アオリイカが徐々に大きくなってくると深場へと移動し始め、船から狙うティップランの射程圏に入ってくる。11月5日は田辺・内之浦のサウスカレントへ、ティップランの名手・青木将晴さんと同行し、入門者にも優しい秋のアオリイカ攻略法を実演して貰った。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)
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サウスカレントでティップランエギング
「今は朝の時合いを逃したくないので」と言うサウスカレントの山本船長の希望でまだ暗い5時半の出船となった。ポイントの田辺湾口まではゆっくり走って15分ほどの距離。最初のポイントは水深20mラインのやや浅場だ。
当日、同行してもらった青木さんは、和歌山を中心にティップラン、イカメタル、エギングで釣りまくる名手だ。青木さんには、秋から晩秋にかけての、いわゆる初期のティップランでアオリイカに近づくための釣法を取材させてもらった。
ティプランエギングのタックル
青木さんが用意したロッドは、ブラックライオン75Mと75MHにスピニングリール、PE0.6号にリーダーは2.5号。エギはEZ-QフィンプラスTR、EZ-Qダートマスターなどのティップラン専用のエギでサイズは3.5号を中心に3号も用意。重さとしては30gと40gが中心だ。
山の端がきれいに映し出されるほど、やや明るくなりかけた頃に釣りスタート。風はあるものの勢いよく船が流されるほどではなく、潮と風が同じ方向のため、ラインがどうしても立ってしまう。サウスカレントのティップランは、船に風を受けて流す「ドテラ」方式。
ティップランの基本動作
基本の動きとしては、エギを投入して着底したら、そのまま数回、シャクリながら巻き上げる「巻きジャクリ」で、エギを数m浮かせたらピタリと止めてステイさせる。この時に追いかけてきたアオリイカがエギを抱きに来るが、ティップランではエギを抱いてもすぐに放すので、小さな反応があれば即アワセが基本だ。
アタリはバラエティーに富んでいて、コンッと竿先(ロッドティップ)を小突くような事もあれば、エギの重量感が消えてフワッとティップの曲がりが戻ったり、ヌッとティップを持ち込んだりすることもある。あまり、大きく明確なアタリは少なく、小さな反応でしっかりと掛け合わせないと掛からない事が多い。
メリハリの効いた釣りを
「しっかりとエギを動かしたら、ピタリと止める。メリハリをつけて、止めた時の小さなアタリに集中して欲しいですね」と青木さん。青木さんのシャクリもかなりシャープ。まるで、陸っぱりのエギングをしているかのような、ジャークを入れる。
ただ、海底からのシャクリは4、5回に止め、あまり上までタナを上げないのが特徴だと本人は話す。特にシーズン初期の浅場を狙う時には、できれば底をしっかりとトレースしたいとの事。
ステイ時の安定感がキモ
ロッドでシャクった後の、ステイ時のティップの安定感が見事。波で揺れる船に影響されて、ティップがフラフラとしていると、アタリが取りにくく、さらにはエギが不用意に動きかねない。
一流し目には、トモでいきなりロッドが曲がり、かなりの重量感。浮かせたアオリイカは1kgクラスで、この時期にするとかなり大型だ。青木さんによると少し前までは新子クラスが多かったが、10月下旬辺りからいきなり、群れがかわったかのように大型のアオリイカが交じりだしたと言う。
ロッドを突き上げると…
数流し目に青木さんの持つロッドのティップが違和感をとらえた。と思った瞬間、思い切りロッドを天に突き上げて大アワセだ。ロッドが曲がり込んでアオリイカの重量感をとらえると、グイグイと心地いいジェット噴射で抵抗する引きが伝わってきた。まずまずのサイズか。
ゆっくりと浮かせた頃に山本船長がタモを持って来てサッとすくったら、船縁からアオリイカの体内にある海水をそっと出してくれる。こうする事で、アオリイカが墨を吐こうとしても、体内に墨と一緒に吐くべき海水がないので吐けず、汚れる事がない。サイズは600g前後で、この時期のアベレージだ。
1人に反応があればチャンス
ここで青木さんからアドバイス。ティップラン全体に言える事だが、船を流す中で、アオリイカが溜まっているポイントがあり、1パイでも釣れると、周りでパラパラとあがる傾向にある。だから、船中で反応があったり、ヒットしたりアオリイカの気配があれば「次は自分のエギに来る」と信じて集中するといい。
また、一つのポイントにアオリイカが居たとして、エギに小型のイカでもいいので乗って暴れると、ほかの良型、大型のイカの活性が上がって周囲でも釣れたり、その場を再び流すと一発で釣れたりするらしい。
それを証明するかのように、当日もポツリと1パイのアオリイカがヒットしたポイントで、2流し目にはダブルヒットやトリプルヒットもあった。つまり、ヒットした次の流しも期待ができると言う訳だ。