投げ釣りでは、時として思いがけないゲストが竿先を震わせる。今回は紀ノ川河口の落ちギス釣りでゲストとして釣果のあったヘダイ(20cmほどの小ぶりのもの)を、キスとの刺身食べ比べを行ってみた。ヘダイは味がいい魚としてキャスターにも知られていて楽しみである。刺身の作り方と食べ比べの結果をリポートしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター牧野博)
釣った魚の保存と運搬
釣れたヘダイやキスやキュウセンはクーラーにすぐ投入、魚が氷や保冷材に直接接触しないようにビニール袋などに入れて持ち帰る。
今回はできなかったが、マダイやチヌやキビレ、ヘダイなどタイ類で型が大きいものは、できれば現場で絞めて血抜きした方がいい。
ヘダイとキスをさばく
鱗を取り、内臓をきれいに取る。この後、3枚にさばく。包丁を寝かせて腹骨も取る。
キスの皮を引く
包丁を寝かせ、キスの尾の方から皮を引いてゆく。このとき、包丁はほぼまな板と平行になるぐらい寝かせ、左手で尾の方を持ってゆっくり引く。包丁の方はあまり力を入れなくてもいい。引いた皮は、取っておき、湯引きにして酢の物にも使うことができる。
ヘダイを湯引きにする
ヘダイは小型だったが、かなり魚体が充実していたので、皮と身の間も味わうべく、皮つきのまま湯引きにした。3枚におろし、血合い骨の部分をカットして背の身と腹身に分ける。
湯を沸かし、まな板に載せたままで皮つきのヘダイの切り身に湯をかけ、すぐ氷水に入れて冷やし(写真参照)、キッチンペーパーで水気をしっかり取った。
刺身を造る
湯引きにしたヘダイを適当な大きさに切る。キスは尾の方の身を切った後の身は、上身と腹身に分けて血合い骨の部分をカットし、糸造りにした。冷蔵庫に残っていたラディッシュやカブの葉をあしらいにして盛り付けた。
刺身の味わい
まずはヘダイから食べてみる。小ぶりなのであまり食べ応えはないが、皮つきで湯引きにしたのは正解だった。皮と身の間に旨みがあって、身のほうもクセがなく、旨みや白身魚らしい脂も感じられる。個人的な感想になってしまうかもしれないが、キビレやチヌよりも味わいは勝っていると感じた。
キスはヘダイに比べるとやや味わい的にはあっさりした感じである。キスの旬は一般に6~7月といわれるが、落ちの晩秋の時期も身が充実していて結構食べ応えがあった。
釣りで遭遇するいろいろなゲストの中には、一般にはあまり知られていないが美味い魚も多い。最近はそうした魚も、結構スーパーなどでも見かけるようになった。そんな魚を思いがけなく手にして味わうことができるのもアングラーの楽しみといえる。面白そうなゲスト釣果があれば、またリポートしてゆきたい。
<牧野博/TSURINEWSライター>