秋のイカダ五目釣りを満喫する方法 グループ釣行にオススメの釣り方5選

秋のイカダ五目釣りを満喫する方法 グループ釣行にオススメの釣り方5選

魚種多彩な秋、この時期はイカダでの五目釣りが楽しいシーズンである。なぜなら、荷物をイカダの上まで渡船で運んで貰えば、大きな移動もなく、イカダの周りではいろいろな釣り方で、多魚種が狙えるから。家族で出かけて秋の一日を目いっぱい楽しむ方法を紹介しよう。

(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

アバター画像 TSURINEWS編集部

イカダ&カセ 海釣り施設

イカダでの釣りとは

まず、大前提となるイカダ釣りだが、いわば、フロートの上に枠を組んで、その上に敷かれた板の上で釣りをするスタイル。基本的に風などで荒れてしまう海上には少なくて、大きな湾の中などに浮かべられ、イカリなどで固定されているので、流される事もなければ、ひっくり返る事もないのでご安心を。

秋のイカダ五目釣りを満喫する方法 グループ釣行にオススメの釣り方5選一般的なイカダの形状(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

イカダや同じくイカリで固定された小船(カセという)からの釣りを、カカリ釣りと言ったりするが、これはイカダやカセからチヌを狙う人がよく使う言葉だ。

少し知っている人なら、イカダやカセからの釣りと言えばチヌを想像するかもしれないが、イカダが掛けられている場所によってはチヌだけではなく、さまざまな魚が釣れる。

魚も「食欲の秋」

イカダに限らず、真夏に上昇しきった海水温が徐々に下がると、人が「食欲の秋」と言うように、魚たちも暑かった状態から涼しくなる事で「食欲の秋」に突入する。また、これから訪れる冬の低水温期に備えて、栄養をため込むべくエサを食いあさる時期でもある。

秋のイカダ五目釣りを満喫する方法 グループ釣行にオススメの釣り方5選多彩な魚が狙える(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

イカダの形状

ちなみにイカダの形式としては、メインとなるのがフロートの上に大きな板を敷いた形状だが、徳島・鳴門の堂ノ浦などでは屋根が付いたヤカタと呼ばれるイカダが有名。他にもトイレや小さな日陰を作るためのテントが張られたイカダなど数多く存在する。

家族やグループで渡船店に予約をすると、当日は空いているイカダに渡してくれるのだが、基本的に1つのイカダには1グループが渡って釣りを楽しめる。なので、他人に気を遣うことなく、思い思いの楽しみ方ができる。

釣り×ピクニック=『釣りピック』にも

釣りを中心に組み立ててもいいし、ピクニック気分でお弁当を広げつつ、ついでに釣りをしている姿も多く見受けられる。

注意したいのは、火の取り扱い。足場が木でできているので、バーベキューなどをすると火が板に移ってしまい火事になる事も考えられるので、厳禁である。

釣行計画の立て方

では、釣りの面に話を移そう。イカダからの釣りで有名なのはチヌ。しかし、チヌ以外に狙える魚は豊富だ。地域やイカダが掛けられている場所などで狙える魚はずいぶんとかわるので、事前に渡船店に問い合わせをして、狙える魚をリサーチすると無駄がない。

具体的にターゲットを挙げると、秋のイカダでもっとも狙いやすいのがカワハギ、サヨリ、キス、アオリイカ、チャリコ、アジなど。場所に寄るところが大きい魚としてはマダイ、ハマチなどの青物、ガシラ、アコウなどの根魚、カレイ、ヒラメなどなど、挙げればきりがないほど種類がいる。

リサーチの方法としては渡船店に連絡を入れて「家族で五目釣りをしたいけれど、なにがオススメですか」と船長に聞いてみる。船長がオススメの魚種と釣り方を教えてくれれば、メインとして狙いたい魚を決めて伝える。すると、船長がそのターゲットをメインとして狙いやすいイカダを選んで上げてくれる…と言う寸法だ。

では、ここではイカダからの五目釣りで主流となるいくつかの釣法についてガイドしてみよう。

1.サビキ釣り

波止からのサビキ釣りと同じだが、イカダからのサビキ釣りは、波止釣りに比べてメリットがある。

秋のイカダ五目釣りを満喫する方法 グループ釣行にオススメの釣り方5選サビキのターゲットはアジがメイン(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

イカダは魚が居つきやすい

イカダは連日のように釣り人が入っていれば、常にまきエサがポイントに入っていて、群れがとどまっている可能性が高い。なので、波止のように群れが通り過ぎればアタリも反応もない…と言う事が少なく、魚の活性さえ上がればいつでも釣れる。

