秋の釣りシーズン真っ盛り。暑くもなく寒くもないアウトドアには最適な季節だ。今回のテーマは秋のイカダで遊び尽くす!波穏やかな三重県・南伊勢町迫間浦を舞台に、この時期ならではの多彩な釣果を求めてまるっと一日楽しんだ。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版・編集部)
アオリイカとアジ狙いのイカダ釣り
今回お世話になったのは、南伊勢町迫間浦にある宝成渡船。クロダイのカカリ釣りで絶大な人気を誇る老舗渡船店だ。この迫間浦でクロダイ以外に人気急上昇中のターゲットがアオリイカとアジだ。
特にアオリイカ人気は高く、春秋ともかなりのエギンガーやヤエン師が訪れる。今秋も9月から釣果がぽつぽつ聞かれ始め、10月に入ってキロアップも上がっている。今年はやや数は少なめだが、その分サイズが良いとのこと。
イカダでのタックル(作図:週刊つりニュース中部版・編集部)そして家族で手軽に楽しめるのがアジ。堤防と同じサビキ釣りだが、釣れるサイズが堤防よりひと回りもふた回りも大きい。またその中で小さめのアジを選んで泳がせれば、シオ(カンパチの幼魚)やハマチなどの青物、ヒラメなんかの大型フィッシュイーターも釣れてくる。もちろんルアーマンならジギングで狙っても面白い。
つまりビギナーからベテランまで、まるっと一日楽しめるのが秋のイカダなのだ。
フィッシングプラン
今回はそんな秋イカダを丸ごと楽しもうと、午前中はエギングでアオリイカ狙い、午後はサビキのアジ狙いを中心に、小アジが釣れればそれをエサに泳がせ釣りをやってみようというもの。
そしてこの釣行にチャレンジしてくれたのが、がまかつフィールドテスターの渡邉敦さんと、週刊つりニュースライターの戸松慶輔さん。
この2人と波穏やかな湾奥のイカダに渡ったのは、まだ薄暗い午前6時前。ライトの明かりを頼りに、早速タックルの準備を進めていく。
イカダエギングタックル
まずアオリイカから。イカダからのエギングなのだが、基本的に陸っぱりのタックルの流用が可能。8ft前後のエギングロッドMLクラスに、スピニングリール2500番をセットする。リールのハイギア、ノーマルギアだが、これは好みで良いと思う。
エヴォリッジ(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)ラインはもちろんPEラインで、太さは0.6~0.8号。これにフロロカーボンリーダー2号を1ヒロほど結んでおく。リーダーの先にはエギの交換がしやすいように、スナップを結んでおこう。
イージーQ喰わせ(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)ただイカダは陸っぱりと違い走り回れるほど広くはない。そのため若干短めの7ft台中盤ぐらいが扱いやすい。エギングロッドでそんなショートレングスは少ないため、チニングロッドや長めのアジングロッドの使い心地が非常に良い。
アジングロッドでも3号のエギをそろっとキャスト可能だし、チニングロッドなら振り抜くこともできる。もちろんメーカーにもよるが。
エギは秋の場合2.5~3号がメイン。水深が10mを超えるイカダが多いので、ウエートシンカーは必須。細かく調節できるイトオモリタイプがお勧めだ。
朝の時合いに連発
イカダエギングにおいて、渡った直後の朝マヅメは最大のチャンスとなる。特に1投目、2投目は極めてヒット率が高い。はやる気持ちを抑え、渡邉さんは2.5号のがまかつラグゼエヴォリッジ、戸松さんはデュエルイージーQ喰わせ2.5号をキャスト。
イカダのエギングは基本的に陸っぱりと同じだ。違うのは陸っぱりは沖に向かって投げるのに対し、イカダエギングは陸に向かって投げることが多い。
陸に向かって投げるということは、シャクってフォールさせていくとエギが手前にくる。手前にくるほど、水深はどんどん深くなっていくのだ。
陸っぱりであればカーブフォールで良いが、徐々に深くなるイカダでは時折ラインを出してフリーフォールも織り交ぜていくことが必須。
ブレイクを探る(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)アタリはラインに出ることが多い。カーブフォール中にラインがピンッと弾かれたり、スッと引き込まれたり。手元にコツンとくるのは、アオリイカが触腕でエギを突いたときに出るアタリ。いずれも即アワセでOK。ティップごとひったくるような明確なアタリが出ることもあるが、こんな派手なアタリは意外に乗らないことが多い。
期待感満載の1投目、2投目は2人とも反応なし。やや肩透かし感はあったものの、周囲が明るくなってきたころ戸松さんからヒットコール。グイッとティップを押さえ込んだという1匹目は、200gちょいの秋らしいサイズだ。
ミニサイズをリリース(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)さらに戸松さんは連発。ところが2匹目はあまりにかわいい赤ちゃんアオリイカ。これは素早くリリースする。次を狙うとまたもや秋イカサイズをキャッチ。朝マヅメに怒とうの3連発だ。
一方の渡邉さんは焦りを隠せず、エギを取っ替え引っ替え。どんな釣りでもそうだが、迷宮に迷い込むと大変。もがけばもがくほど抜け出せなくなる。
アオリキャッチ(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)でもそこはさすがベテラン、ブレイク付近でじっくりカーブフォールさせていたところ、コツンというイカパンチを感知。すかさず入れたアワセで、グーンとロッドが曲がった。何度もジェット噴射を繰り返してキャッチしたのは、当日最大400 gクラスのアオリイカだった。
良型手中(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)覚醒からの3連発
その後、戸松さんが1匹追加したところで、朝の時合いが終了したのか静かな時間が流れる。ここで戸松さんがジグにチェンジ。エギにまとわりついてきたイナダをうまく食わせて、青物らしい引きを楽しんでいた。
イナダをジグでゲット(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)少しダレた雰囲気になってきた10時半、気持ちが午後からのアジ五目に向きだしたころ、渡邉さんが突然の覚醒。戸松さんには全く反応がないのに、エヴォリッジ2.5号で本命3連発。
怒涛の連発(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)全てブレイクの落ち込みでのヒットで、アオリイカが回遊してきたタイミングを逃さず見事な連発劇だった。
2人で8匹キャッチ(提供:週刊つりニュース中部版・編集部)結局アオリイカは2人で400 g筆頭に8匹(リリース含む)という釣果。午前中だけのエギングだったが、一日通しでやれば2ケタ釣果は堅かっただろう。

