バチ抜け。イソメやゴカイ(バチ)が、ふだん生息している砂泥底から這い出して産卵活動を行うことをそう呼ぶ。冬場のベイト(小魚類)がいなくなる河川ではシーバスにとってもごちそうだ。もちろん、釣り人にとっても大チャンスでもある。一見すると誰にでも釣れそうなこのバチパターンだが、潮回りやポイント、ルアーをわかっていないと思ったより釣果が伸びない。そこで、筆者のメインフィールドである東京湾の小河川を元に、斬新とも言える独自の攻略方法を紹介する。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター宮坂剛志)
潮回りと季節
それではまずバチ抜けの適した潮回りからだが、バチは卵が遠くまで流れることを考えて、大潮、またはその後の中潮あたりに抜け出すことが多い。上げよりも下げの潮を狙うようにしよう。表層にウネウネと大量に見える場所は意外に少く、ほとんどは底付近や中層付近に多い。なので、水面にバチが見えなくてもチャンスはある。
季節は早い場所では年末くらいから始まって、初夏頃まで続く所もある。これは場所や地域によって様々だが、東京湾では1月下旬頃からスタートする場所が多い。
バス用ルアーの代用
それでは、いよいよルアーと釣り方について書いてみたい。普通は細長いバチ専用ルアーを使うのがセオリーだ。この季節になると、どこの釣具屋にもバチ抜けコーナーが設置されていると思うが、初心者は参考にしても良い。だが、それでは面白くない、満足できない、という方はブラックバス用のルアーを使ってみてほしい。新たな面白さを発見できるはずだ。
おすすめは、7cm前後のフローティングミノーだ。スリムで、潜っても1m前後なので小河川にありがちな浅い場所もなんなく攻略できる。また、表層を狙う専用ミノーでは攻略できない、皮一枚潜らせたレンジもリップがあるのでおまかせだ。
釣り方のポイント
では、次にそんなバス用ミノーの使い方のポイントを紹介する。あくまで筆者のやり方なので、アレンジしてみても良い。
基本はゆっくり巻くことだ。そんなことかよ。と思ったかもしれないが、これがやってみると難しい。バチそっくりに動かさなくてはいけないのだから、面白いが難しい。
ドリフトさせるにしても、動きが破綻しては見切られてしまう。そこで、昼間の明るい時間にどのくらい巻いたらどのように動くのかを練習しておくことだ。バチ抜けのプラクティスと言ってもいい。これをやっておくとおかないでは釣果に明確な差が出る。
レンジのコントロールは、竿でやるのが基本だ。浅く引きたいなら、竿を立てる。潜らせたいなら、寝かせてやや早く引く。使いこなせれば、あれこれルアーを持っていく必要がなくなる。
多彩なゲスト
バチ抜けは何もシーバスだけのごちそうではない。それこそ多彩なゲストが集まるから型に不満なら狙ってみるのもよいだろう。ちなみにバス用のミノーにもよく掛かる。1番多いのは、ボラだ。冬場は良型が掛かるから油断ならない。狙うならハデなカラーが良い。
次にマルタウグイだが、これは釣れる場所と釣れない場所がある。春先が産卵期になるので、こちらも大物が多い。そしてニゴイもやってくる。これは色々なルアーに反応するので比較的釣りやすいと思うが、こればっかりで終わってしまうこともある。
専用ルアーも揃えよう
ここまで紹介したのは、あくまでバチ抜けパターンの邪道ともいうべき方法だ。普通はバス用ルアー、ましてやミノーなど使わないだろう。なので、あくまで釣りの1つの楽しみ方とご理解いただきたい。
バス用ルアーを使わなくても、今は多種多彩なバチ抜け専用ルアーが売っている。こちらもおすすめしたい。フローティングタイプが少ないが、むしろ底近くで抜けるバチにはシンキングタイプのルアーが良い場合もある。なので、専用ルアーも用意して、バス用ルアーも状況に合わせて使っていくのが正解だろう。
寒さ厳しい季節だが、近くの川へこの時期ならではのシーバスを狙ってみてはいかがだろうか。
<宮坂剛志/TSURINEWSライター>