9月2日、3日に、磯のチヌフカセ釣り界最高峰を決定する「第38回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権」が、広島県の広島湾一帯で行われ、全国から精鋭37人が参加。準々決勝では数の釣り合いを征し、準決勝では貴重な1尾で勝ち上がった車孝信選手が決勝では2尾のチヌを揃え、見事に初優勝を果たした。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)
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G杯争奪がま磯(チヌ)選手権
今回で38回目を迎える「G杯争奪がま磯(チヌ)選手権」は、全国各地の予選を勝ち抜いた選手に、昨年の上位入賞者であるシード選手、そしてがまかつ社推薦選手を合わせた36人がエントリー。
初日の予選リーグは36人が6人ずつ6組に分かれてのリーグ戦。自分を除いた5選手のうち、抽選により4人の選手と当たる4回戦方式だ。審査基準は釣り上げたチヌ23cm以上の総重量勝負。
各対戦での勝者が10ポイント、敗者は2ポイント、釣果なしでの引き分けは3ポイントが加算され、その合計ポイント数で各組上位1人及び、ワイルドカードとして予選リーグ敗退者の中からポイント数が多かった2人をプラスした8人が2日目の準々決勝にコマを進める。
初日の予選リーグから8人が2日目へ
その結果、1組からは3勝0敗1分の合計33ポイントで西田英治選手(牛窓会場)が、2組からは3勝0敗1分で車孝信選手(家島会場)が、3組からは3勝1敗で桑原翔太選手(九十九島会場)が、4組からは3勝0敗1分で沖永吉宏選手(推薦)が、5組からは2勝1敗1分で太田賢一選手(若狭大島会場)が、6組からは4勝で山本哲也選手(今治Ⅰ)がトップで通過した。
加えて、33ポイントを獲得していた1組の小川達矢選手、25ポイントで4組の青木重人選手の2人がワイルドカードとして準々決勝にコマを進めた。
準々決勝からはマンツーマンで
準々決勝からはマンツーマンでの対戦による勝ち抜きトーナメント方式。準々決勝、準決勝は50分ハーフの合計100分間の戦いだ。前夜の敢闘祭で行われたクジ抽選により、山本選手VS桑原選手、車選手VS西田選手、青木選手VS小川選手、太田選手VS沖永選手の組み合わせとなった。
ただ、初日の釣果を見ると、広島湾はそれまでの豪雨により、全体に水潮が回っており、透明度も低い状況で、チヌの食いがかなり渋い。現地に精通するスタッフ、競技役員が懸命に相談をし、少しでも可能性のある場所を準々決勝の舞台に選んだ。
似島(にのしま)一文字で行われた青木選手VS小川選手では1投目にチヌをキャッチした青木選手が、浅ダナでの中層狙いで浮くチヌを次々に仕留めて4尾(2740g)をたたき出すと、終了間際に小川選手が2連続でチヌを釣ったが惜しくもタイムアップとなり2尾1500gで青木選手が準決勝へ。
すぐ並びで行われた太田選手VS沖永選手は太田選手が港内向きで小型チヌを釣ってすると、外向きの遠投で攻めていた沖永選手が良型チヌをヒットさせる。その後、太田選手がもう1尾チヌを釣り、数では太田選手、型では沖永選手となったが、1160gと1000gで2尾を釣った太田選手が勝ち上がった。
別船では4尾を釣り上げた山本選手の重量1140gに対して、3尾の桑原選手がサイズで圧倒し、3100gの重量で勝利。車選手と西田選手はチヌの数のとなったが、規定寸に届かないチヌが多かった西田選手の3尾2230gに対して、車選手が規定寸以上のチヌを8尾釣り上げ、2830gの重量で勝利を手にした。
ラスト1分での貴重なチヌで決勝へ
続けて行われた準決勝は青木選手VS太田選手、桑原選手VS車選手の組み合わせ。青木、太田両選手の上がった似島のスベリでは、前半と後半の終了間際までお互いに釣果なし。ところが、終了1分前にボラの群れの下で深ダナ+ネリエで攻めた青木選手が貴重なチヌをヒットさせて、取り込み後に試合が終了となる奇跡で青木選手が決勝の舞台へ。
同様に桑原選手VS車選手も1尾の勝負で、車選手が貴重なチヌ1310gを釣り上げてそのまま決勝へ。決勝は青木選手VS車選手の組み合わせとなった。
エサ取りの多さに苦戦
決勝戦の舞台は弁天島の南で11~13時の2時間で60分での場所交代で行われた。やはりここも濁りが強く、潮が止まったりやや左に流れたりと言った感じ。
スタートは青木選手がジャンケンに勝ち、海に向かって左へ、車選手が右に入った。1投目から何やら反応はあるがエサ取りらしい。車選手が早々に掛けたが、これはチャリコ。ここからチャリコ3連発と苦戦だが、青木選手もウミタナゴ、キュウセン、チャリコとゲストのオンパレード。
ファーストフィッシュは車選手に
そんな中、潮がゆっくりと右方向へと安定した動きをし始めた前半50分過ぎ、車選手が待望の本命をヒットさせた。35cm級のチヌをタモに収めると、ギャラリーからは大きな拍手が…。前半は1対0のまま終了して場所交代。
左に入った車選手は青木選手よりもさらに遠投で沖を攻める。すると、仕掛けがなじむ前にウキが走ったと言うアタリで、2尾目の本命がヒット。
試合をかなり有利に運べる2尾目のチヌを仕留めた車選手に対して、青木選手も大きく竿でアワせた。が、これはチヌではあったが、規定寸に満たない小型でカウントされず残念。
潮も安定してきて、釣れそうな雰囲気はあったが、そのままタイムアップとなり、車選手が見事に初栄冠となった。
最終成績
優勝:車孝信
2位:青木重人
3位:桑原翔太
4位:太田賢一
※1~3位の選手には来年度のG杯争奪がま磯(チヌ)選手権全国大会へのシード権が与えられる。
優勝者・車孝信選手のコメント
「クラブの例会などで尾道までは来た事があるけれど、広島湾は初めて。イメージとしては場所を問わず、チヌの魚影が濃いなあ…と。決勝の磯は手前にはフグやチャリコが多く、遠投すると生オキアミも残ってきていたので、本当はもっと遠投したかったが、この場所は後方が狭くちょっと投げられなかった。まだまだ実感は沸いていませんが、終わった直後の感想はやったと言うより、ようやく終わった~という感じでした」
車選手プロフィール
1968年生まれ、富山県射水市在住。チヌのフカセ釣り歴は15年ほどで、他にグレ釣りも始めて10年ほど。ホームグラウンドは能登半島。釣士道オフィシャルトーナメントチーム所属。釣士道フィールドテスター。
得意の釣りはタナを決めた半遊動のフカセ釣りで、上から探ってタナを見つけ、パターン化して効率よくチヌを釣っていくスタイル。ウキ釣りを始めて依頼、がまかつ社製品の愛好家で、「いつかはG杯決勝の場に」と挑戦を続けていたが、決勝トーナメントに残ったのは今回が初めて。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>
広島湾一帯