伊藤さとしのプライムフィッシング【ヒゲトロでトロ巻きセット:第4回】

伊藤さとしのプライムフィッシング【ヒゲトロでトロ巻きセット:第4回】

伊藤さとしのプライムフィッシング。テーマは「ヒゲトロでトロ巻きセット」。この時期に定番の食い渋り対策だが、ダンゴエサの下にトロロをぶら下げれば釣れるほど甘くない。今回はセッティングについて。

(アイキャッチ画像提供:週刊へらニュース伊藤さとし)

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ヘラブナ釣り 淡水の釣り

セッティングについて考えよう

前回はバラケについて考えましたので、シリーズ最終回はセッティングについてお願いします。

伊藤 さとし

「基本はバラケをナジませ気味にすること。ハリスは短めで、段差も少なめ。これらを基本として、あとはそれぞれのパーツを煮詰めればいいだろうね」

 

伊藤さとしのプライムフィッシング【ヒゲトロでトロ巻きセット:第4回】ハリス段差は少なめ(提供:週刊へらニュース伊藤さとし)

では上から順に、ウキはどうしますか?

伊藤 さとし

「チョウチンならタテ誘いができるから、仮にトップが沈没してもかまわない。でも半端ダナだと誘いが効かないから、トップを潜らせるわけにはいかない。そういう観点からすると、チョウチンならトップはムクでもパイプでもOKだけど、浅ダナなどはパイプトップのほうが釣りやすいと言えるね」

 

なるほど。つまりそれだけ、しっかりしたタッチのバラケをぶら下げるということですね。であればハリも重要ですよね。

伊藤 さとし

「必然的にそうなるね。持たせ気味のバラケにしたいのだから、ハリは軸が太めで大きさもある程度あったほうが、バラケを抱えやすいからね」

 

具体的にはどのくらいの大きさですか?

伊藤 さとし

「タナにもよるけどバラサなら6~8号、何ならもっと軸太のセッサを使ってもいいね」

 

下バリはリグルがおすすめ

下バリはどうですか。これもトロロが抜けにくいほうがいいのでしょうから。

伊藤 さとし

「オーナーばりからとろろ専用ハリとして発売されているとろ掛や、専用品がなければリグルがいいだろうね」

 

専用品はともかく、リグルをすすめる理由は?

伊藤 さとし

「軽さだね。トロロって、そもそもゼロ比重みたいなもので、それをハリの重さで強制的に沈めている。だからといって重すぎると、ハリスが動かな過ぎてしまう。だから適当な比重が求められる。それがリグルってわけ」

 

なるほど。たしかにトロロ自体に重さはありませんね。水に浸しただけだと、ブワッと膨らんで浮いたままです。

伊藤 さとし

「そういうこと、それをバラケ粒子の下側にいかに置くか。しいてはトロロに、どうバラケ粒子を雨のように降らせるのか。そこがこの釣りのキモでもあるんだ」

 

食わせが何だろうと、バラケ粒子をリンクさせることに変わりはない。ただしトロ巻きセットの場合は、その距離感が異様なほど短い。だからそれ相応の降らせ方がある、ということですね。ところで下ハリスを伸ばしては(たとえばウドンセットのような段差)ダメなのでしょうか?

ハリス長は?

伊藤 さとし

「仮に50cmのハリスにトロロを付けたとしようか。おそらく、そのハリスは張らないと思うよ。とくに、魚がたくさん寄っている状態ではね。つまり仮にその状態でアタっても、ウキに動きが伝わらない。アタっているのに釣り人は手が出ないってことになる」

 

伊藤さとしのプライムフィッシング【ヒゲトロでトロ巻きセット:第4回】ハリス長と段差の考察(作図:週刊へらニュース伊藤さとし)

なるほど。ゼロ比重の特徴的な部分ですね。

伊藤 さとし

「だから長すぎるハリスは、この釣りに限るなら百害あって一利なしとも言えるね」

 

どのくらいがマックスでしょうか?

伊藤 さとし

「いいとこ30~40cmじゃないかな。30cmだってかなり長いけど、魚影が薄い野釣り場や大型主体で口数が少ない釣り場では、長めのハリスをあえて使っている人もいるよ」

 

その場合、上ハリスも長めにするのですか?

伊藤 さとし

「ケース・バイ・ケースだけど、狭段差のままやるなら下ハリスに合わせて長めにするね。そもそもトロ巻きセットだと、大段差はあまり通用しないから」

 

状況に応じ誘いも必要

先ほど誘いの話が出ましたが、この釣りでも誘いは重要ですか?

伊藤 さとし

「必要ならね。必須ってわけじゃないけど、バラケを強制的に降らせたり、下バリの置き直し的な意味でも誘いは必要になるだろうね」

 

段差の底釣りでもないのに、置き直しですか?

伊藤 さとし

「置くと言うか、リセットの意味だね。上に竿を上げれば当然下バリ、しいては食わせのトロロも浮き上がる。そこから自由落下を始めれば、食い損ねていた魚にもスイッチが入るかもしれない」

 

伊藤さとしのプライムフィッシング【ヒゲトロでトロ巻きセット:第4回】チョウチンならタテ誘いが可能(提供:週刊へらニュース伊藤さとし)

なるほど。トロロのリセットとはいいことを聞きました。トロ巻きセットをやる機会があったら、誘いまくってみます。

伊藤 さとし

「ほどほどにね」

 

次回は「一発を使った角麸セット」です。

【ヒゲトロでトロ巻きセット:第1回】を読む。

【ヒゲトロでトロ巻きセット:第2回】を読む。

【ヒゲトロでトロ巻きセット:第3回】を読む。

<週刊へらニュース伊藤さとし/TSURINEWS編>

▼この釣り場について
精進湖
取材協力:金風荘 TEL=0555(87)2020
この記事は『週刊へらニュース』2021年8月27日号に掲載された記事を再編集したものになります。