11月に入ると日本海のアオリイカはそろそろ終盤戦。代わって面白くなるのが、熊野灘に面した三重県・紀東エリアだ。黒潮の影響を受けるこの海域は、真冬でも水温が15度を下回ることは少なく、数は減るが春先までアオリイカが狙える。今回は11月から盛期を迎える三重県・紀伊長島三浦沖にスポットを当て、ボートエギングでの実釣記、攻略法をお届けしたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
ティップランへ転戦
さらに反応が良くなりイケスの中のアオリイカが10匹を超えたころ、風が吹き始めた。時刻は11時。ここぞとばかりにボートを沖へ向けて走らせる。ティップランの時間だ。
事前の省吾さんの情報では、水深36mぐらいまではイカが釣れていたらしい。山根さんがティップランで愛用するのは、レトロなアジングロッド。ティップの軟らかさがちょうどいいらしいが、グリップエンドが短いのが難点らしい。
エギは仮面シンカーを付けたエギの上に、もう1つ小型のエギを付けるお助けリグ。2つのエギで誘うわけだが、なぜかヒットは上のエギに集中するらしい。お助けリグのキモは、上になるべく小さいエギを付けること。山根さんは最初2.5号を使っていたが、今ではなんと1.8号を使っている。渡邉さんはラグゼエヴォリッジ3号にヤマシタTRシンカーを付けたものだ。
1.8号エギで770gアオリ
水深25mラインから岸に向けて流していくが、なかなかアタリがない。風はちょうどいい感じで、ボートはほどよい速度で流れてくれる。キャスティングなら邪魔な風だが、ティップランではこの風がないと釣りが成り立たないのだ。
2度目の流し替えはコースを少し変えて、やはり25mから流していく。すると、22mで山根さんに待望のアタリ。グイングインとアジングロッドを絞り込み、良型を予想させる。
やがて浮いてきたのはこの日の最大となる770g。やはりというか、上の1.8号のエギをしっかり抱いていた。
風裏で再びキャスティング
だが、この後はさっぱり。35mまで探ってみたが、魚らしいアタリがあった他は何もなく、再びキャスティングに戻ることになった。
ポイントは朝の湾口のシャローか島周りか迷ったが、山根さんのカンは鈴島という島のサーフに絡むシャロー。ここならまだ吹いていた風も遮られる。
水深6mのポイントにボートを止めると、思った以上に流される。風が巻いてわずかながら当たることもあるが、潮がかなり効いているようだ。
そしていきなり山根さんのロッドが弧を描く。イージーQを抱いて上がってきたのは、500gクラスのアオリイカ。さらに連発で、次々ヒットを重ねていく。苦戦していた渡邉さんも久しぶりのヒットに、安堵の表情を浮かべている。
ボートがある程度流されたら、再びシャローに戻して流し直す。結局ここで5匹のアオリイカを確保し、計18匹の釣果で午後3時に帰港した。
状況に応じて釣法を使い分けよう
港に戻ってみると、ティップランオンリーで出たボートは全滅。船中で1~2匹といったところだったようだ。結論としてこの日はキャスティングが良かったということだが、この逆のパターンもしょっちゅうある。
「どちらかしかできない」というのは、釣りの幅を狭めてしまう。状況に応じて、どちらの反応がいいかを見極めた上で釣法を選択するのがベストということだろう。もちろん海況や時期によっても変わってくるが、今年は11月に入っても異常な暑さが続いていることもあり、まだまだ紀東エリアのボートエギングは楽しめそうだ。
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2023年11月17日号に掲載された記事を再編集したものになります。