磯でグレ釣りをしている際、強い引きにどうすることもできずバラシ、なんて経験はないだろうか。今回は沖と磯際で大型グレをスムーズに浮かせるロッドワークを紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・兵頭良弘)
グレ釣りでバラす場面
師走に入って気温が一気に下がり、山沿いをはじめとする各地では冬将軍の到来とともに積雪が伴う厳寒期を迎えた。そして、海の釣り物では、いよいよ本格的な寒グレシーズンに突入したわけだが、磯でグレを釣っていて、強烈な引きに竿をのされたり、足元で突っ込まれて磯にラインが擦れてバラしてしまった経験はないだろうか?
今回はせっかくハリ掛かりさせたグレを、できるだけ逃がさないためのロッドワーク(魚とのやり取り)について考えてみたいと思う。
40cmより大型に注意
筆者の経験上、30cm前後の中型グレなら、ハリ掛かりさせてから水面に浮かせるまでのやり取りは、竿を強引に上下させて魚を引き抜くようなイメージで取り込んでも、比較的、スムーズに釣り人のペースで魚をあしらい仕留めることができる。
しかし、40cmを超えるグレともなるとそう簡単にはいかない。掛けた瞬間から手元に伝わる引きは30cm級のグレとは比較にならないほど強い。このような大型グレを掛けた時は、どのように魚をあしらえばスムーズに取り込むことができるのか、常に考えておく必要がある。
ロッドワークの重要性
いったんハリ掛かりさせたグレは、何とか仕掛けから逃れようと深みへ逃げ込もうとするか、近くに点在するシモリや沈み根、またはハエ根などの障害物に潜り込もうとするなど、執拗な抵抗を激しく見せる。
掛けた釣り人も、その動きに合わせて竿を右へ倒したり左へ倒したり、さらには上へ下へと瞬時に判断して、竿の操作を行なわなければならない。すなわち魚の動き方に対応した「ロッドワーク」を駆使することが、大型のグレを仕留める一番の近道だとも言えるだろう。
では、具体的なシチュエーションで、どのようなロッドワークを行えば良いのか2通りのパターンについて考えてみよう。
沖でグレを掛けた場合
沖を流れる潮のヨレや潮目などで掛けたグレは、エサを加えて違和感を覚えると、一瞬にしてその魚体を反転させ、磯際に向かって走ろうとする行動パターンが見受けられる。大型のグレをバラしてしまう時には、この様なグレの突っ込みに対応が間に合わず魚に先手を取られ、磯際のハエ根や沈み根などへ潜り込まれたり、張り付かれてしまってハリス切れなどを起こすことが最も多い原因だろう。
胴の力で寄せる
まず沖で魚を掛けた場合のロッドワークは、魚の引きを竿先で受けようとするのではなく、竿の胴でしっかりと受け止めるやることが大切だ。
沖で掛けたグレはどうしても魚との間に距離ができるため、ハリ掛かりさせた瞬間に、魚の大きさや重量感を小手先で図ろうと、竿先で魚の引きを受け止めてしまいがちになってしまう。掛けた魚はその間に道糸からハリまでの抵抗が小さい分、遊泳範囲が広がり、素早くシモリやハエ根に張り付いたり、潜ってしまう。
強めのテンションで
沖で掛けた魚は、アワセを入れたと同時に余分な糸フケを巻き取りながら竿を立て、胴から竿がしなるぐらいのテンションをかけてやり取りをするのが基本だ。極端に言えば、竿尻を掛けた魚の方へ向けた状態で竿をしならせてやると、案外、ハリス切れなどによるバラシは防げるものだ。
また、魚が右に走れば竿も右に倒しながらラインを巻く、左に走れば左に倒しながらラインを巻く。結局のところ、ロッドワークの原点にあるものはいかに魚を怒らせずに、魚の引く方向へ逆らわず「いなして」やることだろう。