日本人が大好きな魚マグロ。全国のスーパーや回転寿司で毎日のように見ることができる魚たちです。日本では数種類のマグロが流通しており、ミナミマグロはクロマグロに次ぐ高級マグロとして知られています。この記事ではミナミマグロとその漁業についてご紹介します。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
ミナミマグロとは
ミナミマグロはThunnus maccoyiiの和名で、本種は名前の通り、南半球のみに分布する大型の回遊魚。日本では別名「インドマグロ」とも呼ばれており、寿司や刺身での流通が大部分を占めます。
本種は形態がよく似たクロマグロと同様にサバ科マグロ属に分類され、クロマグロの尾柄部のキールが黒味がかるのに対して、黄色みかがることから区別することができるようです。ただし、死後は尾柄部の黄色が薄くなることもあるそう。
また、食性もクロマグロと同様に肉食性で、胃の内容物の解析から餌は小型魚やイカ類を食べることを知られています。
クロマグロに次ぐ高級魚
世界でも屈指のマグロの消費量を誇る日本では国内外で漁獲されたマグロが1年を通して流通します。
ミナミマグロはクロマグロに次ぐ高級マグロで寿命40年程、大きさ2m、重さ200kg、脂の乗りがよいことから寿司ネタとしても非常に需要が高い魚です。日本には分布しないものの回転寿司や魚屋でよく見られることから馴染み深いマグロの一つと言えるでしょう。
南半球の広い範囲を生息地とする本種は主に南緯30~50度に分布し、主な漁場は南アフリカ沖、インド洋南東海域、ニュージーランド海域、オーストラリア、産卵場所として知られるインドネシアなどです。
公海では日本や韓国、台湾、沿岸部ではオーストラリアや南アフリカなどが操業しています。
ミナミマグロは延縄で漁獲されることが多いですが、オーストラリアでは本種の養殖が行われている他、畜養するための種苗を巻き網で漁獲してます。種苗は数か月畜養された後、そのほとんどが日本へ輸出されるそうです。
「みなみまぐろの保存のための条約」
ミナミマグロの商業漁業は1950年代初期に日本がインドネシア近海で行ったはえ縄から始まりました。その後、1961年には7万7900トンもの漁獲を記録。しかし、以降、ミナミマグロの漁獲量は減少傾向にありました。
本種は資源管理が必要な魚であることが明らかであり、1994年5月20日にミナミマグロの保存及び最適利用を適当な管理を通じて確保することを目的とし「みなみまぐろの保存のための条約」が発効(みなみまぐろの保存のための条約-外務省)。現在は日本、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、韓国、インドネシア、台湾、EUが「みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)」のメンバーとなっています。
現在、漁獲枠が定められており、かつてのような漁獲量はないものの資源管理の成果なのか少しずつ資源が回復しているとのことです。
日本人にも馴染み深いミナミマグロですが、実は南半球で漁獲されている魚なのでした。現在は資源管理の下、漁業が行われており日本全国へ流通しています。
参考文献・参考サイト
(CLEF D’IDENTIFICATIOn PRATIQUE DES thons du genre Thunnus)
(ミナミマグロの食性研究のレビュー:CCSBT における今後の研究事項)
(ミナミマグロ – 国際漁業資源の現況-水産庁 水産研究・教育機構 )
<サカナト編集部>