茨城県稲敷市西の洲干拓を流れる西の洲干拓水路は、水温が下がりにくく、逆に上がりやすい特徴がある。東南北、流程8.2kmすべてを広域に紹介したいところだが、あえて本湖寄りにスポットを当てた。魚種多彩でウキを動かしてくる釣り場だけに、野ベラとの出会いは格別だ。
西の洲干拓水路
西の洲は名称の通り、霞ヶ浦南岸に位置する稲敷市(旧桜川村)に属する面積約470ヘクタールの干拓地。
レンコンで知られる浮島地区は、霞ヶ浦に浮かぶ孤島で昭和23年に対岸・阿波村との陸路が通じるまでは渡船や、定期船が主な交通手段だった。交通の便を改善するために野田奈川の南西部・甘田入干拓(昭和23年竣工)後、野田奈川も干拓(昭和27年竣工)して地続きにした。昭和41年竣工で浮島西部の西の洲が干拓。
今世紀に入って、霞ヶ浦浄化対策の一環といわれる国土交通省の大規模浚渫(しゅんせつ)工事が竣工。中央水路が消え(干拓地だから湧水で沼が出現)、南水路と森山新堀はジャカゴ投入で川幅や水深が激変した。その影響か、水面が覆い尽くされるほど繁茂していた北水路の乗っ込み場のマコモ群が消失してしまった。
長く水門が閉ざされ流れ込みが少ないためか、水が動くわりに水温の低下は遅く上昇が早い。特に南水路は寒季でもモジリが見られ、冬~春にアタリがもらえる貴重な釣り場。小魚の豊富さからバサーが多く訪釣する。
釣りポイント
東水路
昭和時代から橋周辺がポイントで、現在でも入釣場所のヒントになる。野田奈排水機場から南下する東水路は流程1kmでマコモの密集が見られ、水深は80cm~1mほど。
平日でも集荷所下で釣り人が竿を出しているが、5月の揚水時に狙うのが面白い。
北水路
新田橋~北水門までの本湖寄りに限っては、北岸の足場が高いこともあり南岸から狙う。
絶壁状態が続くが、犬走り程度の水平が点在しているので探して入釣する。水深は竿15尺以上の対岸狙いで60cm程度。ミオ筋は少し蛇行しているが中央に存在しており、水深は1本程度。
不法投棄のせいで正体不明の根掛かりもあるので、釣り始める前に12尺竿で底を探って釣り座を決めたい。
南水路
機場前広場~横田橋までは通年モジリの多い場所で、北岸から狙う。
水深は広場~船が係留された森山工務店前で1本強。民家前は竿14尺の底釣りだと機場方向へカケアガる水底で、横田橋方向へ深くなる境目。川幅が広いので長竿を振りたくなるが、長竿の実績は低い。
方向が一定しない緩い流れを感じるが、水門が閉まっているときは流程と川形状が風を受けて起こるもので共ズラシをベタ方向へ調整すれば対応できる。
そういう意味でビニールハウス前から地蔵前のカーブは平坦な見た目によらず、流れに変化のある場所。
北岸が内側なので、岬ポイントのようだ。機場樋管は魚道になっていた開口口を埋めてしまったが、その南側にある小水門は農繁期に開くので、本湖からくる魚の通用門となる
機場の本湖側樋門前は、沖へせり出た砂地が波止めしている好場所。水門の両側から降りられ、本湖へ向かって竿12尺1本の底釣りをすると、アメリカナマズの多さは否めないが面白い。
本湖側は網打ちをする人にとっても好場らしく、護岸にウロコが散っていたら諦めよう。