毎年年の瀬が押し迫ると、三重県・鳥羽沖が騒がしくなる。水温の低下とともに、伊勢湾奥から大挙して出てきた青物の群れが、伊良湖沖から鳥羽沖にかけての伊勢湾口に集結する。特に鳥羽沖はかつて20kgオーバーの日本記録のブリが出た海域。今回は12月22日に、鳥羽沖の巨ブリを狙って出撃した。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 杉山陽佑)
中盤から本領発揮
水道を抜け、今度は答志島の沖へ。見ると2隻の僚船が流しており、そのうち1隻でサオが曲がっているのが見えた。これはイケそうだ……とジグを落とすと、何かがまとわりつくような違和感。再び落とし直すが、次は何も反応がない。
あれ?と思いながら中層付近まで巻き上げてくると、いきなりドスンとティップが海面に突っ込んだ。すかさずアワセを入れファイト開始。待ちに待ったヒットは、船中一番乗りだ。
途中何度かドラグを滑らせたが、無事浮かせてネットイン。70cmあるかなしかのワラサだった。この極寒のなか、何よりうれしい1匹だ。そしてボトムからかなり上、中層でのヒットだったことがヒントとなった。
ジグが暴れ過ぎないことが肝心
鳥羽沖をはじめとする伊勢湾口のジギングは、日本海での青物ジギングとは明らかに違う面がある。日本海ではセミロングやダート系のジグを使い、スピニングタックルで大きめのワンピッチジャークを入れ、ジグを横に飛ばすシャクリが主体。近年スロージギングの流行でフォール主体の釣りもよく見かけるが、これは例外として伊勢湾口では、ジグが動きすぎないことが条件となる。
ここで必須なのが、動きすぎないジグとジグの動きを殺すロッド。今回私が使用したロッドは、ダイワソルティガスリルゲームXXHB。フルソリッドで柔軟なティップがアクションに追従し、ジグが暴れるのを防いでくれる。
また使用したジグは前述したが、剣屋の頑鉄とダイワTGベイト。いずれもウオブリングアクションで、決して横っ飛びすることはないいわゆる動かないジグだ。他にもCB‐ONEのF1やバスデイのカリボソなどが挙げられる。
ちなみフックは上下にタンデムフック(ダブルフック)をセット。テールフックがリーダーに引っ掛かるエビ(テーリング)の状態になれば、ジグが動きすぎている証拠。シャクる力を弱めてやろう。
ちなみに当日はがまかつふかせバリ20号で自作したタンデムフックを使用。自作しなくても、出来合いのものが多く釣具店に販売されているので、それを使えば問題はない。
メインラインは潮が速いエリアなので細い方がいいが、何せ10kgオーバーも潜む海域。最低でも1.5号、できれば2号を使いたい。リーダーはフロロカーボンラインの8~10号を4~5ヒロほど取った。
中層までの誘い+ただ巻き
基本のアクションは、ストロークを極端に小さくしたワンピッチショートジャーク。だが意識していてもエビが多発するようであれば、この際アクションはつけずただ巻きでもいい。
実際、この日も昼すぎに2匹目がヒットしたのだが、ボトムからのただ巻きにわずかにリールを巻くリズムを変えて微細なアクションを入れた誘いへのヒットだった。渡邉さんも中層までの誘い+ただ巻きで、2匹のワラサをキャッチ。
渡邉さんの隣のアングラーにも回収中のヒットがあり、やはりいかにジグを暴れさせないかがキモとなったようだ。
サワラのリーダーカッターも
この日中盤で、フォール中にゴツゴツというバイト。この時、実は私は片手でパンを食べており大幅に反応が遅れて、すかさずアワせたところ、数秒のファイトでぷっつりリーダーが切られてしまった。明らかにサワラの仕業だ。手応えからしてそこそこのサイズだったはずだが……。
伊勢湾口にはサワラやサゴシも非常に多い、これらはフォールに強く反応するので、私のようにフォール中にパンを食べるなんてことはしないようにしてほしい。不意のバイトに反応できず、悔しい思いをすることになる。
寒ブリシーズンはまだまだ続く
結局この日は2人で仲良く2匹ずつワラサをキャッチし、午後2時前に終了。船中釣果はワラサ8匹。いずれもサイズは70cm前後だった。狙っていた極太寒ブリは手にできなかったが、この号が出るころも寒ブリシーズン真っ最中。
寒ブリといえば富山県の氷見が有名だが、鳥羽沖のブリも勝るとも劣らない極上クオリティー。今季はぜひとも釣って食べて冬の鳥羽はカキだけではないことを実感してほしい。
<週刊つりニュース中部版 杉山陽佑/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2024年1月12日号に掲載された記事を再編集したものになります。