合志川のヘラブナの長が「危機管理これで委員会」を緊急に合志川全ヘラブナに呼びかけたが、集まったのは尺級以上の年寄りばかりで8寸前後の若者は「これからは俺たちの時代」~だからと集まらなかった。
長は言った「冬になるとあの湖次郎がやってくる。せっかく平和だった俺たちの食生活なのに贅沢でおいしいエサをハリにつけて次々に仲間たちを釣り上げる。幸い痛い目に遭うが川には戻してくれる。が、しかし、釣った後に奴は言う~合志川のヘラブナは馬鹿か~と。実に悔しい、ここにいる諸君は礼儀と礼節を食欲にも求め、決してあの男の思うがままにならないように」と。
合志川では繊細な仕掛けを使用して、中小型狙い
ぽかぽか陽気に誘われて11月30日にやってきた合志川(熊本市北区植木町)。
朝日が眩しいが川面には水煙が立ち込め、カモをはじめとして多くの水鳥が浮かんでいる冬の長閑な風情を楽しめる~よか日ばい~。
余裕で久しぶりの合志川を見ることができるのは、今までと違って厳しい合志川の流れをもっと厳しい菊池川で常に経験し、しかも「おわせ釣り」という新技法も使えそうだし、強力な武器としてはエサにも言える。
浅場だろうが深場だろうが抜群に強みを発揮する『蒼天/IKKEI』と『底餌クロレラ/IKKEI』と、いざとなれば『強力グルテン/IKKEI』で誘って否が応でもヘラブナを狂わせてしまう。
菊池川での仕掛けと違ってサオ10尺、ミチイトは『ザイト/OWNER』1号、ハリス0.5号、ハリも『セッサ/OWNER』4号の、いつもと違う繊細な仕掛けで中小型狙いに徹する構えだ。
午前10時、少し風が出てきて水面が騒がしくなったが、これが冬の釣りでは魚を活性化させるのだ。
ヘラブナとの友好関係
20数年前、合志川のヘラブナ釣りに最初に行った植木温泉前。
水深1m強と浅場のやや流れありで得意の速攻釣りにはもってこいだが油断は禁物とばかりたっぷりエサ打ちに時間をかけて、いつもの「おわせ釣り」なら底にエサをつけるのだが、何せヘラブナの魚影も濃いがマブナやコイなども多いので底につけるのを見合わせてテンポよくエサを切りながら1時間程度は我慢の時間だ。
ウキが馴染む途中で動きがちょっと止まったり空ツンが出たりし始めたらちょっとウキの動きを長めに見る。
やはり底にエサがつくとマブナが次々に釣れ始めた。
ウキ下を短くするとハエが猛攻、当然エサ打ちは早くなる。
ここでじっと我慢しながら根気良く最初のアタリをていねいにアワセていくうちに中型のヘラブナが釣れ始める。
合志川のヘラブナは浮く、宙で釣れる、底はほとんどマブナという定説を得るには多くの釣り経験が素になっているし、宙で釣れるという確信的ヘラブナとの友好?関係を信じている。
とはいえ釣れるヘラブナは8寸(約24cm)前後と決まっているように1尾も尺(約30cm)級は釣れないまま午後1時、お昼タイムとなる。
再び「緊急危機管理臨時会議」開催。
ぽかぽか陽気に車の中は春気分だったが約1時間の休憩が釣り場面を大きく変えたし、このわずかな時間に合志川の長はまたもや緊急危機管理臨時会議、今度は強制的に若いヘラブナも召集された。
~「お前らは散々ではないか、こうなったら一切エサを食うな我慢しろ、だれだスマホを見ている奴は!ちゃんと年寄りの話を聞け」
と檄を飛ばしたが、
~「大好きな彼女からのメールっす」「だめだこりゃ」~
ならば奥の手の呪術を使って強烈な北風を上流から吹くようにし、そのため合志川の水面は荒波のようになった。
この状況は今までなら私にはかなり厳しいのだが、ここはかねて荒れる菊池川で訓練していた「逆おわせ」で対応して回れ右と釣座とサオを上流に向ける。
~「そんな技を持っていたんかい」と合志川のヘラブナの長がため息をついた。
午後からも逆のおわせの宙でのアタリを確実にとって中型の入れ食いだったが、冷たい北風はさらに強くなるし釣っても釣っても小型だったので、『ピンチヒッター』と本ママに交代する。
「逆おわせ」は未経験の本ママは、いつもの普通の釣り方で底にエサをつけて「じっくり待ち」の釣り。
合志川のヘラブナは女性に優しいのか、それともそこで居眠りしていたのか何と尺級がサオを絞った。
『けっ、この日唯一の尺級のヘラブナは女性がお好きなんですかね、やってられないよな』~てな感じでこれにて打ち止め。
サオを納めて早速すぐそばの温泉へ直行。
<週刊つりニュース西部版 APC・一美湖次郎/TSURINEWS編>
九州自動車道(高速)植木ICから国道3号線で山鹿方面、植木温泉入口を右折。