何よりも、イカダの陰そのものが魚の潜みやすい場所となっているので、魚を寄せなくても足場となるイカダが魚を寄せてくれている。なので、朝の1投目からバンバン入れ食いになる事だってある。

手軽に沖を狙える

ポイントの真上に足場があるので、無理に沖の方を釣らなくてもいいのがイカダからのサビキ釣りの利点だ。波止で少し沖を釣ろうと思えば、長い竿を使ったり、飛ばしウキを付けて…と言った工夫が必要になるが、イカダからなら女性や子供さんの体力に合わせた竿をチョイスできる。

もちろん、軽量な2mくらいのコンパクトロッドや、ルアーロッドなどでも十分に釣りができる。

注意点としてはイカダによってはハリが足場となる板に引っ掛かったり、ちょっとした隙間にハリが落ち込んでしまう事もあるので、仕掛けをイカダの上に置く際は注意しよう。また、細めのプライヤーなどを持参しておくと、板の隙間に落ち込んで引っ掛かったハリを簡単に外せる。

道具と釣り方

前述のように竿は短くても問題ない。が、あまり短いとサビキ仕掛けの方が長くなってしまいトラブルの元になる。だいたい2m前後の竿にリールはスピニング、両軸のどちらでもOKだ。

秋のイカダ五目釣りを満喫する方法 グループ釣行にオススメの釣り方5選少ない道具で楽しめる(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

飛ばしウキも必要ないので、道糸(3号くらい)の先にサビキ仕掛けとカゴを付ければ釣りができる。シンプルな釣りなので、まずはお子さんにサビキタックルを持たせておけべ、次のタックル準備ができる。

釣り方としてはマキエカゴにアミエビを入れて、まずは底まで沈める。アジが居ればすぐに食ってくるはず。アタリがあって、魚が掛かれば決して速く巻き上げない事。ゆっくりと巻き上げてアジの口が切れるのを防止する。浮かせたらそのままイカダに上げて仕掛けを置き、ゆっくりと外すといい。

イカダの下は好ポイント

イカダの場合、底だけではなく、イカダのすぐ下の陰にも溜まっている事が多い。仕掛けを入れる時によく観察していると、目で見えるくらいの浅い場所でアジが乱舞している事がある。そうなれば仕掛けを底まで沈める必要はない。

ただ、秋のイカダの場合は、波止回りで夏場に釣れ盛る10~12、13cmの豆アジに加えて、20~25cm、時にはさらに大きなアジの群れが層を違えて釣れる事があるので、余裕ができれば、豆アジの群れを追うだけではなく、大きなアジが居ないか、探してみるのも楽しい。

2.胴突き探り釣り

秋の代表的なターゲットと言えるカワハギをメインに考えての釣りだ。こちらも竿は短くていいので、サビキ釣りのタックルを併用しても構わない。

代表魚はカワハギ

強いて言えば、カワハギをターゲットにした場合は小さなアタリを取るので、カワハギ専用竿のような先調子で胴がしっかりした竿が好ましいが、なければ何でもOKだ。同じく、感度を優先するため、道糸はPEラインを使うのがオススメ。カワハギメインならPEラインは0.8~1号程度。

秋のイカダ五目釣りを満喫する方法 グループ釣行にオススメの釣り方5選カワハギ仕掛け(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

釣り方の基本

胴突き仕掛けはオモリが最下部、その上に数本の枝バリを出す釣りだが、イカダの場合、底付近での釣りが中心になる。と言うのも波止ではケーソンの壁があり壁に沿って魚が付いているが、イカダの場合は、いわば沖と一緒で、底から浮かすと何もない中層になるため、あまり魚が居ない。

これはカワハギに限らず、同様に胴突き仕掛けで釣れるガシラやチャリコなどに共通して言える事だ。

胴突き仕掛けの場合、魚をまきエサで寄せると言うよりは、広く探って、魚の居る場所へエサを持っていって食わせると考えたい。そのため、竿1本を持ってイカダのあちこちに仕掛けを入れてみたい。

エサはシラサエビ(冷凍でもOK)、イシゴカイ、オキアミなど数種類を用意して、その時々でかえつつ食いのいいエサを探すと釣果につながる。

釣り方のキモ

釣り方のキモはゆっくりと仕掛けを上下させるアピールと、アタリがあっても慌ててアワせない事。アタリがあれば、そのままゆっくりと竿を上げてみよう。魚がハリ掛かりすれば、アタリが引きにかわり、激しく抵抗するのでそのまま糸を緩めずに巻き上げにかかるといい。

3.チョイ投げ

チョイ投げはイカダの周りの海底に潜む、キスやチャリコ、ベラなどを狙う釣り。波止からのチョイ投げ同様、軽く投げて仕掛けで底を引きずるように探る。波止に比べると、イカダ自体が沖に浮いているので、足元まで魚が潜んでいる可能性が高い。

