大阪南港での釣りの「昔と今」 変わりゆくターゲットと増える釣り禁止エリア

大阪南港での釣りの「昔と今」 変わりゆくターゲットと増える釣り禁止エリア

哀愁の大阪南港。昭和の唄に歌われたところでは、「大阪の海は哀しい色やね さよならをみんなここに捨てにくるから」――。そんな叙情的な表現が似合うかどうかはこの海を深く知るほど「……」であるが、ともあれ、今回はそんな大阪南港を釣り人目線で見ていこう。

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(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)

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井上海生

フィールドは大阪近郊。ライトゲームメイン。華奢なアジングロッドで大物を獲ることにロマンを感じます。

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大阪南港の釣り

大阪南港というエリアは大阪湾奥の一部であり、大体の範囲としては咲島からかもめ大橋を言う。淀川に近づいていくエリアは北港。どちらかといえば北港の方が潮通しがよく、南港はシーサイドコスモ(コスモスクエア駅)を除いて、あまり潮が流れる釣り場がない。

釣り場として入れる場所は、シーサイドコスモ、南港釣り園、かもめ大橋、イケア横の四箇所。特に電車でのアクセスもよいシーサイドコスモは、土日は釣り人で立錐の余地もないほどだ。当然利用するのは釣り人だけではないので、顰蹙を買うような行動は慎まれたい。

大阪南港での釣りの「昔と今」 変わりゆくターゲットと増える釣り禁止エリアシーサイドコスモ(提供:TSURINEWSライター井上海生)

南港釣り園とかもめ大橋はほど近い位置にある。ほとんど車以外でのアクセスが不可能だが、近隣の道路は路上駐車禁止のポールが立てられているのでマナーを守ろう。以前はタチウオのメッカであったが、最近はその他の周り物含め、かもめ大橋には入らなくなった。ただボトムのカサゴと、外海向きの堤防の表層のメバルは大きい。

イケア横は無料の駐車場が直結したポイントだが、あいにく釣り場が猫の額ほどしかない(もうちょっと大きいかな)?どういうわけかアジングをしていると、チヌがよくヒットする。だが足場と海面が5m以上あるので、なかなかタモ入れしにくい……。

「床画」が語る釣り物

ざっと紹介すると上のようなところだが、面白いのは、コスモスクエア駅の「床画」だ。

コスモスクエア駅のホームの床には、あるいはこの駅が造られた当時南港でよく釣れたのだろうか、ちょっとオマヌケな画風で描かれた魚の「床画」がある。いくつか紹介しよう。

大阪南港での釣りの「昔と今」 変わりゆくターゲットと増える釣り禁止エリア マダイ?(提供:TSURINEWSライター井上海生)

これは、マダイだろうか。そんなに釣れる印象ないけどな……。

大阪南港での釣りの「昔と今」 変わりゆくターゲットと増える釣り禁止エリア チヌ?(提供:TSURINEWSライター井上海生)

チヌかな?うん、確かに夏場はよく釣れる。通年釣れるターゲットといってもいい。

大阪南港での釣りの「昔と今」 変わりゆくターゲットと増える釣り禁止エリアタチウオ(提供:TSURINEWSライター井上海生)

最近は回遊が薄くなったタチウオ。しかし「大阪南港といえば」という印象が根強い。ルアー釣りよりもエサ釣りに分があるので、ルアーマンもエサで狙ってみてはどうだろう?

大阪南港での釣りの「昔と今」 変わりゆくターゲットと増える釣り禁止エリアカワハギ(提供:TSURINEWSライター井上海生)

なぜ、カワハギ?釣れるの?春とか?いやいや、それくらい海の状況が変わったのかもしれない。自分自身の感触としても思うが、たとえばアジはこの数年で1/5近くに数が減っている。黒潮大蛇行の影響もあるだろう。今後、この海にまた豊かな生命が戻ることを願おう。

リアルタイム釣り物紹介

さて、では今現在(6月~)の釣り物について紹介したい。

まさしく現在はメバルがよく釣れている。波止の表層を打つだけなので、ルアーフィッシング入門にもいい。ただ最近は嬉しいことに驚くほどの良型がくるので、ラインシステムはPEライン0.3号以上リーダー5lbと、強めに張っておこう。

それから、水温が上がるに釣れてチヌが本格始動する。4月にはノッコミの群れもちょろっといた。シーバスは今現在バチ抜けパターンになっていないので、秋まで待つしかない。

大阪南港の夏の風物詩といえば、新子ダコだ。早いスタートであれば梅雨時期から始まるので、そろそろタコジグの準備をしたい。キャストした先のボトム付近をエギで狙うのも手である。暇なエギングアングラーは、今しばらくは新子ダコで足8本と浮気してみては?

南港はいつまで釣り場が残るのか

ああ大阪南港。湾奥の宿命的なキツさとして、そもそも大型の回遊魚が入りにくいという特徴がある(そのわりに今は毎年のようにフィーバーとなる時期があるが)。そこへ黒潮大蛇行が絡み、すべての魚のベイトとなるアジも密度が薄くなった。そして、増え続ける釣り禁止エリア。原因として釣り人のマナーもあるだろうが、あれやこれやとイベントをやろうとして人工島を無秩序に作り続けるのも環境破壊のように思える、と一言呟いておきたい。

決してきれいとは言えない水色が物語るように、人の生活というものが染みついた味のある海だ。これからも永く釣り場として存続することを願う。万博がひとつの区切りになる予感もあるが、どうだろう。

<井上海生/TSURINEWSライター>

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