アケミ貝のぶっこみ釣りでカンダイ71cm【ポートアイランド赤灯波止】

アケミ貝のぶっこみ釣りでカンダイ71cm【ポートアイランド赤灯波止】

2019年の秋シーズンは回遊魚フィーバーに明け暮れた感があったが、気温が下がり収束を迎えた模様。12月半ば、ぶっこみ釣りでカンダイを狙って、ポートアイランド赤灯波止に釣行した。

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(アイキャッチ画像提供:WEBライター・伴野慶幸)

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堤防釣り 海釣り

穴場的存在のポートアイランド赤灯波止

アケミ貝のぶっこみ釣りでカンダイ71cm【ポートアイランド赤灯波止】ポートアイランド赤灯波止(提供:WEBライター・伴野慶幸)

ポートアイランド赤灯波止は、有名な和田防波堤の東側白灯台から第二航路を挟んだ対岸にその姿を望むことができる。ポートアイランド第一期工区の一部として、西端から南向きに突き出る全長わずか100mの目立たない防波堤だが、好んで渡る常連もいる穴場的存在の防波堤だ。

東側にはテトラが積まれてして、フカセ釣りのフィールドになっているが、今回私が挑んだのは、テトラのない赤灯台周りと西側。底の基礎石やカケアガリに居つく根魚やウマヅラハギ、さらに海底の深みや基礎石の崩れた所に潜むカンダイ(コブダイ)を狙う算段だ。

この波止は陸路からは上がれず、渡船で渡る。当日私が利用したのは長年お世話になっている河内渡船。朝5時発の臨時便は17人の釣り人を乗せ、和田防波堤、新波止へと回った後、最後にポートアイランド赤灯波止に船を着ける。降り立ったのは私1人。他の渡船利用の先客が1人いただけで、予定していた赤灯台周りは貸し切り状態だ。

タックルとエサ

当日はテンビンカゴ釣り、ミャク釣り、カンダイ狙いと3種類のタックルを用意した。メインターゲットはウマヅラハギだ。

テンビンカゴ釣りは、磯ザオ3号5.4mと小型スピニングリールの組み合わせに、長さ1m近くある通称「須磨ウキ」4号とテンビンカゴをセット。テンビンの先にはハリス1.7号の2本バリ仕掛けをセットする。魚の口が小さいので、釣りバリは極小のチヌバリ1号を選択した。

アケミ貝のぶっこみ釣りでカンダイ71cm【ポートアイランド赤灯波止】当日の仕掛け(提供:WEBライター・伴野慶幸)

ミャク釣りはサオ先の感覚とイトふけで取る底取りが肝。磯ザオ2号5.4mに小型両軸リール、中通しオモリ3号、ハリス1.7号、チヌバリ1号のごくシンプルな組み合わせで臨む。

カンダイ釣りのタックルは、カンダイの盛期にミャク釣りで使用するものと同じ。磯ザオ5号5.4m、中通しオモリ5号をセットして、ミチイトとハリスは6号、ハリは管付イシダイバリ10号を選択。ただし、ハリスが細い分、ハリスにはクッションゴムを接続し、ハリのチモトはハリスを二重にしてアワセ切れを防ぐ工夫をしている。

エサはフィッシングマックス神戸ハーバー店で4種類を調達。同店はコラボキャンペーンを行うなど、河内渡船と協力関係にあり、各波止の情報にも精通している。イシゴカイ、オキアミ、アサリのムキ身はウマヅラハギや根魚、アケミ貝はカンダイ狙いに用いる。

アケミ貝のぶっこみ釣りでカンダイ71cm【ポートアイランド赤灯波止】使用したエサ(提供:WEBライター・伴野慶幸)

ミャク釣りで青ベラをゲット

当日は中潮で8時40分ごろの満潮なので、その前後が時合いだと意識して、赤灯台南端に釣り座を構え、6時過ぎから釣りを開始。海底近くにタナを設定したカゴテンビン釣り仕掛けは、南向き約20m付近を中心に、置きザオにして流す。その傍らミャク釣りのサオで、灯台周りの基礎石を次々と探っていく。「ウマヅラよ食ってくれ」と願いつつ続けていたが、スズメダイ、フグ、ミニガシラなどのエサ取りに悩まされる。

後続の便でも釣り人が渡ってきて、波止が少しずつ賑わってきた7時ごろ、南端では見込薄と判断し、灯台根元の西側に釣り座を移動する。こちらでもエサ取りが多く、めぼしい魚が釣れずに困っていたが、しばらくしてカケアガリの所にイシゴカイのエサでミャク釣り仕掛けを投入すると、うまい具合に深い所に入った。こういう所には魚がいると期待していると、すぐにアタリ。エサ取りではない手応えを感じつつ、海面に浮かせたのは良型の青ベラ(キュウセンのオス)。こういう獲物が釣りたかったとニンマリしながら、スカリにキープして釣りを続ける。

