釣り人が何の気なしに足場にしている消波ブロックの意外な能力や値段について調べてみました。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
消波ブロックの作り方
おそらく皆さんが気になるのはこの消波ブロックの作り方でしょう。
1個あたりの重量が20tにもなる消波ブロックは、完成品を設置場所に輸送するだけでも大変なコストがかかってしまいます。
そのため、消波ブロックは完成品を現場まで運ぶのではなく、設置する現場のほど近い場所で製造するのが基本となっています。
そして、製造には必ず銅製の型枠が用いられ、そこにコンクリートを流し込むことであの独特な形をした消波ブロックが完成するのです。
しかし、一日で作れるブロックにも限度があり、小さなものだと100個ほど、大きなものだと一日に数個しか作れないのです。その作業を延々と繰り返し、数百個、時には数千個の消波ブロックが設置されます。
膨大な量の消波ブロックが設置されている背景には膨大な時間もかかっているのです。
設置に用いられる重機
現場で消波ブロックが完成すれば、設置する作業が始まりです。
設置には200~300t級というなかなか町では見ることが出来ないような巨大なクローラクレーンという重機が用いられます。
海上が現場の場合には、平板な船にクローラクレーンを積み込んでの作業が行われています。
気になるお値段は?
まず、製造に必須な型枠は、基本的にメーカーからレンタルされている種類から選び出します。
最小タイプの消波ブロックだと、型枠1個あたり1ヶ月で1,000円台など、かなり低い値段設定となっています。
一方で50tを超える巨大サイズともなると、型枠1個のレンタル料は1ヶ月3~5万円と大きさによってかなり値段に幅があります。
そこにコンクリート代や人件費、設備費なども加わり、小さなタイプで1個あたり約5,000円ほどで完成します。
もう少し大きくなると、1個あたり10万円前後になり、80t級を1個製造する場合には60万円程かかるようです。
一つ作るだけなら意外と個人でも手が出せない価格設定ではないかもしれません。
人の命に比べれば安い
各地では堤防や護岸整備事業が計画され、建設作業が進められます。
その際には消波ブロックが100から1,000単位で作られ、中には1万個以上並ぶ防波堤もあります。
堤防で長く連なった消波ブロックを見た際は数100億円かけて作られたものなんだなと感じてしまうかもしれません。
しかし、消波ブロックがあるおかげで大きな災害時には数えきれないほど人の命を助けてくれるのも事実です。
数100億円かかっていようが人の命が助かるのなら安い買い物でしょう。
<近藤 俊/サカナ研究所>