回転寿司チェーンの大手くら寿司株式会社が7月7日、AIでマグロの品質を判定するアプリ「TUNA SCOPE(ツナスコープ)」の導入を発表。アプリの導入背景や活用方法について取材しました。
(アイキャッチ画像提供:くら寿司株式会社)
くら寿司が「TUNA SCOPE」を導入
回転寿司チェーンの大手くら寿司株式会社が7月7日、AIでマグロの品質を判定するアプリ「TUNA SCOPE(以下、ツナスコープ)」の導入を発表しました。
同社ではすでにツナスコープを導入してマグロを仕入れており、AIで「特上」の判定を受けたマグロを「極み熟成AIまぐろ」として販売します。(7月10日(金)~16日(木)、7月22日(水)~28日(火)の期間限定)
「ツナスコープ」導入の背景
それでは、なぜツナスコープの導入に至ったのでしょうか。その背景を聞いてみました。
遠隔で目利きができる
くら寿司によると、「遠隔で目利き職人と同等のレベルで、マグロの品質を判定できること」がツナスコープの最大のメリットとのこと。AIが目利きを高度に学習することで、品質の高いマグロを仕入れることができるそうです。
同社では仕入れの際、仕入れ先と目合わせ(魚の仕入れ品質の基準を共有すること)を行っていますが、新型コロナウイルスの影響で仕入れ現場への移動が困難になっています。ツナスコープを活用することで、遠隔で目利きをすることが可能になったことは大きな導入メリットと言えそうです。
目利き職人の後継者不足
また、「目利き職人」の後継者不足も導入背景の1つ。目利き職人として一人前になるには、最低でも10年はかかるそうです。目利き職人の高齢化が進み、後を継ぐ人も少ないようです。今後の仕入れを考えると、AIの活用には大きな可能性があるのではないでしょうか。
ツナスコープの使用方法
次に、ツナスコープの具体的な使用方法を聞いてみました。
「尾の断面」に着目
ツナスコープはマグロの「尾の断面」から品質情報を読み取っているそうです。熟練の職人も目利きをするときは、同じくマグロの尾の断面から品質を見極めているとのこと。
ツナスコープでは、カメラを尾の断面にかざすだけで、脂の量、身の締まり具合、鮮度、変色(やけ)などの品質情報を読み取ることができます。この情報からマグロの品質が「A(特上)」「B(上)」「M(並)」の3段階で評価されるとのこと。
M(並み)の評価でも十分美味しいとのことですが、くら寿司から期間限定で販売される「極み熟成AIまぐろ」では最高ランクの「A(特上)」が使用されています。ツナスコープの実力を見極めるためにも、まずは実際に食べてみたいですね。
今後の展望
マグロは世界的にも人気があり、日本の寿司ネタとしてもポピュラーな魚です。くら寿司でも、まずは人気のあるマグロから、AIの品質判断による仕入れを導入したそうです。同社によると、今後は「寿司ネタとなる別魚種」への展開も検討しているとのこと。
現時点で明確なことは言えませんが、私たちが食べる寿司が「AIネタ」に置き換わる日もそう遠くないのかもしれません。
取材協力:くら寿司株式会社
<田口/TSURINEWS編集部>