日本で最も有名なフランス料理のひとつ・ブイヤベース。寄せ鍋的なものだと思われていますが、実際は細かいルールに基づいて作られている逸品料理です。
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ブイヤベースに「欠かせない魚」
そんなブイヤベースが観光名物になっているフランス第3の都市・マルセイユには「ブイヤベース憲章」という決まり事があります。それによると、ブイヤベースを作る際には、マルセイユ近郊の海で捕れる8種の魚のうち少なくとも4種を使用しなければならない、ということになっています。上記の八戸ブイヤベースのルールも、この憲章に倣ったものかもしれません。
使用すべき8種の魚とは「カサゴ・白カサゴ・赤カサゴ・脚長カニ・ホウボウ・マトウダイ・アンコウ・アナゴ」です。このうち白カサゴは、ミシマオコゼの仲間でありカサゴとはかなり遠い魚ですが、赤カサゴはオニカサゴやイズカサゴといった沖合に棲むフサカサゴ科の総称であり、広義のカサゴに含まれます。
カサゴ類が重要
したがって、ブイヤベースという料理は、カサゴ的な魚を沢山入れることが推奨されていると言えるのです。当地に伝わるブイヤベースの歌には「カサゴの良いのを忘れず入れろ」といった歌詞もあるとのこと。
カサゴ類はゼラチン質が豊富で、とりわけ素晴らしい出汁が出る魚のひとつ。スープが魅力のブイヤベースには絶対に欠かせない存在といえ、我が国でも味噌汁の具として天下一品という評価を得ています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>