世界3大珍味『キャビア』の国内生産量が増加中? 日本でも養殖が盛んに

世界3大珍味『キャビア』の国内生産量が増加中? 日本でも養殖が盛んに

世界的高級食材「キャビア」の原料であるチョウザメ。世界での知名度に比べると日本ではややマニアックな存在ですが、実は今「国産チョウザメ」が増えてきています。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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キャビアを産むチョウザメ

世界に冠たる魚食大国である日本。世界最大の水産卸売市場である豊洲市場を抱え、世界中のあらゆる魚が手に入るのではないかと思えるほど、我々日本人は魚が大好きです。

しかし、世界では著名な食用魚であるにも関わらず、日本ではほとんど馴染みのないような魚もいないわけではありません。その殆どは日本で見ることのできないマニアックな小魚ですが、比較的知名度のある巨大魚でありながらも、ほとんど利用されていないものもいくつか存在します。

その代表が「チョウザメ」。

世界3大珍味『キャビア』の国内生産量が増加中? 日本でも養殖が盛んにほかにはない特徴的なシルエット(提供:PhoteAC)

水族館の巨大な水槽で、床にのんびりと寝そべっているのをよく見かけます。「チョウザメなんて魚、聞いたことないよ」という人でも「その卵は世界三大珍味の一つ『キャビア』になる」と聞いたらピンとくるのではないでしょうか?

チョウザメは「サメ」とついているものの、サメやエイのような軟骨魚類ではなく、普通の魚と同じ硬骨魚類の1グループです。大きいものでは4mを超え、淡水にも棲息する魚としては世界最大のもののひとつ。日本にもかつては棲息していましたが、長らく目撃情報もなく、現在では絶滅したものと考えられています。

養殖されるチョウザメ

卵巣がキャビアになることで世界的に知名度の高いチョウザメですが、大型魚であるうえに実は身の味も良いため、棲息地周辺では食用魚としても人気が高いです。特に中央アジアからロシアにかけてはチョウザメ料理が有名で、燻製、フライなどで食べられています。

ただ、そもそも成長に時間がかかる魚である上に、キャビアが採れることもあって乱獲され、世界的に種の危機が叫ばれています。資源量の減少から近年では養殖が盛んに行われており、現在取引されるものの殆どが養殖個体である、とも言われています。

世界3大珍味『キャビア』の国内生産量が増加中? 日本でも養殖が盛んにキャビアの需要も伸び続けている(提供:PhoteAC)

価格が高騰し「黒いダイヤ」と呼ばれることもある天然チョウザメのキャビアに代わり、養殖チョウザメのキャビアも現在は一般的なものとなっています。

チョウザメ養殖は日本でも

そんなチョウザメの養殖ですが、実は近年、日本でも行われるようになっています。淡水で棲息できるチョウザメは内陸や山間部での養殖も可能であり、ニシキゴイやニジマスといった淡水魚の養殖も盛んな我が国にはチョウザメ養殖を可能とする下地が存在しました。

さらに、キャビアという高品質高価値な食材と、日本人の品質を追求する姿勢がうまくマッチングしたということも、日本での養殖が盛んになりつつある理由でしょう。

日本におけるチョウザメの養殖は、旧ソ連からの技術提供をもって、1983年に宮崎県でスタートしました。現在では岡山、岐阜、宮城、北海道など全国各地に養殖場が点在しています。建設業など他業種からの参入もあるそうです。(『国産キャビア、宮崎の挑戦 チョウザメ養殖、海外へ販路』朝日新聞デジタル 2018.4.2)

世界3大珍味『キャビア』の国内生産量が増加中? 日本でも養殖が盛んに国産チョウザメの活造り(提供:PhoteAC)

鮮度が良い国産キャビア

国産キャビアの生産量はまだまだ多くありませんが、鮮度が良いうちに加工ができるため、塩分を控え「より卵そのものの味を生かした」味わいに仕上げることが可能となっており、その味の良さは日本に留まらず、世界からも評価されているそう。

また国産チョウザメの身は弾力があり、脂もよく乗っていて「刺身などの和食にも合う」と人気になっているといいます。

いつの日か、日本でもチョウザメや国産キャビアが一般的な食材として、スーパーの鮮魚コーナーに並ぶようになるかもしれませんね。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>