海中で自然分解される釣りエサ容器「ベイトバガスパック」に注目 フィッシングショーで担当に直撃

海中で自然分解される釣りエサ容器「ベイトバガスパック」に注目 フィッシングショーで担当に直撃

「フィッシングショーOSAKA2024」に潜入。その中で、「万が一海に落としてしまっても分解される、環境配慮型の釣りエサ容器」を販売している株式会社折兼のブースを訪問した。気になる製品の詳細や、釣りエサ容器に着目したきっかけなどを営業企画部の味岡さんに伺った。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部 河野)

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目次

折兼はどんな会社?

株式会社折兼は、スーパーやコンビニで販売される食品のパッケージや容器、袋といった包装資材をはじめ、衛生関連・環境対応商品、包装機械などを取り扱う食品包装資材の専門商社。

海中で自然分解される釣りエサ容器「ベイトバガスパック」に注目 フィッシングショーで担当に直撃株式会社折兼のブース(提供:株式会社折兼)

そんな食品包装資材のプロが、海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、関西の大手釣具店とタッグを組んで開発したのが、生分解性のある釣りエサ容器「ベイトバガスパック」だ。

自然に分解する釣りエサ容器

フィッシングショーの同社ブースでも展示されていた、「ベイトバガスパック」の特長について紹介していく。

廃棄される植物原料を再利用

「ベイトバガスパック」は、サトウキビの搾りかすと竹を混ぜて作られており、本来廃棄されてしまう植物原料を再利用した「バガス素材」が使われている。

海中で自然分解される釣りエサ容器「ベイトバガスパック」に注目 フィッシングショーで担当に直撃ベイトバガスパックに使われている「バガス素材」(提供:株式会社折兼)

万が一海に落としても分解される

この商品に使用されているバガス素材の最大の特長が、「生分解性」だ。原料が植物由来な為、海洋下で自然に分解する性質を持つ。現在釣り業界で使用されているプラスチック製の釣りエサ容器は、海に落としてしまうと分解されることなく海洋プラスチックごみと化してしまうのだが、この「ベイトバガスパック」は156日で分解されて無くなる。また、海だけでなく、陸上の土でも76日で分解されるというから驚きである。

海中で自然分解される釣りエサ容器「ベイトバガスパック」に注目 フィッシングショーで担当に直撃海中で分解される「ベイトバガスパック」(提供:株式会社折兼)

二酸化炭素の排出量が少ない

プラスチック製の釣りエサ容器は石油から製造されている為、製造過程で多くの二酸化炭素を排出してしまう。しかし、「ベイトバガスパック」は石油資源を全く使用していないので、製造過程において二酸化炭素の排出を大きく減らせるのだ。また、使用後にゴミに出して焼却される際にも、プラスチック製の容器と比較し、二酸化炭素排出量が80%以上も削減できる為、まさに「海のゴミ問題だけでなく、焼却後の環境のことも考えられた商品」だと言えよう。

担当者インタビュー

食品容器をメインに取り扱う同社がなぜ釣り業界に参入したのかなど、気になった点を営業企画部 の味岡さんにインタビューしてみた。

着目したきっかけは?

弊社の中でメインに取り扱うのは、食品に関わる容器や包装資材ですが、その中の「バガス素材」を使用した容器の強みである「生分解性で、海においては156日間で分解される」点で、なにか別の形で社会に貢献できないか模索しておりました。そんな中、釣り好きの社員が飛び込みで、大手釣り具の量販店様に売り込みをかけ、海洋ゴミを問題視されていた量販店様の意識が合致して「ベイトバガスパック」の共同開発がスタートし、商品化の運びとなりました。

どんな人に認知してもらいたい?

釣り業界の小売店様・卸店様に認知していただくことも大事ですが、エンドユーザー様に手に取ってもらい、知っていただくことも目的にしています。なぜ、プラスチック製の釣りエサ容器から、この「ベイトバガスパック」への変更を提案しているのかを知っていただくことが大切ですね。

釣り場で使うメリット

この「ベイトバガスパック」は、プラスチック製ではない為、中身が見えないというデメリットを抱えています。しかし、それを逆手に取ると「直射日光を避けられる」という強みにもつながります。

海中で自然分解される釣りエサ容器「ベイトバガスパック」に注目 フィッシングショーで担当に直撃エサ持ちが良くなるのがメリットの一つ(提供:株式会社折兼)

その為、ユーザーの方から、「プラスチックの容器と比べて、エサ持ちがとても良いよ」という嬉しい声をいただいています。そこは釣り人の皆様にメリットだと感じていただけると思います。

来場者の反応

大阪のフィッシングショーということもあり、「関西の釣り具店で採用されているよね」というコメントをいただきました。またブースで、なぜこの商品に切り替えていかなくてはならないのかを説明できたことで、「コストが上がっても、こういった環境配慮型の製品を使っていかなくちゃいけないね」などの嬉しい声をいただきました。

釣り人の心掛けで釣り場の未来は変わる

今回のブース訪問で、釣りが好きな筆者も、改めて釣り場の環境維持に努めていきたいと感じた。「ベイトバガスパック」のような環境にやさしい商品を使いつつ、釣り場で出たごみは必ず持ち帰るなど、当たり前のことを釣り人が心掛けることで、限りある釣り場の未来は変わってくるのではないだろうか。

<河野/TSURINEWS編集部>