中部地方の投げ釣りでアイナメを狙う場合、真っ先に思い浮かぶのが鳥羽エリアだ。
鳥羽でのアイナメ釣りは、鳥羽駅周辺、小浜周辺、安楽島周辺など地方から狙うスタイルと、答志島、菅島、坂手島、神島などの離島に渡るスタイルがある。
前者は釣れるアイナメは35cmまでが中心だが、場所によっては車横付けでサオ出しも可能。
一方、後者の場合は定期船や渡船を使わなければいけない不便さはあるが、最大45cmクラスまで狙うことができる。
さらに40cmクラスのマコガレイやクロダイ、スズキが乱入する可能性もある。
旬を迎えて脂の乗った大型アイナメのお刺し身が食べたいということで4月1日、三重県鳥羽市答志島に釣行した。
良型はユムシ!の鉄則を再確認
午前4時に堺市の自宅を出発。
エサは前日に購入したイワムシとユムシだ。
午前8時前に佐田浜の定期船乗り場に到着し、早速荷物をまとめて答志港行きの定期船に乗る。
約30分の航行で答志港に入港した。
狙っていた旧港の大波止は、前方にワカメの養殖棚が設置されており、投げ釣りができそうにない。
仕方なく新港の大波止に回り、少し遅い午前9時すぎから用意に取り掛かった。
サオは投げ専用4.25mで、大型スピニングリールをセット。
根掛かりを考慮してミチイトはPEライン5号の太イトとする。
オモリは遊動式30号、ハリは丸セイゴサーフ17号の1本バリで、ハリス7号を1mほど取ったシンプルな1本バリ仕掛けだ。
サオを4本出して時合を待ってみる
イワムシとユムシを付けて4本のサオを左右に投げ分ける。
この釣り場は足場が悪い上に水深があり、潮流も複雑だ。
投入したサオのミチイトを注意深く追いかけると、じわっと左方向に流されている。
下げ潮の本流が波止をかすめるように流れており、根掛かりが多発する潮流だ。
案の定、4本のうち3本が根掛かり。
ミチイトがPE5号なのでオモリまで取られる心配はないが、毎回ハリが曲がって上がってくるので仕掛けの修復作業に追われる。
やがて干潮が近づき潮が緩むようになると、あれほど激しかった根掛かりもほとんどしなくなった。
干潮から、今度は込み潮が右方向に流れるタイミングが時合いだろうとのんびり構える。
すると案の定、午後2時の干潮を過ぎたころにガンガンとサオ先をたたくアタリ。
当日は大型のヒガンフグが何尾か掛かっていたので半信半疑でアワせると、首を振るような明らかにフグとは違う感触が伝わった。
手前は沈みテトラとホンダワラの障害物があるので、水深15mから一気に浮かせる。
手元に飛び込んできたのはアイナメの33cm。
さあこれからと期待をするが、その後はカサゴや30cmまでのマコガレイが釣れるだけ。
良型はユムシ!の鉄則を再確認
丁寧に血抜きをしてクーラーへ。
込み潮の反流が渦を巻き、いい感じで仕掛けが落ち着いており、頻繁に誘いと打ち返しを続ける。
すると、午後5時の音楽が流れる間に再びサオ先をたたくアタリが出る。
慌ててサオに飛びついて大きくアワせると、ドンとした重量感。
1匹目よりも明らかに良型だと分かる。
途中でテトラに潜られそうになるが、何とか海面まで引きずり出すことに成功。
ハリ掛かりを確認してぶり上げたアイナメは41cmの良型だ。
ユムシを食っており、「良型はユムシ」の鉄則を改めて思い知った。
このアイナメはおいしく食べるために丁寧に血抜きをしてクーラーに収める。
雰囲気的にはまだ釣れそうに思えたが、最終の定期船の時間が迫ってきたため午後6時に納竿とした。
今シーズンの鳥羽のアイナメは、例年に比べて不調な年回りのようだ。
例年であればこの釣り場でも30cmを超えるいわゆるポン級アイナメが4、5匹は釣れるが、低水温が影響しているのかもしれない。
4月以降、水温が上昇して魚の活性が上向くことを期待し、再度挑戦したい。
<週刊つりニュース中部版 APC・長谷川靖之>
鳥羽市営定期船利用。