日本は四方を海で囲まれた水産大国ですが、漁獲量の低下やコスト削減のために海外から魚を輸入することも少なくはありません。日本にはどんな魚が輸入されているのか、知っていますか。代表的な輸入魚を見ていきましょう。
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日本に輸入される魚たち
魚をはじめとする水産資源に恵まれた日本ですが、魚介類の供給を海外から賄っている事実があります。実際に2019年には247万トンもの魚介類が外国から日本に輸入されました。(参考:水産庁 『水産物貿易の動向』)
輸入魚は観賞用を除き、冷凍の状態で輸送することがほとんどです。しかし、近年は流通の発達により食用の生魚が空輸されることもあります。
高級魚で知られるアカムツ(ノドグロまたはキンギョ)やシロアマダイは、隣国の韓国から冷凍物を輸入しています。これらの魚は日本にも生息する種なので、魚のみの外見から外国産と見破るのは非常に難しいです。
生活に馴染む輸入魚はスーパーでも
海外の魚なんて食べたことがないと思う人もいるかもしれません。しかし、輸入した魚たちはスーパーでごく普通に見ることができます。
例えば、土用丑の日に欠かせないウナギは、中国から輸入したものがスーパーに並びます。
惣菜などに使用される魚で、”アカウオ”という表記を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
“アカウオ”はメバル科の魚のうち、体の色が赤い種の総称です。主に日本が輸入しているのはアラスカメヌケ、モトアカウオ、チヒロアカウオの3種です。
アラスカメヌケは、北太平洋に分布する種であり日本でも少量漁獲があり、国産の生魚はやや値段が高めです。生魚は刺身で食べると非常に美味です。
モトアカウオとチヒロアカウオは、北大西洋に分布する種で日本では漁獲されることはまずありません。
いずれも輸入されたのちに粕漬やみりん干しに加工されることが多いです。メヌケなどの赤いメバル科の魚は、国内であれば高級魚であることが多いですが、これらの魚たちは比較的安価に入手することができます。
余談ですが標準和名が”アカウオ”の種もおり、こちらはハゼ科に属する小型種で、通常食用にはなりません。
そのほか、スーパーで見られる輸入魚には、主に干物やフィレーに使用される”シルバー”(イボダイ科)、主に焼き物使用される”銀サワラ”(クロタチカマス科)、主に煮付けや焼き物に使用される”メロ”(ノトセニア科)などがあります。
時代で変化する輸入魚
輸入魚には時代によって変化があります。
1つ目の変化は<輸入魚に与えられる名称>です。食品表示法の改定により平成15年3月より標準和名がない魚の名称についてのガイドラインが設けられました。それまでは、分類に関わらず他の魚の名称を使用した魚が多く出回っていましたが、これにより著しく誤解を招く和名の表示ができなくなりました。
先ほど紹介した”メロ”はかつては”ギンムツ”と呼ばれていましたが、ムツ科ではないことに加え高級魚のムツと混合してしまうことから、名称として使用できなくなりました。
2つ目の変化は価格です。以前は<輸入魚と言えば安い>とのイメージを持つ人も多かったですが、近年ではそうではありません。例えば”ギンダラ”は昔であれば安価な魚でしたが、近年の漁獲量の減少により、昨今では値段が上昇しています。