古くから世界中で観測されてきた「魚やカエルが空から降ってくる」現象。自然現象が起こしたものもあれば、人工的に引き起こされたものもあります。
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空から魚が降る!?
「魚は水中にいるもの」というのはもちろん常識。しかしそんな魚介類が「空から降る」現象が観測されたことがあるのをご存知でしょうか。しかもそれは一度だけではなく、世界各地で歴史上何度も発生しているのです。
このような現象はしばしば「伝説である」と言われますが、中にはしっかりとした記録が残っているものもあります。最近では2018年に中国青島で、空から雹とともに魚やアワビなどが降り「海鮮雨」と呼ばれた現象があります。
日本でも、2008年に石川県で空から大量のオタマジャクシが降り、全国的なニュースになりました。このような現象は、英語圏では「falls from the skies」(空からの落下物)の頭文字をとってファフロツキーズと呼ばれています。
空から降る原因は?
しかし、一体なぜこのように、空から魚介類が降ってくるのでしょうか。現在、その最大の原因と考えられているのが竜巻です。
海上で発生した竜巻が、水中の魚介類を水ごと上空に巻き上げ、それを地上に降らせるといわれています。ちなみにこの説をネタ元にした「シャークネード」という映画のシリーズが、一部で人気を博しています。
その他の説として「水鳥が原因」というものもあります。上記の石川での現象は「水鳥が食べたオタマジャクシを上空で吐き出した」のが原因と考えられています。実際我が国では、しばしば田んぼに近い場所で、小魚などが空から降る現象が見られているそうです。
飛行機が小魚を降らす
一方、アメリカ・ユタ州でもまた空から魚が降ってくる現象を見ることができます。しかしこれは自然現象ではなく、人為的なもの。当地では、飛行機で空から魚を撒いているのです。なぜそのようなことをするのでしょうか。
当地には大小数多くの湖が存在し、釣りが盛んになっています。産業として振興するため定期的に稚魚の放流が行われるのですが、はじめは手で放流されていたそうです。
しかしそれでは効率が悪いので、やがて小型飛行機で空から撒くようになったといいます。そんなことをして魚が死んでしまうのではないかとも思うのですが、稚魚は小さく軽いため、上空から水面に落ちても衝撃が少なく、死に至ることはないそうです。(『空から魚が降ってきた! 数千の稚魚がユタ湖に放流される』GIZMODO 2021.7.20)
<脇本 哲朗/サカナ研究所>