渡辺釣船店に勤めるルアータチウオ船の船長である筆者が、東京湾の2020年の展望と釣り方を紹介。初夏以降の釣行に役立てばと思います。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 田中茂生)
2020年シーズンは魚影が濃い
さて、今シーズンの見通しですが、2年ほど前から引き続き空前と言うべき魚影の濃さです。群れは、昨年秋ごろに観音崎~猿島沖から北上し、東京湾奥の千葉港周辺まで、ベイトフィッシュとともに移動。
その後、12月ごろから次第に南下を始め、3~4月には今のメインポイントとなる走水~観音崎沖周辺へと戻りました。観音崎沖と言うと「水深100m以深の冬の釣り場」とイメージする人は多いと思いますが、ここ数年は一年を通して狙うことができるようになってきましたね。
このことは、魚の量の影響が一番ですが、私たち船長同士が情報収集をして、浅場~深場までを丹念に捜索。魚のいる水深に合わせた釣り方を考えながら攻略してきたからだとも思っています。
タナ別攻略法
次に、浅場と深場それぞれの釣り方の違いについて。魚探画像をもとに狙うレンジ、攻略法を解説します。
浅場を代表するポイントは、大貫~富津沖の東京湾東側、横須賀~横浜沖の西側水深10~40m。例年、梅雨時から初夏にかけて大貫沖の広範囲に、冬の大きな群れが散り、小規模に分かれて点在することが多いようです。この海域は、おおよそ水深25mほど。潮濁りによっては、海面から10m以浅の遊泳層になるときも。
使用ルアーはメタルジグなら80g程度。ジグヘッド、バイブレーションなど、少しキャストしてカウントダウン。遊泳層にアジャストしていく釣り方が効果的です。さらに、盛夏以降には富津沖水深10~20mに大きな群れが出現します。
一方、水深20~40mの遊泳層になると、メタルジグは100~120gになり、初夏の第二海堡周辺は激アツポイント。ここ数年は、温暖化の影響?により、水温の上昇が著しく、水温が安定したやや深場に潜む傾向が見られます。
低&高活性時の魚探画像
画像1はボトムから10mくらい浮いた反応を捉えています。これがタチウオの遊泳層なのですが、じつはあまり活性がよくないときの反応です。
一方、高活性時の反応は画像2のようになります。魚群の濃さにも違いはありますが、メタルジグに反応して、アクションをつけたルアーを追いかけています。夏にこの映像が見られれば、ほぼ入れ食いとなるはず。
低活性時の攻め方
では、低活性時はどう狙えばいいでしょう。冬によくある傾向ですが、もちろん夏の浅いエリアでもあります。魚はいるのに口を使わない状態で、ルアーを追いません。こんなとき、強いのはエサ釣り。狭い遊泳層をネチネチと集中して狙うことができます。
ルアー釣りでは、リトリーブアクションより、フォールでバイトを誘発させる攻め方が有効です。エサ釣り同様、反応のあるレンジ付近をショートアクション。フォールの回数を増やしましょう。
それでもアタリが出にくいときは、カラーローテーションをひん繁に行います。年間を通してよく釣れるカラーは、やはりピンク系と強い信念があります。「ドピンク」や「ピンクシルバー」はイチ押しですが、ときにはナチュラル系も有効です。
潮の濁り具合にも色は左右されます。濁ればアピール系、澄んだらナチュラル系でいいと思います。形は浅いポイントでは、やや平たい形状や、センターバランス系をお勧めします。大ざっぱな言い方をすると、「夏はよく泳ぐ形状」、「冬は派手なアクションでようやく泳ぐようなもの」がいいですね。私は年間を通して、できるだけシルエットの小さい物を推奨しています。タングステン製ももちろん有効ですよ。
想像力を駆使しヒットパターンを探ろう
とはいえ、ルアー釣りは想像力を楽しむ釣り。自分で見つけたルアーやパターンで釣れたら嬉しさ倍増です。一般的にタチウオは、魚探に出る反応より上の層でアタることが多いです。あくまで、バイトレンジを見つけるのはアングラーのみなさんです。船長の指示ダナをよく聞いて、その上下を探ってください。
さあ、初夏に向けて魚は各エリアに分散していくと思われます。久里浜~金谷沖のディープがあれば、この海域の浅いレンジ。大貫沖の広いエリア。数釣りができるこれからの時期は、浅場メインにダイナミックな釣りが楽しめるはず。その反面、急に深場へ移動……なんてことがあるのがタチウオ。メタルジグは各サイズ多めに、ジグヘッド類なども持参してくださいね。
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<週刊つりニュース関東版 田中茂生/TSURINEWS編>