秋のイカダ五目釣りを満喫する方法 グループ釣行にオススメの釣り方5選秋は良型キスが狙える(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

仕掛けについて

潮の速さ、深さなどでオモリはかえると良いが、だいたい内湾のイカダで使用するなら5~10号のオモリがあればいい。仕掛けはトラブル回避のために2本バリ程度が妥当。ターゲットにもよるが、キスやチャリコ、ベラなどをメインに狙う場合は、ハリス1.5号に競技用のキスバリ6~7号など細軸の小バリが有利。

周囲全体がポイント

イカダは周囲全てが探る事ができるポイントと思って、あちこちに軽く投げて探ってみよう。これで砂底ならキスやベラ、チャリコが、引っ掛かるような根があれば、1本バリにして同じ場所でガシラなどを狙う事もできる。

11月にはカレイも

さらに季節が進んで11月頃になると、兵庫県下や徳島県下のイカダでは待望のカレイも釣れ出す。カレイ狙いも遠投の必要がないため、ロアーロッドなどにチョイ投げの仕掛けをセットして投げ込む。カレイの場合はすぐにエサを食ってくる魚ではないため、数本の竿で、あちこちに投げ込んで置き竿にしておく。

カレイがハリに掛かって突っ走り、竿を持っていかれないように尻手ロープで繋ぐか、竿立てを利用したい。

カレイ狙いの場合はハリスは4号以上、カレイバリ12号程度はほしいところ。エサはマムシやアオイソメが主流だ。

4.ノマセ釣り

イカダからのノマセ釣りのターゲットは大きく2つに分かれる。中層を泳ぐハマチなどの青物と底付近に潜むヒラメ、マゴチなど、いずれにしても小魚を主食とするフィッシュイーターたちだ。

秋のイカダ五目釣りを満喫する方法 グループ釣行にオススメの釣り方5選アジで大物をゲット(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

イカダの場合は前述の通り、アジなどの小物がイカダの周りに付いている事が多く、それを狙って大物が近寄ってくる。

ウキノマセ

中層を泳ぐ青物にはウキ釣りが適している。ウキ釣りの場合はハリス5号以上でマダイバリ10号程度を使用。エサの小魚があまり動き回らないように重めのオモリ(5号程度)を使い、それに見合ったウキを使う。タナを自由にかえられる遊動仕掛けが便利だ。

道糸の先にセットするだけですぐにノマセ釣りの仕掛けができ上がる市販品も数多く発売されているので、1セットくらいはバッグに忍ばせておきたい。

胴突きノマセ

ヒラメなどの場合は、胴突きの1本バリはやりやすい。オモリは15号程度でしっかりと仕掛けを止められる重さをチョイス。エダスは5号以上で70~100cmとり、エサが底付近を泳ぎ回るようにする。

イカダに付くアジなどを狙って寄ってくるので、遠くに投げる必要はなく、どちらかと言えばイカダの下を狙う。さらに言うと、小アジなどを集めておくと、そのアジを狙って寄ってくるので、サビキを続けながら、釣ったアジをエサにして仕掛けをすぐ横に投入しておくのがいい。

5.エギング

秋はアオリイカの新子を狙ったエギングが楽しい。イカダでもアオリイカを狙う事ができるが、できれば磯場近くで岸に近い場所にかけられたイカダが好場となる。シーズンが進むにつれ、浅場では釣れなくなると、徐々に深い場所に掛けられているイカダ周りで釣れるようになるが、深場のイカはじっくりと釣る必要があり、なかなか難しいモノだ。

秋のイカダ五目釣りを満喫する方法 グループ釣行にオススメの釣り方5選秋が深まれば良型アオリイカも(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

エギを1、2本用意しておき、他の釣りの合間に少し試してみるくらいでいいかもしれない。ポイントはやはりイカダの下であったり、イカダを固定しているロープ際、その先の固定用アンカーなどに付いている場合が多い。

家族やグループ釣行がオススメ

秋シーズンは予想もしない魚が突然回遊してきたりと、本当に行ってみないと分からない部分も多い。今回紹介した釣法、魚種以外にも、いろいろな魚たちと出あえる。

家族やグループで釣行して欲しい理由は、それぞれがいろいろな釣り方を分かれてやってみて、釣れなければ、釣れている釣法の人と交代したりできる点。1人で何もかもこなすのは難しいが人が複数居れば、可能になるし、いきなり回遊が始まった時にも察知しやすい。

秋のイカダ五目釣りを満喫する方法 グループ釣行にオススメの釣り方5選子供さんも大喜び(撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)

家族や気のあったグループ水入らずで楽しめるイカダの五目釣りに是非出かけてみよう。

<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>