さらば、アワセ切れ。釣り場でのガッカリをなくすため、前回に紹介したノットに続いて結束力の強い結びとタイミングを、万年初心者のミステリー小説家が紹介します。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・浅暮三文)
ヘッドで結ぶタール・ノット
まずはタール・ノット。結び方は図のようになっています(オスマーク=♂は毛鉤)。結束部分は一重結びなのですが、ティペットの最後がU字形になり、それをフライに通して、ヘッドあるいはハリ穴の後で締めます。
ティペットをハリ穴そのものではなく、フライのヘッドで結ぶと接触面が広くなるので力が分散してアワセ切れがなくなる。考え方は前回のパロマー・ノットと同様ですね。ハリスを何度もくるくる回さないので、ややこしくもないのも利点です。
一重結び二度通しのブルーダン・ノット
このタール・ノットの変化型ともいえるのが、ブルーダン・ノットです。結び方は図の通りです。こちらもフライのヘッドで締めるのでタール・ノットとよく似ています。ただし、よく見ると一重に結びところを、もう一度、ティペットのU字に通しています。
タール・ノットとブルーダン・ノットは似たような結束力です。いずれがよいかは人それぞれでしょう。ご自身の結びやすい方をご記憶ください。
急ぐときのスピニング・ノット
ここまで各種のフライのノットを紹介してきました。とはいえ、どうも憶えるのが一苦労だな。もっと簡単で済ませられないのか。そう考えるのが釣り師の本能です。私も同様に感じておりました。
すると米国にもスピニング・ノットなる手口を考案した人物がおりました。そのダレル・マーティン氏はダンカン・ループをもっと手っ取り早くできないかと試行錯誤し、手の平を使うアイデアを思いついたのです。結び方、というよりもこれは手の平の使い方といえばいいのでしょうか。写真を参考にレッスンを開始してみてください。
手順
1.まずハリ穴に糸を通すのは当然。
2.糸を通したらティペットの端を左手の親指と人差し指でつまむ。
3.糸が通っている毛バリを残っている指の裏側へくるりと回す。すると人差し指と中指の間からU字で糸に通っている毛バリが手の平に戻ってくる(写真図1)。
4.後は図2のようにティペットを親指でつまんだまま、図1の残り指の中ほど(もっと下でもよし)で伸びているティペットに毛バリをくるくると三、四度ほど回し込んで締める(注意=この際に指を抜くのを忘れないこと。でないと指が一緒に締まってしまう)。
するとどうですか。あら不思議、毛バリがクリンチノットのように結ばれているではないですか。ダレル・マーティン氏は天才か。深く感謝して、このノット方法を憶えておいて損はないです。タダですから。
練習すればスピードUP
ダンカン・ルーブノット(別名ユニノット)はフライの入門書にはリールのバッキング(下巻き)とフライラインを結ぶ方法として紹介されていたりします。スピニング・ノットの仕上がりはダンカン・ループ、インプルーブド・クリンチノットとよく似ていて結束力は同程度だそうです。しばらく練習してみると、あっという間に仕上がるはずです。
イブニングライズで騒いでいる鱒を狙うのにフライを交換するのがもどかしい。ついついクリンチノットも適当なままでキャスト。結果、するりと糸が抜ける。あるいは案の定アワセ切れになる。これでは虻蜂取らずもいいところ。とほほとなる前にご記憶を。