾーンになっているので、取り込みが難しく、苦戦。
午後からは芳養・大屋に移動、下げ潮周りで現れた磯場に出て探った。ここでは4~5色ゾーンで単発ではあるが扇ヶ浜よりも型が良かった。当日最長は20.5cmで、午後4時過ぎまで探ってキスを追加、この日の釣果はキス20.5cmまでを10匹。どうにか2ケタに乗せた。
扇ヶ浜ではやや荒れ気味のためか、40cm近いエソが1匹きた。結構どっしりした魚体だったのでさばくとやはり抱卵していた。鯛の子ならぬエソの子であるが、煮つけで食べたら美味であった。身の方も少し小骨があったが、いい味だった。
紀北でも、紀南でも、キスがシーズンインした。投げ、チョイ投げどちらでも楽しめるようになってきた。これから7月ごろまでが、前半のベストシーズンである。
<牧野博/TSURINEWSライター>
扇ヶ浜