釣りのジャンルとしては歴史の浅いティップランエギング。もともとは三重県が発祥の地ということはご存知の方も多いかと思うが、徐々に全国的に普及していき人気も高くなってきており、ここ九州も例外ではない。今回はエル・クルーズが案内している福岡エリアの攻略基本を交えつつティップランエギングの基礎基本を解説していく。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版APC・岩室拓弥)
ティップランエギングのシーズン
ティップランエギングのシーズンは10~12月。シーズン初期となる10月は1kgを超える大型は少なく小型~中型がメインとなるが、季節が進むにつれて大型もよく釣れるようになってくる。
福岡エリアでいえば大きくは変わらないが、佐賀エリアなどと比較すると、ややシーズンインは遅れる印象。10月初期でも釣れることは釣れるが小型サイズが多すぎて、やや釣り味に欠ける。福岡エリアのシーズンとしては10月中旬~12月いっぱいが標準となる。
タックルセレクト
基本的にスピニングタックルでの釣りとなるティップラン。専用タックルがベストだが、イカメタルタックルを流用することも可能。もっといえばSLJタックルでも楽しむことはできる。
ただし繊細なアタリを見逃さずに釣果を伸ばしていくためにはやはり専用ロッドが望ましくはある。
エギの姿勢が重要な要素
3.5号30gをベースに別売りされている追加シンカーは10、20、30gと最低でも3種類は揃えて40、50、60gまで対応できるようにしておくといいだろう。アオリイカのサイズがまだ小さいシーズン初期は3号サイズのエギの出番も多いが、3号のエギは23g前後と少し軽くなるので、5~7gの軽めのシンカーも重宝する。
ことイカ釣りにおいてはエギやスッテのカラーに注目が集まりやすくなるが、ティップランにおいては追加シンカーのウェイト調整による姿勢も釣果を上げるうえでは重要な要素になる。基本10g単位で発売されているシンカーだが、メーカーによってはもっと細かく設定できるよう発売されているので、追加シンカーのウェイトは細かくそろえておく方がベストである。
エギは各メーカーから発売されているが、個人的に重要視しているのはエギの安定感。特に福岡エリアでは外洋での釣りとなるため波の影響を受けやすく、どれだけエギを安定させることができるかも大事となってくる。
大きく船がローリングすれば、当然乗っている人間も動いているわけでその動きはエギにも伝わることは避けられない。ある程度はロッドワークでコントロールすることができても、少なからずその影響はでてしまうので、エギはより安定性の高いものを選ぶようにするようにしている。
状況がシビアになればなるほど、エギにイレギュラーな動きをさせず自然にアプローチすることができるかというのも釣果を左右するので、意識しておくといいだろう。
また、カラーについてもある程度種類をそろえておくとよい。正直な話、水温が高く活性も比較的高い10~11月はそこまでカラーによる違いは見られないが、12月に入って低水温期になるとカラーによる釣果の差が顕著にでる場合がある。ブライト系・ダーク系・クリア系・グロー系・ケイムラ系と、大きく分けて5種類はそろえておいた方がいいと思う。
アタリ感度の良いライン選択を
PEラインは通常ティップランでは0.6~0.8号がベーシックだが、0.6号を選ぶとよい。この理由については幾つか挙げられるが、細いラインと太いライン、どちらが底取りをしやすいかといえば、答えはもちろん前者。また、ラインが細くなることについては感度の向上といったメリットもある。
ティップランのアタリは大きくわけて(1)「グンッ」と引っ張られる、(2)「トンッ……」と小さく触る、(3)食い上げて「ふわっ……」と抜ける、この3種類。(1)の場合はほとんどの人が分かるだろう。(3)の場合もティップを注視していないと気づきにくいが、経験を積んでいくうちに簡単に分かるようになる。
そしてこのアタリの現象がロッドにはっきりと表れる2つにおいてはラインの号数はあまり影響しないが、感度の向上における恩恵を受けるのが(2)のケース。ラインを細くすることで僅かな違和感でさえも確信をもってとらえることができるようにもなってくる。
ティップランはアタリが取れるかどうか、これは釣果を決定づける重要なファクターであり、これだけで隣で同じタックルで同じように釣りをしていてもダブル・トリプルスコアは当たり前となることも珍しくない。
ただし、必ず底取りが必要となる釣りであるティップランの場合は根掛かりのリスクも低くないので、ラインが細いとエギをロストする確率も高くなるので、0.6号と0.8号どちらを選ぶかは各々のスタイルで選ぶといいだろう。