豆アジの季節が始まる。アジは小さければ小さいほど釣りにくい。ルアーで釣るアジングでも、サイズ15cmの相手には、手こずるものだ。夏の豆アジングの基本をおさらいしよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
豆アジングの難しさ
アジは釣り場に入っていれば、とりあえずアタリは出る。時間は夕マヅメ~夜が、やはり釣りやすい。その時間に打つべき場所で、打つべきリグを投げれば、何かしら反応は出る。
夏期は湾内や特定のポイントに留まるアジは、概して小さい。豆アジといわれる15cmレベルだ。もっと小さい豆々サイズ(アンダー10:10cm以下)もいる。こうなると釣ることは遊びというより苦行にすらなってくるが、釣り方を発見することができればむしろ楽しい。
豆アジが難しい3つの要因
では、なぜ豆アジングは難しいのか?その3つの要因について述べていきたい。
ショートバイト
豆アジはバイトが小さい。群れでひとつのエサを奪い合うように突ついてくるのだが、それぞれのバイトが微かなものなので、アワセきれない。シュン!とティップを立てて掛けにいこうとしすぎると、イト鳴りやリグの不自然な動きで見切られるので、ヘッドのウェイト調整などでうまく打開したい。
身が軽くて外れやすい
掛けたところからも豆アジは油断できない相手だ。身が軽くて外れやすいのがまたバラシが増える理由である。一方的に巻いてこようとすると海中でクルクルと回ってしまいフックアウトする。とにかくドラグをずるずるに出しながら水中でのアジの動きをうまく制御して、釣り上げるしかない。
口破れする
アジングで狙うサイズのアジはもう何もかも厄介な小魚くんだが、小さいヤツはまた何よりも「口破れしやすい」という難しさがある。アジの口は、下の画像のように非常に薄くて脆くて破れやすい。ハリがかりしてここの穴が大きくなると、いとも簡単に外れてしまう。
掛けた部分の穴が大きくなるのは、主にはハリのバーブ(かえし)のせいだ。バーブレスのフックかセミバーブレスのヘッドを用いて、口破れさせないように慎重に釣っていこう。
どのように打開するか
続けて、上のような「豆アジングの難しさ対処術」を、タックル面から解説したい。
徹底してフィネスな釣りを
豆アジングではなるべく軟らかいロッドを使いたい。アジングのロッドといえば、従来「パッツン系」と言われるほどロッドが硬いが、もうトラウトロッドくらいまで軟らかくしてもいい。もっとも、最近はアジングロッドもティップがいくらか軟らかく加減されており、豆アジにも対応可能ではある。参考として、穂先の調子がUL表記のロッドを選べば間違いはないだろう。
「徹底してフィネス」――これが豆アジングの鉄則だ。ロッドの次は、ライン。せいぜい自重50gもない豆アジを釣るのに、PEラインはおろか、エステルラインでも0.3号は必要ない。水中で軽量リグのメンディングがしやすく、リグが操作しやすい、0.2号のエステルラインを使おう。筆者は、アジは多投しているとイトを見切ると思っているので、豆アジだけは0.2号を使う。その他のシーズンでも25cmまでなら、0.2号か0.25号でOKだ。
ショートバイト対策
小さいアタリの対策としては、ヘッドウェイトとハリのサイズを調整する。ヘッドウェイトはアタリが出る範囲内でなるべく軽くするのが基本だが(例外もあるけれど)、ハリのサイズはあえて大きくした方がいいこともある。
特に小さいアタリが絶え間なく出る、「高活性ショートバイト」のときには、ハリを大きくすると、アジがすんなりかかることも多い。
「水中で釣りきる」
豆アジはとにかく外れやすい。掛けバラシ・乗せバラシは群れにプレッシャーをかけるので、できれば一切したくない。前述のようにアジが外れたり口破れする理由は、身の軽さや口の脆さによる理由で、その困った特徴には、ドラグやリグではある程度までしか対処できない。
ただ、釣り人のスキルとして、もうひとつできることがある。それは、「アジを水中で釣りきること」だ。アジは海面に身が上がってしまうと特に外れやすいので、なるべく足元まで水中を泳がせてこよう。
時合いで見切ってしまおう
豆アジは、深追いするとドツボである。その日の気分によってはもう徹底的にダメなこともある。それでも食い気の立つマヅメには海に入っていれば食ってくる。その時間でアジは見切ってしまって、夜はカサゴゲームに切り替えてもいいだろう。見切りもひとつの手だ。
<井上海生/TSURINEWSライター>