陸っぱりエギングの【奥深すぎるドラグ設定方法】 目的から理解しよう

陸っぱりエギングの【奥深すぎるドラグ設定方法】 目的から理解しよう

ドラグに求める機能として、ファイト中の「ラインブレイク」にフォーカスが合いがちですが、エギングにおいては、「シャクリ」の質を向上させる機能も担うと、筆者は捉えています。そこで、筆者が「陸っぱりエギングのドラグ設定」について、「ラインブレイクの防止機能」以外の目的にも触れながら、その重要性についてご紹介します。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター松永一幸)

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松永 一幸【上天草市公式釣り人】

【上天草市公式釣り人】ルアー・フィッシングが大好きな磯釣り師です。「釣果」より、「思い出に残る」釣りの探究に努めています。

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ソルトルアー エギング&イカメタル

ドラグの設定方法

ドラグの設定は、基本的に「糸を引っ張る強さ」に対して、「どの位まで耐えて糸を出すか」の調整を行うことになります。スタンダードな設定値は、「500gで出る程度」や「シャクった時に少し出る程度」とされています。設定値を500gと決めて、設定して下さいと言われて、「ん?」っとなる初心者の方が多いと思います。そこで、筆者の設定術です。

まずは、所有するタックルに500mlのペットボトルに水を入れて、吊るしてからティップが曲がった状態で、スプールが回って「チリチリ」と鳴り、糸が出るように設定して下さい。これが、500gの設定になります。

指先で抵抗を感じる

ここからが本題です。一度、ペットボトルを外し、いつもロッドをシャクる方の腕ではない方の、手の「親指と人差し指」で、スプールをドラグ音が鳴る方へ回して下さい。「重さ」が分かると思います。何事も、精密な操作をするのは「指先」です。腕の筋肉は強過ぎるため、ただでさえ釣り場で高揚してる状況では、正確に重さを感知するのは難しいと筆者は考えます。そのため、「指先」でスプールの抵抗を記憶することをお勧めします。

陸っぱりエギングの【奥深すぎるドラグ設定方法】 目的から理解しようスピニングリール(提供:TSURINEWSライター松永一幸)

ワッシャーの枚数を意識する

所有しているリールは、どの様なリールでしょうか。デザインや名前を覚えるところで満足せず、搭載している「機能」にも目を向けてみましょう。その上で、「ドラグワッシャー」は何枚でしょうか?簡単に言えば、1枚か3枚のフェルト素材のワッシャーが入っていると思います。沢山入っているから「いい」と言うわけでもないのですが、所有しているリールのドラグ性能に、向き合うことが最大のポイントになります。

同じ回し方でも異なるドラグ

1枚の物と3枚の物では、同じ番手でも「実用・最大のドラグ力」が違うのが特徴です。特に最大ドラグ力の差は大きいです。ですので、ドラグノブを回す時は、ここを意識していないと、大雑把に「これくらい!」と大きく回すと、3枚の物はドラグ力が強くなり過ぎ、ファイト中のラインブレイクや、アワセの際の、イカの身切れの原因になります。

更に、エギング専用の物の中には、少しドラグノブを回しただけで、ドラグ力が大きくかわる設計の物もあるため、設定の際に注意が必要です。逆に言えば、動作がコンパクトに済むので、素早い対応が可能になります。まずは、所有してるスピニングリールの搭載機能を把握してください。

陸っぱりエギングの【奥深すぎるドラグ設定方法】 目的から理解しようエギングアングラー(提供:TSURINEWSライター松永一幸)

エギングのドラグ設定変更の目的

エギングでは、「シャクリ」でエギへ加えるインパクトの強弱で、大きくアクションがかわるため、自分がイメージする「エギの動き」を演出するために、「シャクリ」に変化を与えることが、常に求められます。

前項で記載した通り、腕で強弱をつける範囲は狭いと、筆者は考えており、その強弱の調整範囲をドラグにより広げてもらうことで、さらにエギの動きに僅かな変化を与え、その日の釣れるアクションパターンへ、近づくための重要な機能を担っていると考えます。その重要な機能を目的ごとに紹介していきます。

自分に合わせる

シャクった時に、「手首に少し負担が……」や「肘に力が抜けて、あんまり長くは無理かな」と感じることはありませんか?また、シャクった際、エギが水の抵抗を受けるのをダイレクトに感じ過ぎて、真っ直ぐシャクれず、ロッドが蛇行することはないですか?それは、ドラグ設定が自分に合ってないからかもしれません。前項にあった「シャクった時に少し出る程度」の誤解になります。

まずは、ロッドを真っ直ぐに振り抜きシャクれるようにドラグを緩めながら調整し、今日の自分の身体コンディションに合わせて下さい。

釣れているイカのサイズに合わせる

春と秋では、釣れるイカのレギュラーサイズの重さに、合わせることも大事なファクターとなります。基本的にエギを横抱きされるため、ドラグ設定が弱いと、アタリにアワせた際に、イカが乗らない原因になります。しっかりカンナに掛けるためにも、釣行時に釣果情報で、レギュラーサイズの確認をしておきましょう。

また、設定の感覚としては、「キロクラス」なら「少し強めの設定を」と、よく表現にありますが、記憶した指先を信じて、500gより気持ち強い程度で大丈夫です。

エギの動きに合わせる

「シャクリ」で、エギを跳ね上げさせるのがエギングです。とクドイのですが……。

エギの跳ね上がる「角度」と「移動距離」を意識して、シャクっているでしょうか?「見て!あの人、イカ釣ったよ!」と、その人のエギカラーとシャクリを真似する人が、ほとんどだと思います。しかし、その姿と動作から見えない情報が、エギの跳ね上げ「角度」と「移動距離」です。その調整を担うのが、ドラグなのですが、シャクってロッドが止まった位置で、ドラグが逃す力の量で、エギの跳ね上がる「角度」と「移動距離」がかわります。

勿論、ロッド操作の影響力には劣りますが、そのロッド操作のアシストをドラグが担ってると意識するのが肝要です。また、エギのアクションの方向性を決めて設定するのも大事です。

スラックジャークと秋のキビギビジャークでは、まるで、ロッドアクションが異なるため、ロッドワークに着目しがちですが、ここでもドラグのアシストがあって、初めて成立すると思います。大事なのは、「エギにどうインパクトを加えるか」です。

陸っぱりエギングの【奥深すぎるドラグ設定方法】 目的から理解しようエギとスプール(提供:TSURINEWSライター松永一幸)

水深に合わせる

「沖のディープを狙う」場合の話ですが、意外とシャローのドラグ設定でシャクっていませんか。エギをシャロータイプからディープタイプに交換して、狙うレンジを意識するものの、そのエギに伝えるインパクト量にも注目が必要です。

「水深がある」=「釣り人から遠い」と考えると、答えは明確ですね。ディープでは、シャローの時より、「思っているほど、インパクトはエギに伝わっていない」ことになります。ディープエリアでは、ロッドアクションを大きく、強くする必要がありますが、そのアクションに合った、ドラグ設定が必要不可欠になります。勿論、シャクリが成立する範囲での話ですが、いつもより強めの設定が必要となります。

シャクった際に出る糸フケの長さを判断材料にして、エギの移動距離が自分のイメージに合うように、ドラグ設定をおこなって下さい。ここで、指先に記憶した値がカギとなります。

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