伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「両グルテンの新ベラ狙い」。なぜ新ベラには両グルが効くのか。必要なテクニックなど、少し深く掘り下げてみよう。
(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース伊藤さとし)
椎の木湖で実釣
初回は最大約2kg、総数2.5tが前日に放流された埼玉県羽生市にある椎の木湖での実釣編。
10月16日(土)に釣行。土曜日というだけあって例会組、一般客で夜明け前から事務所外に大勢の釣り人が並んだ。お目当てはもちろん、前日に放流された平均重量1枚1.1kgの新ベラだろう。
例会組、一般に続いての入場だったので、おもだったポイントはすでに埋まっていたが、2号桟橋の渡り奥(1号桟橋向き)に若干の空席を見つけたので即決。釣り座295番で、水深表示は3.7m。
宙か、それとも底釣りか。いずれにしても長竿がいいだろう。伊藤は飛天弓閃光L19尺竿を継ぎ、まずはバランスの底釣りで狙う。実際の水深は3本半。エサはもちろん両グルテン。
新ベラのアタリを見逃さない
放流して間もなくは底で群れをなし、しばらくすると宙に浮いて拡散する。これが新ベラ放流直後の定説とされている。椎の木湖でもこのパターンが通用するのかと、まずはオーソドックスにタナを上バリトントンからスタート。時刻は6時40分。
エサ打ち開始直後は、ジャミがチクチクしていたが数投で静かになり、いよいよ本命が寄りはじめた。ただしアタリを待つリズムでは寄りが遅くなるので、伊藤は自分のペースを保ちつつ、ナジんで少しでも返したらエサを切る。
そこからアタってくるかもしれないのに、なぜすぐ打ち返すのですか?
「相手が新ベラなら、その前から触ってアタってくる。触りっぽい戻しでもないから、打ち返しているんだよ」
7時14分、ナジミ際にチッと落として初ヒットしたが、釣れたのは旧ベラ。次は教科書アタリでこれも旧ベラ。
「まだ寄ってないようだね。新ベラなら、もう少し曖昧なアタリが出てもいいはずだから」
たしかに、この2枚はどれも力強くハッキリしたアタリだった。そういうアタリは取らないほうがいい?
「そうは言ってないよ。アタってアワせない釣り人なんていないから(笑)。ただハッキリしたアタリばかり狙っていると、新ベラのアタリを見逃す可能性がある」
7時半すぎ、ナジんですぐのチッに反応すると、それまでとは明らかに異質の引きで竿が曲がった。左右に突っ走る動きは、間違いなく新ベラだ。
「ようやく来たね。サイズは800gちょいってとこかな」
自動検量器で測ると850g。放流された中では最小クラスが口を使ってくれたようだ。
「もっと大きいのがいるはずだから、それをゲットしたいね」
それは誰しもが思うことだが、狙ってできることでもない。淡々とエサ打ちを続けて、アタリを出して乗せる。その繰り返しの中から、はじめて大型新ベラが交じってくるのだ。