釣りエサに良く使われる『ボケ』について調べてみました。昔は国産のものが多くありましたが、近年はほとんどが中国産とのことです。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWS編集部)
目次
ボケってどんな生き物?
釣りエサに詳しい人でないと知らないであろう生き物『ボケ』。
節足動物門、甲殻上綱、軟甲綱(エビ綱)、真軟綱亜綱(エビ亜綱)、十脚目(エビ上目)、異尾下目、スナモグリ科、スナモグリ属
に属しています。
クロダイ釣りのエサとしてポピュラーではありますが、ほとんどの人があまりよく知らないというのが現実でしょう。
何を食べているの?
ボケは普段は泥の中に住んでおり、泥をそのまま食べて、その中に含まれる有機物やプランクトンを濾しとって食べています。
そのため大きなハサミを持ってはいますが、これは捕食用ではなく、おそらく身を守るためのものだと考えられています。
呼び名や地方名
まずこのボケというのは正式名称でなありません。
このボケの正式名称は「ニホンスナモグリ」「スナモグリ」です。なぜ名前が2つあるかというと、実は釣具店で売られているボケはこの2種が混在して販売されているからです。
また、その他にも「ユウレイシャコ」「紅シャコ」「バケシャコ」なんて呼び名もあります。
一説によると、「ユウレイシャコ→オバケシャコ→バケシャコ→バケ→ボケ」のように名前が変化したともいわれています。
間違えられやすいカメジャコ
釣りエサでボケとよく間違われるのが「カメジャコ」でしょう。実はこの2種見た目は似ていますが全くの別種です。
このカメジャコというのも実は正式名称ではなく、正式には「アナジャコ」です。
『十脚目(エビ上目)、アナジャコ下目、アナジャコ科』ですので、近縁ではあるものの、甲羅は非常に硬く、色も異なるため、よくよく観察すれば間違えることはないでしょう。
釣りエサの中では高価
購入したことがある人ならわかるかもしれませんが、このボケ、釣りエサの中ではかなりの高級品です。
ゴカイなどは数十匹入った100gを400~500円で購入できるのに対し、ボケは1匹30gで40円相当します(地域により誤差あり)。
また大きさによっても値段は上下し、大きいボケは50円を超えることもあるようです。
しかし、値段が高いだけあって、このボケは非常に集魚力が高いのも事実です。
ボケを好むサカナも多く、クロダイやスズキの他にもヒラメやカサゴ、マゴチ、さらにはウナギなどもボケが大好物です。
ボケを一口で食べるサカナが掛かったとしたら、大物に期待が持てそうです。
エサ持ちが悪い
非常に万能エサなボケではありますが、一点どうしても避けられない欠点があります。それはボケ自身が非常に弱く、エサ持ちが悪いということです。ボケはカメジャコに比べて甲羅が薄く柔らかいため、強い力が掛かったりするとすぐにちぎれてしまいます。
また、エサ取りが多い環境だとあっという間にズタズタに喰いちぎられてしまいます。
他にも、環境の変化にも弱いため、水質の違う水に入れてしまうとあっという間に死んでしまいます。
購入したボケは、釣り場に到着したらすぐに使うのではなく、一度現地の水に慣らせてあげると長持ちします。具体的には、購入した際にボケと一緒に入れてもらった海水に、現地の海水をゆっくり入れてあげましょう。そうすることで、針に付けて海に投入してもボケにかかるストレスが少なくなり、長く生きてくれます。
国産ボケは少なくなっている
釣りエサ屋に行けばいつでもっているボケですが、実はその大半は中国産のものが大半だと言います。
以前までは現地で採集されたものも販売されていましたが、近年の護岸整備の影響で採集できる場所は少なくなり、今ではほとんどを輸入に頼らざるを得ないと言います。
もしかしたら近い将来、中国からの輸入が途絶えてしまい、店頭からボケが姿を消す日が来てしまうかもしれません。
あまり美味しくはない
ちなみに、釣りエサによっては私たち人間も美味しく食べられるものも多くあります。
例えばオキアミなんかはその代表例で、かき揚げにして食べると非常に美味しいことで有名です。
カメジャコも茹でると美味しいようですが、近縁種であるボケに関してはあまりお勧めできないようです。というのもの、ボケは泥の中の有機物を食べているため非常に泥くさいのです。
ただ、この臭いのは頭部だけのようですので、どうしても食べてみたい場合は頭を外すことをお勧めします。
エサの生態を知ることでサカナも釣れる
ボケは春(4月~6月)の今、産卵期を迎えています。そのため、大きなサカナたちは今の時期、卵をもったボケが食べたくて仕方がないのです。
ボケがどんな場所に生息しているのか、どういう時期にボケでサカナが釣れるのかを分析することで、他の人よりもいい釣果が狙えるでしょう。
釣りエサの旬を知るとよりサカナの気持ちになれるかもしれませんね。
<近藤 俊/サカナ研究所>