カンダイ釣りを開始

気が付けば9時前。満潮時を少し過ぎてしまったが、カゴテンビン釣りをいったん止めて、カンダイ釣りを開始。ポイントは灯台根元の北向き一帯。アケミ貝の粗割りを、少量ずつパラパラまいて、魚の食い気を引き出す。魚へのアピール度を優先し、エサの付け方は丸貝ではなく、貝殻の半分だけを外した半貝とした。硬い舌の部分に沿うようにハリを入れ、ハリ先は黒い内臓部分に埋める。

アケミ貝のぶっこみ釣りでカンダイ71cm【ポートアイランド赤灯波止】灯台の根元を狙う(提供:WEBライター・伴野慶幸)

最初はサオを手に持ってのミャク釣りスタイル。過去の釣行で実績のあった何箇所かに狙いを定めて探ってみる。しかしアタリはない。盛期のようにはいかない。そこで置きザオにしてアタリを待つブッ込み釣りのスタイルに変更。両軸リールのドラグを調整し、尻手ロープをセットしてから、遠めの深みにエサを送り込む。サオ先と手元の感覚で底取りを確認し、ミチイトのたるみを巻き取ってから置きザオにし、併行してミャク釣りとの二刀流で臨む。

するとブルブルとしたアタリをとらえ、イソベラが釣れた。スカリにようやく2匹目の獲物が入った。さらに釣果を重ねようとエサを付けかえていた時に、「ああー、サオ!」という叫び声が聞こえた。ハッとしてブッ込み釣りのほうを確認すると、何と目の前で衝撃の展開!サオごと全部海中に引きずり込まれようとしていた。

間一髪でサオを救出し格闘開始

尻手ロープに救われ、全てを失う事態は避けられた。ロープを手繰ってサオを救出。体勢を立て直したが、魚には根に潜られてしまった。サオ先から伝わるのは空しい根掛かりの感触。何とかならないのかと、サオ先を色々と操作したところ、突如、物凄い引き込みの力にかわった。魚が根から出てきたのだ。

こうなれば魚を引きずり出すのみ。サオを立て、ドラグを締めて巻き上げにかかる。周りでは、先ほど叫び声をあげた人をはじめ数人が私の様子をうかがっていた。魚は再度根に潜ろうと抵抗する。引きは半端じゃない。サオは大きく曲がる。もはや格闘状態だ。イトは出せない。サオがのされたら終わり。とにかく耐えるしかない。

モンスターカンダイ71cm

一瞬の隙を見て巻き上げを加速すると、魚体が見えた。薄ピンク色の魚体の頭にはコブが。モンスター級のカンダイだ。「コブや!でかいぞ!」と、見守る釣り人からも叫び声が。海面に浮かせること3回目、頭を手前に向けたタイミングでタモ入れに成功。波止に上がったのはコブも見事な71cm。周りから拍手が起こる。万感の思いだ。口にストリンガーも通せない大物なので、ロープで代用して生かしておく。

アケミ貝のぶっこみ釣りでカンダイ71cm【ポートアイランド赤灯波止】仕留めたカンダイは71cm(提供:WEBライター・伴野慶幸)

目の前の第二航路を通過するユニークな船体の神戸港めぐりの観光船にしばし目をやり、カンダイ釣りはここで終了。10時半ごろからは、何とかウマヅラの姿を見たいと、テンビンカゴ釣りとミャク釣りを続けたが、赤ベラ1匹を追加したのみで納竿。最終的な釣果は、カンダイ71cmとベラ3匹だった。

釣魚の食味は下処理が決め手となるので、カンダイは活〆にして、エラと内臓を取り去った状態にして持ち帰った。12時の迎えの便に乗り込むと、私のカンダイに船長も同船の釣り人も目を丸くしていた。この日は当たり日だったのか、同船者の中に、新波止に渡りノマセ釣りでブリを釣り上げた二人組がいて、わずかなひと時ではあったが、大物を仕留めた者同士、会話も弾んだ。

今後の展望

ポートアイランド赤灯波止、和田防、新波止はいずれも、冬の釣り物はアブラメ、メバル、ガシラの底物トリオが定番になる。数は少ないが、条件が合えばカンダイも釣れる。冬は辛抱の釣りになるが、ホームページなどで情報をこまめにチェックして、釣れる時に釣れる魚を狙って釣行してほしい。

アケミ貝のぶっこみ釣りでカンダイ71cm【ポートアイランド赤灯波止】利用した河内渡船(提供:WEBライター・伴野慶幸)

<伴野慶幸/TSURINEWS・WEBライター>

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河内渡船