投げ釣りの2大ターゲットといえば、シロギスとカレイ。秋が深まって冬の足音が聞こえてくると、キスからカレイにバトンが渡され各地で好釣果が見込めるようになる。今回はそんなカレイの投げ釣りについて解説してみたい。
カレイの種類
日本近海には約40種類のカレイが生息していると言われているが、投げ釣りで狙うことができるのはマコガレイ、イシガレイ、ヌマガレイ、マガレイ、ババガレイ(ナメタガレイ)の5種類である。
ヌマガレイ、マガレイ、ババガレイは限られた地域でしか釣れないので、マコガレイとイシガレイが特にポピュラーなターゲットとなる。
しかしこの2種類のカレイも、微妙に生息している環境が異なり、マコガレイは比較的潮流が穏やかな砂泥底に生息しているのに対して、イシガレイは潮通しが良く、砂礫(されき)状の底に生息している。
よってこの2種類のカレイが同じ場所で釣れることは珍しい。
カレイ釣りのシーズン
投げ釣りは硬い投げザオで30号前後のオモリを振り切って、岸から100m沖を狙う釣りである。
それでも普段カレイが生息している沖の深場までは仕掛けが届かない。
しかし乗っ込み時期から産卵期、そして産卵後の体力を回復させる間は、エサが多い浅場で過ごすため、投げ釣りの射程圏内となる。
そのシーズンは秋口から始まって、桜の花が散るころまでの約半年間である。
秋のシーズンはその年の夏場の水温や釣り場によって多少前後するが、10月上旬からポツポツと釣れ始めて11月中旬にピークを迎える。
産卵時期も地域によって異なるが、およそ12月下旬から1月中旬ごろである。
産卵後しばらく食いが止まる場合が多いが、3月ごろから再び活発にエサを捕食するようになる。
ちょうどこの時期に釣れるカレイを桜の開花と重なることから、花見ガレイと呼ぶ。
カレイ釣りのタックル
投げ釣りでは遠投力があれば、それだけ探れるポイントが広くなるので有利だ。
近年の投げ釣りタックルの進歩は目ざましく、タックルと体のバランスが大きくずれない限り、少し練習すれば100mは誰もが届く射程距離だ。
前述した通り、カレイを狙うポイントは潮通しがいいので、潮に流されない25~30号のテンビンオモリを使用する。
その重さのオモリを振り切れるだけのしっかりとした投げザオと、ミチイトを200m巻ける投げ専用リールが良い。
カレイ釣りのライン
リールに巻くミチイトの素材は、ナイロン、フロロカーボン、PE(ポリエチレン)の3種類がある。
・ナイロン:安価だが、劣化が早く数回の釣行ごとに巻き替えが必要となる。
・フロロカーボン:比重が大きく、沈降速度が速いので漁船の航行が多いポイントでは有利だが、高価なのがネック。
・PE:高価だが、耐久性に優れるのと伸びがほとんどないので、海底のくぼみやカケアガリの位置を把握しやすいという利点がある。また、エサ取りなどの小魚の細かいアタリもダイレクトにサオ先に伝わる。
カレイ釣りの仕掛け
これまで市販の投げ釣り仕掛けは、ハリスの細さがネックで、なかなか積極的には使いにくかったが、最近市販されているものの中には、ハリス5号以上でカレイバリ14~15号のしっかりしたものがそろっており、強度を心配することなく安心して使うことができるようになってきた。
この釣りにエントリーする人は、まず市販仕掛けを購入し、それから自分なりにアレンジしながら自作にチャレンジしていけばいいだろう。
目安としてはカレイバリ13~15号で、ハリス4~5号のものであればまず問題ないだろう。
テンビンはL型テンビンが一般的。
テンビン一体型がメインだが、オモリを付け替えられるタイプもある。
重さは前述の通り25~30号がメインになるが、潮が速いポイントでは35号まで用意しておきたい。
カレイ釣りのエサ
カレイは普段砂に潜り、流れてくるゴカイなどの多毛類を捕食したり、砂に潜っている貝類を自分の体で掘り起こして捕食している。
貝類は投げ釣りで使うには不向きなので、一般的にはイワムシやアオイソメなどのゴカイ類が多用される。
近年エサも値上げが進んでおり、イワムシなどはサオ3本で一日釣ろうと思うと、5千円くらいは必要になる。
そこで比較的安価なアオイソメを中心に使い、時合いと思われるときだけカレイと相性がいいイワムシを使う場合が多い。
また、1つのハリにイワムシとアオイソメの両方を刺すなど、工夫を凝らしながらエサの節約に努める。