秋に河川をソ上する鮭の産地といえば北海道や東北地方が頭に浮かぶはず。しかし、意外にも関東の茨城県でも鮭の捕獲が行われているって知っていましたか?
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター菊池英則)
鮭と酒はお銚子まで?
昔から鮭とお酒をかけて、千葉県の銚子が南限とされてきました。言うまでもなく利根川の河口です。いったんは絶滅しかけた利根川水系の鮭ですが、平成に入ってから、埼玉県行田市の利根大堰で観察できるようになりました。
群馬県内の河川や、栃木県の渡良瀬川、思川などで放流されるようになり、ソ上数も増加しました。これらの漁協では、抽選などで人数を絞った上で、捕獲調査目的でサーモンフィッシングができるようになり、エサ釣りはもちろん、ルアーやフライなどで楽しめます。
鬼怒川がかつての鮭の南限
この利根川ですが、実は江戸時代は南に流れ、東京湾に注いでいました。幕府の事業で銚子に河口を移す以前は、鬼怒川が銚子に注いでいたため、かつての鮭の南限は鬼怒川だったという説もあります。
茨城県筑西市川島地区には、地元の「鬼怒川を愛する会」が設置した鮭の南限の看板があり、JR水戸線の車窓から眺めることができます。
同地区では、現在も鬼怒小貝漁協がふ化事業を続けており、秋には、川に網と籠を仕掛けて鮭の捕獲が行われています。
環境教育の教材にも
また、同漁協と鬼怒川を愛する会は、近年、子どもたちを対象に鮭の捕獲、ふ化見学会を開催しています。コロナ禍で2020年度は中止でしたが、地元を中心に多くの親子連れが参加し、環境教育の場となっています。
鮭のソ上で町おこし
鬼怒川のほか、筑西市の市街地を流れる五行川にも11月に鮭がソ上し、見学できるようになりました。同市は鮭が遡る街として、ウォーキングイベントなどと合わせて観光PRに力を入れています。