年末年始は受験勉強が佳境を迎える時期。受験生の皆さんは「食事の内容」にもちょっと意識を向けることで、ライバルたちよりちょっとだけ有利になれるかも?
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受験生にとって勝負の冬
一年で一番忙しくなると言われる師走。受験生の皆さんも「志望校はどこにしようか」「冬期講習はどこに行こう」といろいろ忙しくなる時期だと思います。
受験対策を進めていく上で大事なことはいくつもありますが、「サカナ研究所」ではそのひとつとして「サカナをしっかり食べること」を紹介していこうと思います。
「魚は頭に良い」と言われる理由
昔から「魚を食べると頭がよくなる」と言われているのは、「某有名お魚ソング」の歌詞にあることからも有名かと思います。しかしなぜそう言われているのでしょうか。
オメガ3系脂肪酸が豊富
常に水中で棲息する魚は、我々陸上生物よりも低温の環境に耐えなくてはなりません。そのために彼らの体内にある脂肪には、低水温でも固まらないようにするため、融点の低い「オメガ3系」という種類の脂肪酸が多量に含まれています。
魚に含まれる「オメガ3系脂肪酸」にはEPA、DHAという脂肪酸があります。これらの脂肪酸は人体内で生成できる量が少なく、外部から摂取する必要のある「必須脂肪酸」です。
EPA・DHAが不足すると…
そしてこのEPA・DHAは脳の組織を構成する重要な成分。そのためこれらの脂肪酸が体内で不足すると、脳のシナプスやニューロンといった神経組織の発育や機能維持に影響が出てしまうと言われています。さらにこれらの脂肪酸には体内の中性脂肪を減らして血流を良くしたり、リラックスし集中力を上げるホルモンの分泌を促進するという効果もあることがわかっています。
したがって「魚を食べる」と直接「頭が良くなる」と言うのはやや言いすぎかもしれませんが、受験勉強に必要な記憶力の向上や、勉強に集中できる環境を整えるための力があるということはできます。
ちなみにオメガ3脂肪酸を含むのは魚だけではなく、アマニ油等の植物油からも摂取することが可能なのですが、魚のもののほうが吸収効率が良いとされています。こうなると、魚を食べない理由はありませんね!
どれくらい食べればいいのか
このEPA・DHAは概ねどんな魚介類にも含まれている脂肪酸です。特に青魚に多いとされているが、脂肪の多い魚であれば含有量は決して少なくはありません。
理想的なDHAの摂取量は、「1日にだいたい1~1.5g」と言われています。これは焼いた「サンマなら約1尾、小型のイワシなら約2尾程度」に相当します。少ない量に思えますが、毎日これだけ摂取することを考えると通常の食卓ではやや難しいです。高価な食材ではないので、意識して摂取量を増やすように心がけてみてください。
同じ魚であっても、刺身など生で食べる料理は加熱で油が落ちることがないので摂取効率が良いとされます。あるいはスープや味噌汁のような「煮汁に出た油も摂取できる」料理も良い調理法と言えるでしょう。
魚介類は体にもよく、体調管理にも役立ちます。美味しい魚をたくさん食べて、厳しい受験戦争を無事乗り切ってくださることを祈っています!
<脇本 哲朗/サカナ研究所>